そもそも付加価値とは
社会人であればよく耳にする付加価値という言葉ですが、そもそも付加価値とはどんな意味なのでしょうか。
付加価値とはその文字通り、付け加える価値のことで「他の商品やサービスとは違う独自の価値をサービスや商品に付け加える」ことを指します。例えば、「雑誌に付録を付けて売る」場合や「デザイン性や機能性を高めて高い価格で販売する」などがあります。
ここからはビジネスにおける付加価値とは何かをご説明し、付加価値を高める方法をご紹介していきます。
ビジネスにおける付加価値とは
ビジネスにおける付加価値とは「生産性を測る際に使われる指標」を意味する場合もあります。
付加価値とは本来「生産過程において新しく生み出される価値」のことを指します。分かりやすいように例えると、100円の食材を買ってきて調理し、それを200円で売ることです。この例の場合の付加価値とは100円の原価のものを200円で売ったため、100円がそれにあたります。
このようにビジネスにおける付加価値とは生産性を高める際の重要なものです。
付加価値が重要な理由
ビジネスにおいて付加価値が重要な理由は「生産性を高めることができる」また「他の似たような商品やサービスとの差別化を図ることができる」からです。
付加価値とは企業が収益を上げるための戦略を練る上で欠かせないことの一つです。
付加価値をつけることによる効果
付加価値を付けて商品やサービスを売ることに成功すれば、「より多くのお客様から選んでもらう」ことができ、「相場の価格よりも高く購入してもらう」ことができます。
また付加価値(生産過程に生み出される価値)を高めることで生産性があがり、収益があがることになります。
そのため付加価値とは「ビジネスにおいては非常に重要なもの」です。
生産性アップには付加価値を高めることが必須
生産性をあげるためには付加価値を高めることが必須となります。ここでの付加価値とは売上高から外部購入費を差し引いたときに算出される数値です。そして労働生産性とは社員一人当たりの付加価値額」を指します。
例えば、売上が20万円・外部購入費が10万円とするとすると20万円-10万円で付加価値は10万円となります。これを社員10人で生産したとすると、1人当たりの付加価値額は1万円です。社員20人で生産したとすると、1人当たりの付加価値額は5000円です。
付加価値を高める主な方法5つ
労働生産性=社員一人当たりの付加価値額となるので、生産性を高めるためには社員一人当たりの付加価値額を高める必要があります。
ここでは付加価値を高める主な5つの方法をご紹介していきます。
- 外注費用の削減
- 人件費の削減
- 業務の効率化
- 新商品の開発
- 新市場の開拓
外注費用の削減
外注費の削減は最も短期間で生産性を高めることができる方法の1つです。例えば材料の仕入れ価格や量を最適にすることや外注している作業を内製化することで外注費の削減に繋がります。
また最近では外注費用の削減として、日本国内だけでなく、より単価の安い海外のアウトソーシングを利用する企業が増えてきています。
人件費の削減
近年では正社員ではなく、非正規雇用の派遣社員などに業務を任せる企業が増えてきています。それにより人件費の削減に繋がっています。
また製造現場ではロボットでの製造を取り入れたり、食品業界の店舗ではiPadでの注文やペッパーくんの導入なども進めることで、人件費の削減が行われています。
業務の効率化
業務を効率化するためには業務の無駄を省いたり、業務を簡素化したりするなど、全体的なプロセスを見直す必要があります。
業務の効率化を図ることにより人件費の削減を図ることも可能です。
業務効率化の主な施策
業務効率化の主な施策として、人が行っている業務をIT化したりプロセス化することが考えられます。最近では安く利用できるクラウドシステムや業務で使用できるアプリなどがあり、時間や場所を問わずに仕事ができるようになってきています。
またSNSを有効利用したり、書類をデジタル化することでも業務の効率化を図ることが可能です。
付加価値を高める主な方法4:新商品の開発
新たな商品やサービスを開発することも付加価値を高める方法の1つです。
付加価値とは「他の商品にはない独自のサービスを付け加える」ことです。同じような商品でも他社とは違った機能を付けることで差別化を図ることができます。
しかし新商品の開発には多大なコストや時間を必要とし、それが顧客や消費者にとって価値のあるものかどうかは販売や提供をスタートさせてからでないと分からないため、リスクがあります。
付加価値を高める主な方法5:新市場の開拓
付加価値を高めるためには新たな市場を開拓することも方法の1つです。
新市場の開拓といっても、日本には競争の激しい市場があふれており、新規の市場を見つけるのは難しいでしょう。しかし既存の市場であっても、その中で新しい顧客ニーズを見つけ出しすことができれば、新市場の開拓と言えるでしょう。
業界によって付加価値の高め方は変わる
付加価値とは商品やサービスに独自の価値を付け加えることですが、業界によって付加価値の高め方は変わってきます。
ではどのように付加価値を高めれば良いのでしょうか。ここではいくつかの業界の付加価値の高め方をご紹介していきます。
飲食業界
飲食業界は競争が激しく、似たようなお店も無数にあります。飲食業界での付加価値とは無数のお店から選ばれるために「そのお店ではなくては経験できない」サービスを提供することと言えるでしょう。
例えば、「ご当地の食材や珍しい食材を使う」「質の高い料理を提供する」などが考えられます。他にも「インスタ映えをするような空間づくり」「心地よい時間を過ごしてもらうための接客」なども他のお店との差別化となります。
ホテル業界
ホテルや旅館などの業界の付加価値とは「お客様をもてなす丁寧な接客サービス」を提供することと言えるでしょう。最近ではホテル予約の際にネットの口コミを確認する消費者も少なくありません。最高のサービスでおもてなしをすることで良い口コミが書かれ、結果的に集客に繋がるとも言えるでしょう。
例えば、リッツカールトンではお客様が接客サービスの高さを実感できるように、あえて看板や誘導の表示は作らず、お客様から声をかけてもらえる状況を作り出しています。
不動産業界
不動産業界での付加価値とはどのような場合が考えられるでしょうか。賃貸物件の場合、物件が古ければ古いほど価値が下がってしまいますが、あえて付加価値をつけて高く貸し出す企業があります。
例えば、ペット対応の物件にしたり、インターネットを無料でつけたり、エアコンをつけていたりすることで価値を高めることに成功しています。
また最近ではデザイナーズマンションや女性をターゲットにしたオシャレな物件なども人気を集めています。
農業
農業での付加価値とは「有機栽培など安心で安全な食材であること」を打ち出すことが考えられるでしょう。
また最近では「スマート農業」を活用し、施設の温度や湿度をITで管理して、人手不足の中でも生産性を高める施策が行われています。付加価値とは「生産性を測る際に使われる指標」を指す場合もあるので、農業をハイテク化することも付加価値を高める手法と言ってよいでしょう。
ビジネスにおける付加価値とは何かを知ろう
ビジネスにおける付加価値とは、通俗的には「商品やサービスに独自の価値を付け加える」ことを指しますが、「生産性を測る際に使われる指標」でもあることが分かりました。
激化する各市場の中でライバルとの競争に打ち勝っていくためには他にはない独自の価値を付けていくことが必要です。
また人口が減少していく中で労働人口の減少は深刻な問題となっています。そんな中でも生産性を高める必要があり、付加価値を高めることはどの業界でも必須となっていくでしょう。