仮説思考とは
仮説思考とは、もっとも確からしい結論を想定して、限られた情報のなかで論理を展開していく方法です。
従来のように実験をくりかえして結論へ時間をかけて向かっていくのではなく、仮説を打ち立ててから例などを参考にして理論を展開していくやり方が仮説思考です。
従来の方法に比べて時間の短縮ができることが大きな利点です。元ボストン コンサルティング グループ日本代表の内田和成が提唱した、仕事の質と速さを高める方法です。
論理的思考について
論理的思考とは、物事を順序立てて最初から順番に思考していく方法です。
因果関係をはっきりとさせながらわかりやすく相手に納得してもらえる説明ができるのが、論理的思考です。物事の筋道が最初から始まっているため、どのようにしてそれが成り立っているのかが相手に伝わりやすい思考方法です。
論理的思考方法のポイントは、まずは結論から述べることです。論理的思考はビジネスシーンでよく使われている一般的な手法です。
1:演繹法について
論理的思考の演繹法とは、正しいされる事象から妥当だと思われる結論を導き出す方法です。
演繹法は結論・理由・普遍的な事象の3つの手順を論理で組み立てて、完成させていきます。
フランスの哲学者ルネ・デカルトが提唱した論理的思考で、人間の理性と普遍的な事象をもとにして、さまざまな例を懐疑的に見ながら結論へと到達する思考方法です。
例:大前提から結論を導き出す
論理的思考の演繹法は、大前提から結論を導き出す手法です。
「人間は必ず死ぬ。わたしは人間だ。だからわたしはいつか死ぬ。」という文章を例にします。これらを演繹法で分解すると、「人間は必ず死ぬ」という大前提に、「わたしは人間だ」という理由があります。「だからわたしはいつか死ぬ」という結論に至ります。
反論する場合などに、普遍的原理を前提にして論理を展開することができる、たいへん便利な手法です。
2:帰納法について
帰納法とは、結論を導き出すためにいくつもの事象を例に取り思考していく学問です。
イギリスの哲学者フランシス=ベーコンが唱えた論理展開法で、推論の域を超えない点が特徴です。帰納法は不確定な要素が多く、予想ができにくいビジネスシーンでよく利用される手法です。
帰納法とは、経験論的思考から学問や科学を認識していく方法です。事象として例をたくさん集める必要があります。例は多ければ多いほど良いとされています。
例:複数の実例から結論を導く
帰納法の例文として、「ライオンは肉を食べる。トラも肉を食べる。チーターも肉を食べる。だから大型の猫科は皆、肉食獣だ。」を挙げます。
この例文を帰納法で分解すると、「ライオンは肉を食べる」という事象があり、「トラも肉を食べる」という第2の事象があります。そして「チーターも肉を食べる」という第3の事象があり、「だから大型の猫科は皆、肉食獣だ」という結論に至っています。
3:アブダクションについて
アブダクションとは、仮説形成といわれているもので、結果から原因を推察して観測した事実から論理を見つけていく手法です。
アメリカの哲学者チャールズ・パースが、アリストテレスの思考をもとにして提唱した論理で、現象に対して仮説を構築する説明方法です。仮説思考に良く似た論理展開をする手法です。
例:結果から仮説を導き出す
結果から仮説を導き出すアブダクションの方法を例文を使ってご説明します。
例文として「庭が濡れていた。雨が降ると庭が濡れる。だから雨が降っていたのだろう。」を挙げます。この例文をアブダクションに沿って分解すると、「庭が濡れていた」が目の前にある現象です。「雨が降ると庭が濡れる」が普遍的事象です。そして、「だから雨が降っていたのだろう」が仮説となります。
雨が降っていたは不確かなので仮説です。
仮説思考を鍛える方法
仮説思考を鍛える方法をご紹介していきます。
仮説思考の仮説を正しい事象群から論理展開するためには、推論者の想像力や閃き、経験値などが必要になります。
仮説思考は、プレゼンテーションで複数のアイデアを提示する場合などにたいへん有効な思考方法です。
アブダクション思考を屈指する
仮説思考を成功させるために、アブダクション思考を屈指する必要があります。
仮説思考を完成させるための事象は、帰納法のように同じ例が多いほど良いというわけではなく、アブダクション思考のように仮説にもっとも近い例があることが望ましいとされています。仮説思考のストーリが多少粗いとしても、アブダクション思考がしっかりと形成されていれば、短い思考でも説得力が増すからです。
仮説の可能性が広がる
アブダクション思考を駆使すれば、仮説の可能性が広がります。
アブダクション思考とは、普遍的事象を間に挟んで思考展開していく手法です。大勢の人に共通している思考を使って仮説を打ち立てるアブダクション思考を駆使した仮説思考には、説得力があります。
ロジックツリーの精度が上がる
アブダクション思考を駆使した仮説思考を行うと、ロジックツリーの精度が上がります。
ロジックツリーとは、問題を樹木に見立てて分解して、原因から解決策を見出していく思考方法です。結果から原因を探るアブダクション思考と結びつけることで、問題の原因と結果の因果関係がわかりやすくなります。
結果的に仮説思考に説得力が増します。
あなたの会社に仕事の生産性をあげる「働き方改革」を起こしませんか?
名刺が多すぎて管理できない…社員が個人で管理していて有効活用ができていない…そんな悩みは「連絡とれるくん」で解決しましょう!まずはこちらからお気軽に資料請求してみてください。
仮説思考のメリット
仮説思考のメリットについてご紹介していきます。
プレゼンテーションやビジネスシーンで仮説思考を行うことで、さまざまな利点が出てきます。ビジネスの場は時間との戦いです。仮説思考によって想定できる結論や仮説をいち早く相手へ伝えることで、他社よりも先にビジネス戦略を組み立てていくことができます。
さまざまな例から仮説思考のメリットを知り、その恩恵を受けるべく大いに活用していきましょう。
1:焦点が絞れる
仮説思考のメリットとして、仮説思考を使いこなせる人はビジネスの焦点が絞れる人間になれるという点が挙げられます。
ビジネスシーンでは、必要な情報を短時間で収集する能力が必要になってきます。仮説思考の持ち主であれば、仮説を打ち立てることで集める情報の焦点が絞れるため、短時間で必要な情報を集めることができるようになります。
2:生産性が高まる
仮説思考のメリットとして、生産性が高まります。
仮説思考がビジネスの焦点を絞りこませて、無駄な働きを封じ込めてくれます。結論までの時間が短いということはビジネス上でスピードアップができるということです。個人やチームの業務が早く行われるようになると企業全体の生産性も自然に高まり、成果がアップしていきます。
3:成果が早く得られる
仮説思考のメリットに、成果が早く得られるという点が挙げられます。
仮説思考でビジネスの焦点を絞り込むことができれば、成果が出るのも必然的に早くなります。必要な情報が何なのかを仮説思考で導き出すことができるので、関係のないムダな情報を調べる時間が減るからです。
もしも仮説が違っていたとしても、次に可能性がある仮説を打ち立てることができます。仮説思考を使えば、あらゆる思考を試す手間と時間が省けます。
仮説思考を鍛えて仕事に活かそう
ビジネスシーンに必要な仮説思考を鍛えて、仕事に活かしていきましょう。
仮説思考について、例文を使ってご紹介させていただきました。例に挙げた文章をビジネスの中で応用して、社会人として一歩先を行ける人間になることができます。
仮説思考は例文のように、ビジネスシーンだけではなく日常生活でも説明や説得に大いに役立つ思考方法です。普段から仮説思考を行うクセをつけて、説得力のある人間へと成長していきましょう。