管理部門とは何か
企業の管理部門とは、会社に利益や業績をもたらす営業や販売を行う部門を、間接的にかつ陰で支える部門の事を言い、企業の屋台骨的な役割を担っています。
利益には直結しないものの、人事や労務管理、あるいは労働環境の整備などを行い、営業や販売を行う部署が業務に集中できるようにする役割を担っています。
また、営業や販売を行う部門を直接部門、管理部門を間接部門とそれぞれ呼ぶこともあります。
企業の管理部門の職種7個
企業には、「人」「物」「金」「情報」といった経営にあたって管理すべき4つの物があり、それぞれを効率よく、効果的に活用することが管理部門の役目とも言えます。会社の規模などによっては部門編成に違いはありますが、多くの場合において、次にあげる7つの職種が企業の主な管理部門となります。
職種1:人事
人事は、従業員の採用や労務管理といった、会社組織の中でも「人」に関わる仕事を行う管理部門です。前述の採用や労務管理以外にも、人事異動や昇格などを決定する処遇処置や、人事制度の企画・立案、社員の研修制度の構築といった能力開発なども行います。
管理部門として人事を置くことにより、人事情報の集約や社員のモチベーション管理、あるいは社員の研修や育成などを、効率的に行えるメリットがあります。
職種2:総務
総務とは、組織上どの部署にも属さず、誰がやれば良いのか分からない業務を引き受け、他の社員が円滑な業務を遂行できるようにサポートを行う管理部門です。総務が任せられる仕事は幅広く、さまざまな知識やスキルを求められることが多くあります。
総務は管理部門の中でも特に、縁の下の力持ち的な色合いが強く、契約書や社内文書の管理から社内備品や消耗品の発注・管理、社内の環境管理など幅広く業務をこなします。
職種3:経理
経理とは、会社を経営する上で重要となる、利益や資産を生み出すためにお金を管理する部門です。経理は、日々の売上管理や仕入れ・在庫管理、給与や保険の管理および計算、税金の
計算などを行い、会社におけるお金の流れを正確に数値化することが主な仕事となります。
また、最終的に作成された決算書などの資料を元に、経営陣が次の手を考え、経理担当者自身も考え提案することもあります。
職種4:財務
経理や会計に近い管理部門に財務があります。経理は「既に使用したお金」を管理する部門であるのに対し、財務は「これから使用するお金」を管理する部門になります。主な業務内容は、銀行との融資交渉などの資金調達、投資などの資産運用などがあり、経理の作成した貸借対照表や損益計算書を元に、事業計画と照合しながら資金調達を行います。
大規模な組織では、単独の部署として存在しますが、経理が兼任する場合も多くあります。
職種5:経営企画
経営企画は、経営陣と一緒に会社運営の実務を担う部門で、物理的にも職能的にも経営陣に最も近い管理部門です。業務領域も、財務・会計・法務と多岐に渡っており、「これだけ知っていれば良い」というものではない、横断的な専門知識が必要となります。
経営企画には、幅広い専門知識が求められるため、それに値しうる優秀な人材が必要となります。経営企画が「エリートの集団」とか「出世コース」と言われるのは、このためです。
職種6:法務
会社組織における法務は、法や法律、司法に関する事務などを行う部門です。契約や顧客とのトラブル対応などの社外的なこと、あるいは法律に詳しくない社員のサポートなどの社内的なことについて、法律に則り対応することが主な業務内容になります。
また、会社内の法務運用のチェックや、社内コンプライアンス社内規程の徹底などを行うこともあり、法律が社内でどのように適用させていくのかを考える業務などもあります。
職種7:情報システム
IT活用が業務に不可欠となった現代において、重要性を増しているのが情報システム部門です。社内のITシステム構築や立案、社内LANなどのインフラ整備、あるいは日常における社内ユーザーへのヘルプやサポートなどが主な業務内容です。
社内SE的な立場でもある情報システム部門は、ITに関連したことのみではなく、社内の経営や動向などにも気を配る必要があるため、社内業務への気配りなども必要となります。
企業の管理部門の特徴8個
前述しましたように、企業の管理部門には、総務や人事、あるいは経理や経営企画など多くの職種が存在します。業務内容に違いこそありますが、企業の管理部門には共通する特徴があります。
ここでは、それぞれの管理部門に共通する8個の特徴について解説します。
特徴1:業務範囲が多岐に亘る
すべての管理部門に共通して言えるのが、業務範囲が多岐に亘ることです。経理や情報システムなどのように、一見業務範囲が狭いように思える部門であっても、使用したお金に関する事、あるいは社内のIT系に関することは、部署関係なく対応することになります。
中でも総務の仕事は、組織どこの部署にも属さず、誰が対応すべきか分からないものに対応するため、特に業務範囲が多岐に亘ると言えます。
特徴2:経験が重視される
管理部門の業務は、今後の展開の予測やトラブルへの対処、あるいは計画や進むべき道の決定といった重要な選択を迫られることが多いため、経験が重視されます。既に何回も経験したこともありますが、予想外の出来事があった時でも、専門知識や経験を元に的確かつ迅速な対応を求められます。
