営業成績を上げる方法と分析方法・成績が悪いとクビになる?

営業活動

営業とは何か

「営業」とは、「企業と顧客を結ぶ」ことです。企業が開発した商品やサービスを顧客に対して紹介し、理解を得て売り込み、売り上げて利益を得ることが営業の仕事です。ここですでに3つのステップを示しました。営業とは、

(1) 商品やサービスを顧客に対して紹介する
(2) 商品やサービスを顧客に対して販売交渉する
(3) 商品やサービスを顧客に対して販売して利益を得る

営業には当然経費が掛かります。ですから、効果のない行動、たとえば「顔出し営業」と呼ばれるものは、ほぼ無意味です。百歩譲って、廃売交渉に入る前段階の顔つなぎでしょうか。売り込み先の時間も浪費するものです。

営業成績とは何か

「営業成績」とは本来、営業努力の効果を計量するものであり、上の分類に従えば、

(1) 紹介件数
(2) 交渉件数
(3) 販売件数、売上高、利益、利益率

を計量することになりますが、各社内部はいざ知らず、一般的なものは販売件数、売上高、利益、売上高利益率などの計量でしょう。これらが、営業成績の狭義のもので、「業績」といわれます。

「営業の神様」と呼ばれる加賀田晃氏がその著書『営業マンは「お願い」するな!』で、営業とは、ということを以下のように述べられていますが、これは百発百中の営業戦略であり、「営業成績」とは無縁のものでしょう。

https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3116-4

営業成績を上げるには

一義的には売上高を伸ばすことを考えますが、その考え方には3種類あります。

(1) 販売力を増強する
営業マンを増やしたり、訪問件数を増やしたり、新規顧客を増やしたりする、力技です。
(2) 売れる商品に着目する
商品品目の中から売れるものを選び出し、これに営業力を集中する手法です。これである程度業績を上げられます。しかし、商品が飽和に近づくと、それ以上は売れなくなります。
(3) 売れない商品に着目する
(2)を突き詰めると、業績改善が頭打ちになります。また(2)を考える反対に、「売れるべき商品が売れていない原因を排除する」という手法もあります。これで大幅に業績を上げられることもあります。
(1)は営業マン頼りですが、(2)(3)は営業部の幹部や分析部隊の仕事です。

販売力増強を計量する

営業成績を上げるために、販売力を増強する場合、計量するのは、ふつうは売上高ですが、簡易的には売上件数でも計量できますし、売上利益での計量も有益です。精緻に考えるなら売上高利益率の計量も必要になります。もっとも簡単な例として、3つの支店あるいは3人の営業マンの6か月間の売上高の進捗データを折れ線グラフにする手法を紹介します。

3つの支店/3人の営業マンの6か月間の売上高のグラフを描く

(1)9か月分の売上データを入力する

(2) 折れ線グラフを描く

下図に示すように、表データを入力したセル範囲を選択して、2D折れ線アイコンをクリックします。

次のようなグラフが得られます。これはまだ途中段階であり、これから完成させます。

(3) 縦軸目盛線を描く

グラフ領域を選択して、レイアウト画面の目盛線メニューの中の[主縦軸目盛線][目盛線]メニューをクリックすると、

縦軸目盛線が追加されます。

(4) 折れ線の頂点を線上に移す

横目盛を右クリックして表示されるメニューで[軸の書式設定]メニューをクリックして、

表示される[軸の書式設定]ダイアログボックスで、軸位置の[目盛]メニューをクリックすると、

支店ごとの売上高比較のグラフが完成します。

(5) 見出しを変更する

支店名を営業マンに打ち替えると、グラフは営業マンの売上高比較のグラフに変わります。

3つの支店/3人の営業マンの6か月間の売上高を分析する

この簡単なグラフからでも、次のような内容が読み取れます。
Aは、順調に売上高が伸びていますが、Bは売上高が下降しており、Cは売上高の変動が大きすぎるので、ここには何か原因があるはずです。後はB・Cとの面談でその原因を探します。
データで分析するには、販売商品の内訳を分析します。Bは何か主力商品の売り上げが落ち込んでいる可能性が大きく、Cは売上高の大半が高額商品の売上であって、毎月定期的には売れない商品である可能性があります。

