主計課の主計の意味
主計課という役職がありますが、そもそも主計という言葉の意味とは会計を司っている人や役職のこと、あるいは軍隊において会計や軍人への給与などを取り扱っている軍人のことを意味しています。
古くは律令制において主に税を取り扱っていた「主計寮」が元となっており、現在でも大企業などで主計課が置かれていることがあります。主計課を置いていないところでは、経理課や経理部といった形で同じような仕事をしています。
経理の仕事
主計は経理の仕事のうちの1つで、主に税金に関することや財務分析などを行う部門となっています。
主計課以外の経理の仕事には、会社で行われている取引の情報を仕分けし記帳することが仕事の「勘定」、日々の金銭の入金と出金を担当している「出納」などがあります。
主計は経理部の中の1つの部門としている企業もありますが、経理自体を主計課や財務課としてそれぞれに独立させている企業もあることでしょう。
主計を使った役職
日本では財務省に主計局がありますが、そこでは「主計局長」や「主計局次長」といった役職があります。
国の予算編成作業の効率化を目指し、システムに関する業務を行っている主計事務管理室では上席主計事務専門官・主任主計事務専門官といった役職もあります。他に調整を担当する主計企画官や、課長クラスである主計官といった役職もあります。
県職員としての役職には主任主計員、一般企業では主計課課長などが主な役職です。
主計課で行う仕事内容9つ
ここからは、主計課がどのような業務を行っているのかその仕事内容について見ていきます。
まず基本的に大企業では主計課と他の課が分業化されており、主計課といえば主計に関わる仕事しかしない、という場合があります。
しかし中小企業などの規模の小さな企業ではそうはいかず、主計課といっても税務や財務、出納といった経理全般の仕事をすることがあります。ここでご紹介するのは、経理としての仕事内容となります。
主計課の仕事内容1:経理処理相談
主計課の仕事内容、1つ目の「経理処理相談」は会社で発生した取り引きや出金などに際して、どのように経理上の処理をしたらよいのか相談を受ける、という仕事内容となっています。
経理では「勘定」という取引を仕訳して記帳する仕事があるのですが、この仕訳が間違っていると財務諸表などにも間違った数字が表れてしまうため非常に重要です。どのような仕訳で経理の処理を行えばよいのかという相談に乗る、という仕事になります。
主計課の仕事内容2:税金対策
主計の主な仕事内容の1つとなっているのがこちらの「税金対策」ですが、言い換えれば企業の「節税対策」となります。
法人である企業は毎年多くの税金が発生してしまいますが、これらの税金を合法的に節税するのが主計課の税金対策です。役員を増やして節税する、保険や共済に入る方法、資本金の見直しをしたり法人税の繰戻還付を受ける、設備投資を行うなどで税金対策を行っていきます。
主計課の仕事内容3:財務分析
「財務分析」もまた主計課の主な仕事の1つであり、主計課で働く人は経営者に代わり、財務諸表を精査して無駄な出費がないか、前年との比較などの分析を行っています。
経営者は必ずしも経理の専門家ではありませんので、専門家である主計課として財務諸表の問題点を洗い出し、経営者に伝えるのが仕事となります。最低限、簿記の知識や財務諸表の知識が必要となっていますし、きちんと説明できるコミュニケーション力が必要です。
主計課の仕事内容4:現金出納
主計課の仕事内容の4つ目は、日々の現金の入金や出金を記録する「現金出納」という仕事です。
現金の出金入金を記録する補助簿である「現金出納帳」を記帳する、あるいは交通費支給のためなど少額の現金を扱う「小口現金出納帳」の記帳、現金の管理などが仕事となっています。
しかし最近では経理の仕事を減らすため、現金を手元に置かず全て振り込みにするという対応や仮払金の支給に切り替えている会社も増えています。
主計課の仕事内容5:仕訳や伝票整理
主計課の仕事内容、5つ目の「仕訳」では会社の取引について伝票などに仕訳を行い、仕訳を行った伝票を整理するのが「伝票整理」の仕事となっています。
最近では、直接コンピューターに仕訳入力をする機会の方が多いでしょう。伝票を使って仕訳をする場合は、「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」を使って行い、これらの伝票を入力し整理をするという仕事内容となっています。正しく仕訳されているかどうかも、確認します。
主計課の仕事内容6:買掛金支払い管理
「買掛金」とは仕入れ先との取引で発生した未払金のことで、主計課の仕事内容としてはこの買掛金について取引先から届いた請求書の確認・買掛金の支払いなどの管理を行っています。