逆に言えば、管理部門は積み重ねた経験を元に、業務のノウハウやトラブル対処などのマニュアルが作成できる部門であるとも言えます。
特徴3:専門知識を必要とする業務が多い
例えば、経理や財務ならば簿記や会計に関する知識、情報システムならばIT機器や通信システム、あるいは情報管理法の知識といったように、管理部門は業務の遂行にあたり専門知識を必要とするものが多く存在します。また法務のように、情勢に応じて必要な情報などを、常に得て置かなくてはならないこともあります。
中でも、経営企画は多岐に渡り深い専門知識が必要なため、特にハードルが高いと言えます。
特徴4:コスト削減が求められる
どの部門であっても、管理部門にはコスト削減が求められます。経理や財務、あるいは経営企画は財務数字を元に、削減できる箇所の検討や削減に関する提案などを行います。
また、人事や総務などでも、会社の環境整備や業務改善のために、新しい備品やシステムを導入する時には、複数の業者から相見積書を取り、なるべく低いコストで最善となる策を提案を行う必要があります。
特徴5:仕事の汎用性が高い
管理部門の業務の中には、仕事の汎用性の高いものが多くあります。中でも、人事や総務などの社会保険や労働保険に関する一連の手続き、経理や財務などの決算処理方法などは、汎用性がかなり高いため、転職時の経験スキルとしてもアピールできます。
特徴6:安定的に長く在籍できる
管理部門は経験と専門知識を要求されるため、数年で成果を上げることが難しい仕事でもあります。また、5年10年といった長期スパンで見た場合ですと、業務に従事する人材の育成を兼ねることも少なくありません。
管理部門の人材は簡単に育たない上に経験がものを言いますので、そのことが逆に、安定的に長く在籍できる部署でもあるとも言えます。
特徴7:厳しいノルマがない
管理部門は、営業や販売を行うことはまずありませんので、厳しいノルマが存在しないことも特徴です。営業などの直接部門の人からすれば羨ましい話で、中には「こっちがお前たちの給料を稼いであげているんだぞ」と口悪く言う人もいます。
反面、管理部門側は、成果を挙げている人達が、余計なことを気にせず営業活動に専念できるよう、気配りをしサポートをしてますので、お互い持ちつ持たれつの存在であることに違いはありません。
特徴8:業務が会社の業績に直結しない
営業や販売などの直接部門は、ノルマの達成や前年比プラス何パーセントなどという具体的な数字が明示され、成果が会社の業績に直結します。しかし、管理部門の場合は、経費をいかに削減したか、直接部門の社員がどれだけ業務に集中できる環境を作れたかなどが仕事の成果になりますので、業績に直結しないことがほとんどです。
ノルマの無い分成果が直結しにくいため、ちょっとしたミスでも突かれやすいというリスクもあります。
管理部門に向いてる人の特徴3つ
企業の管理部門は、成果が表に出ない割には業務が多岐に亘るといった、組織の裏方とも言える業務になります。また、管理部門は決して目立つ部署とも言えず、周りの注目を浴びることもほとんどありませんが、逆にそういった部署の方が向いていると言う人も少なくありません。
この項では、企業の管理部門に向いている人の特徴について、3つ挙げていきながら、その理由などについて解説します。
特徴1:支えることが得意
職種を問わず、管理部門の基本となる仕事は、営業や販売など直接部門のサポートです。管理部門は、会社の業績を上げるために日々奮闘している社員が、営業活動に集中できるようにしなくてはなりません。自分が出しゃばることなく、裏方に徹して、他人を支えることが得意、あるいは少なくとも好きである人が、管理部門には向いています。
特徴2:地道なことを頑張れる
管理部門には、地道な仕事を毎日コツコツとこなす部署も少なくありません。経理ならば毎日使用されたお金の伝票振り分け、総務ならば契約書の保管や消耗品や備品などの管理、情報システムならば社内システムの日々の保守活動など、数多くあります。
会社組織内の地道な作業は、成果に直結せず評価もされにくい仕事ですが、それでも、そういった地道な仕事を頑張れる人が、管理部門向きの人と言えます。
特徴3:お金より安定を優先する
日本の会社にも成果主義が増えて来て、成果を上げればその分給与に反映させるというシステムも認識されるようになりました。しかし、この成果主義が有能な営業マンの転職を後押しする形になり、ひとつの所に留まらないワークスタイルも増えました。
管理部門は経験や深い専門知識が必要とされるため、同じ職種や部署で年数やキャリアを重ねる場合が多いので、給与アップよりもキャリアを重ねる志向の人の方が向いています。
企業の管理部門について詳しくなりましょう
企業の管理部門は、日々厳しいノルマに追われている、営業や販売の人達が業務に集中できるよう、官公庁や金融機関、あるいは法律や社内インフラなどに対処している部門です。決して会社の業務実績に直結する仕事ではありませんが、存在しなければ、会社の機能が停止してしまいますので、企業にとって不可欠な部門であることに違いはありません。
管理部門の業務内容について詳しく知り、日々の業務に活かしましょう。