売れる商品・売れない商品を探す

前項で述べた商品構成を調べたり、「営業成績を上げるには」で挙げた「売れる商品」「売れない商品」に着目するには、売上高を構成する3つの次元を理解しておく必要があります。営業活動で利用されるデータとその階層構造は、下図に示すように、時間と値域と品目の3つのデータに、売上高、売上利益などが結びついたものとなります。立方体の各面が、3つの構造に直結しています。

これらの軸毎に階層を詳細化するのがドリルダウン手法であり、詳細データを集計して階層を上げる分析手法をドリルアップと言います。これらは丸で、トーナメント表のようですが、これらを下向きにたどって、問題のある地域の中で特に問題のある品目を発見し、その品目のどこに問題があるかを見つけ出す手法を「逆トーナメント手法」といいます。

営業成績を上げるためのデータ分析の手法

○ABC分析
商品ごとの売上げを集計し、売上げの多い順に並べて、全体の売上げに対する各商品割合を算出し、割合上位の商品から累積し、累積値をもとに商品をABCでランク分けすることで、「売れる商品」「売れない商品」(死に筋商品)を割り出し、販売促進に活用します。
一般的に、「商品の売上高の8割は、全商品のうちの2割の品目が生み出す」といわれており、これは「パレートの法則」と呼ばれます。例えば、売上高、利益や販売個数のいずれかに着目して、その順に取扱商品を並べ、累積売上高割合が80%を占める商品グループをA、80%~90%の商品グループをB、90%~100%の商品グループをCというように分類すると、貢献度の高いグループAに分類された商品の商品数は全体の2割しかないので、これらの商品の販売に注力すると、効率よく営業成績を上げることができます。グループA商品の売上増が止まってくるとグループBに着目し、これも止まってくるとグループCに着目します。しかし売り上げシェアの小さな商品ほど、何らかの問題点を改善すれば、大幅に売り上げが伸びる可能性を秘めていることがあります。
○季節変動(時系列)分析
営業成績には、商品によって季節変動があることがあります。この変動率を抽出すると、季節変動を除いた営業成績の変化を分析することができます。
○アソシエーション分析
一見関連性のない複数の事象が同時に起きている場合、そこに何かしらの要因が隠れていることが多いです。米国スーパー大手が「紙おむつとビールが同時に購入される確率がなぜか多い」ことに気づいてビール売り場のそばに紙おむつ販売
コーナーを作って売り上げを伸ばしたのは有名な話です。ネット販売で、「バスケットに一緒に何を入れているか?」を把握して、同時に購入されている確率が高い商品の組み合わせを分析する「バスケット分析」もこの仲間です。
○ピボットテーブルの利用
以上の3つの手法の利用に際しては、市販のデータ分析ツールを使うのがもっとも簡単ですが、エクセルに搭載されているピボットテーブルを使いこなせると、かなりの部分まで分析できるようになります。

営業成績が悪いとクビになるの?

一言で言えば「本人にやる気があれば、クビにはならない」と思いますが、必ずしもそう簡単ではないと思います。「成績が悪い」だけで解雇すると、労働基準監督署はそれだけでは多分納得しないでしょうから、「解雇無効」になると思います。「営業成績を上げるように指導したのか」と厳しく指導されます。営業範囲の変更や職種の変更などをしたのか、と追及されます。
仕事には能力と意欲が必要です。意欲さえあれば成績がかならず上がるとはいえませんが、会社には能力不足の人は必ずいます。10人いたら2人は成績不良であり、その2人を辞めさせたら、残りの2割が成績不良になるということはよく知られているので、「辞めさせる」ことは解決策にはなりません。
一方、能力を伸ばす、あるいは引き出すことにたけた上役も必ずいるはずです。その人が、最低限の能力がないと判断すれば、配置転換や左遷となるでしょう。また、会社が「必要ない」と本当に判断した場合には、「営業成績を上げるように指導するため」そして「営業成績を上げるように十分指導したことを示すため」に、精神的にダメージを受けるくらいの厳しい指導を受けることになるでしょう。

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