経済指標とは
経済状況を把握するために経済指標を見るように、と言われることがあります。経済指標とは各国の公的機関が発表する、物価や金利など経済状況を構成する要因を数値化したもので、見方がわかると経済の現状や変化をスムーズに把握できます。
ですが、その数値から何が理解できるのかは実はよく分からないという方も多いでしょう。この記事では主だった経済指標の見方についてや、押さえておくと良い経済指標についてご紹介します。
経済指標の見方を理解するメリット
数値を見て物事を考えるのは苦手という方も多いでしょう。ですが、経済指標の見方を知っておくと、先の見通しを立てることがしやすくなるので、見方は知っておくと便利です。
自分の体調を把握するときに体温や血圧、血糖値などの数値を参考にするように、経済指標の見方を知っておくと経済の状況や動向の把握や見通しをたてる上で参考になります。
経済指標の見方
それでは、主だった経済指標について実際に見ていきましょう。よく使われる経済指標の見方が理解できるようになると、ニュースなどで言われていることが読み解けるようになり、新聞の経済欄もとても見やすくなります。
1:全国の家計消費支出
家計消費支出とは生活する上で必要な家計の支出のことで、食料費や住居費、光熱費、教育費、教養娯楽費、被服費、交通通信費、保険医療費など実際の消費のために支出されている金額のことを指しいます。消費支出に対して非消費支出というものもあり、税金や健康保険など、実際の消費には直結していないものが含まれています。
これは総務省が行う家計調査によって算出され、景気動向の把握や生活保護基準の検討に利用されています。
2:完全失業率
完全失業率とは、15歳以上の働く意欲のある人のうち、職がなくて求職活動をしている人が占める割合を指しています。雇用情勢を示す重要な経済指標のひとつで、総務省が「労働力調査」で毎月発表しています。
完全失業者数を労働力人口で割ることで算出ができ、見方としては数値が高いほど仕事を探している人が多いことを示しています。
3:消費者物価指数
消費者物価指数とは、全国の世帯が購入する家計に係る財とサービスの価格などを総合した物価の変動を時系列的に測定するものを意味します。家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示しています。
計算に使用している各品目の比重は総務省統計局実施の家計調査の結果などに基づいています。 また、品目の価格は総務省統計局実施の小売物価統計調査を参考にしています。
4:国内総生産
国内総生産は各国の経済活動の大きさを測る指標として最も有名な経済指標です。英語にするとgross domestic productとなるので、略してGDPと呼ばれています。ある国で一定期間に新しく生産されたモノやサービスの付加価値の合計のことを意味しています。
なお、今年のGDPを前年のGDPと比べて算出した伸び率のことを経済成長率と呼びます。
5:景気動向指数
経済動向指数とは、内閣府経済社会総合研究所が毎月発表している、総合的に景気状況を判断する経済指標のことです。
景気に影響を受けやすい28項目の指標を3カ月前の水準と比較し、「改善」「変化なし」「悪化」に分類して評価します。また、指数が50%を上回っていれば景気は上昇傾向、下回っていれば下降傾向という見方をします。
6:日経平均株価
日経平均株価とは、日本経済新聞社が東証一部に上場している企業から独自の基準で選んだ225銘柄の株価から算出する平均株価を指しています。
この225銘柄は、常に同じ企業の銘柄で構成されているわけではなく、随時入れ替えを行っています。これらの銘柄は特に市場流動性の高い銘柄を選抜しているので、入れ替えで選ばれる企業は東証一部上場企業の中でも、より優秀で成長性のある企業であるという見方ができます。
7:東証株価指数
東証株価指数とは、東証市場第一部に上場する国内株式の全銘柄を対象とする株価指数のことです。東証株価指数をアルファベット表記したものをTOPIX(トピックス)とよびます。
日経平均株価とよく似た経済指標ですが、日経平均株価が株価の平均値であるのに対して東証株価指数は時価総額を表すため、時価総額の大きな大型株の動きに大きく影響されます。
8:為替レート
為替レートとは、ある国の通貨を他の国の通貨に交換するときの交換比率のことを表す経済指標です。為替レートは、その国の経済情勢の変化やニュースなどに反応して日々変動しています。
国際的な取引決済で特に重要視されているのが米ドルとの為替レートです。日本と米ドルとの為替レートで見てみると、例えば1ドル=100円というように、外国通貨1に対して自国通貨がいくらかを示す自国通貨建てでの見方が一般的です。
9:政策金利
政策金利と、中央銀行が金融市場を調節する目的で用いる短期的な金利のことを指しています。日本の場合の中央銀行は日本銀行を指しています。
これは、中央銀行の金融政策によって決められるもので、市場の金利を実体経済に合った水準に誘導するために決める基準金利のことです。
10:日銀短観
日銀短観とは、日本銀行が年に4回、景気の現状と先行きについて企業に直接アンケート調査を行い、その分析結果をもとに日本の経済を観測したもののことです。正式には企業短期経済観測調査と呼びます。
調査では全国の約1万社以上の企業を対象に、大手企業と中小企業、製造業と非製造業などを分けて業績や状況、設備投資の状況、雇用などについて実績と今後の見通しを聞きます。景気動向を占ううえでも重要な経済指標です。
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押さえておきたい経済指標
ニュースや新聞記事などでよく見かける経済指標をご紹介しましたが、次にご紹介する4つの経済指標は、雇用状況などより自分たちの生活に近い部分を数値として把握することができます。
これらも経済状況の見方も押さえておくととても便利です。
1:米国雇用統計
米雇用統計とは、アメリカ合衆国の労働省が毎月発表する経済指標のことで、米国の景気状況などを知ることができます。
全米の企業や政府機関などに対してサンプル調査を実施し、失業率や非農業部門就業者数、建設業就業者数、製造業就業者数、小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給など10数項目の数字が発表されます。
2:小売売上高
小売売上高とは主に米国で使われる経済指標ですが、百貨店などの小売業の売上や、サンプル調査を基にして推計します。
米国の国内総生産の7割は個人消費で占められているので、小売売上高の動向は為替や債権、金融政策などに大きく影響します。また、この指標は調査した月から2週間ほどで発表されるので速報性もあり、注目度が高いです。
前月と比べて増加していれば堅調、減少していれば落ち込んでいるという見方をします。
3:鉱工業生産
鉱工業生産とは国内の事業所で生産される鉱工業製品の数量や金額などの状況を経済産業省が調査し「鉱工業生産指数」として毎月公表する経済指標です。企業の生産動向を知ることができ、株式市場などで重視されています。
鉱工業製品には鉄鋼や一般機械、精密機器、紙、食料品、たばこ、医薬品など数多くの品目が含まれます。これらの生産量を指数化し、鉱工業生産活動の全体的な水準の推移を把握する目的などで利用します。
4:各種景況感指数
景況感指数とは、アナリストや市場関係者に現在の景気や今後の景気動向についてアンケート調査を行い、集計した結果の指標を指しています。指数が低い場合には景気は悪くて消費活動は控え気味な状態で、指数が高い場合には景気はよく消費意欲も旺盛な状態という見方をします。
注目度の高いものにドイツのZEW景況感指数とIFO景況感指数、アメリカの米国消費者信頼感指数とミシガン大学消費者信頼感愛数などがあります。
経済指標の見方を理解しよう
経済指標の見方は理解できましたでしょうか。見方がわかると新聞の経済面を読むのももう怖くありません。
なお、経済指標にはそれぞれ元々の目的があります。GDPは経済状況の全貌を明らかにするために作られ、消費者信頼感指数は自分たちの暮らしをどう捉えているのかを把握するために生まれました。
見方と目的を理解できると、数字に振り回されることなく状況を把握できます。ぜひ経済指標の見方が理解できるようにしましょう。