仕入れに関する買掛金では、現金で支払う方法や振り込みで支払う方法、また小切手や手形を使うという場合があります。主計課では請求書の金額や内容についての確認、それぞれの支払い方法で支払いを行う、支払っても問題ないよう管理を行います。
主計課の仕事内容7:売掛金債権管理
「売掛金」の場合は取引先に対して掛け取り引きで発生した債券であり、主計課の仕事内容には「売掛金債権管理」をする仕事があります。
掛け取り引きで発生する売掛金ですが、実は支払いには時効があります。飲食費などは1年、商品や製品を販売した際の売掛金では2年、建築に関する売掛金でも3年と短いものになっているため、期限切れにならないように債権を管理しておくことは主計課の重要な仕事となっています。
主計課の仕事内容8:与信管理
主計課の仕事内容の8つ目の「与信管理」ですが、こちらは取引先の経営状態を把握して、どの程度までなら売掛金を回収できるかリスクを判断するという仕事内容になっています。
個人でもクレジットカードは与信が重要となっています。法人での与信管理は、売掛金の上限金額を決定して回収不可能な債権を生み出すリスクを避ける、という重要な役割があります。そのために取引先の経営状態について、詳しく調べる必要があります。
主計課の仕事内容9:決算
主計課、経理として最も重要な仕事が9つ目の「決算」で、経理部や主計課の繁忙期となるのは、決算時期になります。
決算は月次決算・四半期決算などの中間決算そして年次決算などの種類があります。決算時にやるべき処理として棚卸作業・減価償却資産の計算・前払いや未払金や貸倒金の計上・精算表の作成などの仕事を行います。
月次決算
「月次決算」というのは、企業内で会社の今の財政状況や経営状態を見るために行われている月ごとの決算であり、基本的に外に開示する決算ではありません。
月次決算を毎月きちんと行っていれば、営業成績の悪化や経営状況の変化に早めに気づくことができます。主計課としても、月次決算をまとめたものが年次決算となりますので、月ごとに確かなものを作っていれば最後の決算で楽になるのは間違いありません。
四半期決算や中間決算
「四半期決算」は事業年度を3か月ごとの4回に区切ってその区切りごとに行う決算であり、「中間決算」は事業年度の中間に行う(半年)決算のことで、こちらの決算内容は上場企業であれば開示する義務があります。
月次ほど細かくはありませんが、四半期では3か月ごとの決算で、中間決算の場合は半年に区切って上半期や下半期決算として行います。年度の途中で会社の経営状況や営業成績が悪化していないか、決算で判断できます。
年次決算
「年次決算」は1年という事業年度でどのような変化があったのか、会社の経営状況などを株主などに報告するために行われているもので、通常「決算」とだけ言うとこの年次決算のことを指しています。
日本では3月を事業年度(決算月)としている企業が多いです。年次決算では財務諸表を作成するために、1年間の勘定科目について正しく処理されているか確認しなければなりません。作業には1か月程度はかかります。
主計課で主計業務をするのに必要なこと
主計課の主計の意味や、主計課が行っている主な仕事内容について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。ここからは、主計課で主計に関する業務をするために必要なスキルや資格、能力について解説していきます。
パソコンスキル
主計課での主計業務にあたっては、パソコンを扱うことは必須となりますのである程度パソコンを自由に扱える「パソコンスキル」が必要です。
かつてはそろばんや伝票を使い手作業で決算を行っていましたが、今ではパソコンに取って代わられています。とはいってもたいてい会計ソフトを用いていますので、ブラインドタッチができてワード・Excel・アクセスなどのソフトが扱えればとくに問題はないでしょう。
資格
主計課で業務を行うにあたっては、ほぼ必須となるのは簿記の資格でしょう。その他にもあると役立つ資格はありますので、紹介いたします。
・日商簿記検定
・給与計算検定
・ビジネス会計検定
・FASS(経理・財務スキル検定)
・経理事務パスポート検定(PASS)
・電子会計実務検定
またこの他に、より難易度が高い専門的な資格として「公認会計士」や「税理士」といった資格もあります。
コミュニケーション能力
主計課では計算ばかりしていればよいのかというとそうでもなく、対人スキルとしてコミュニケーション能力が多いに必要となる場面があります。
例えば、経営に関係している役員たちなどに対して、決算の内容について報告をしたり提案をしたりといったことがあります。
また、日々の主計課の業務では主に社員を相手に仕事をすることになります。計算が得意なだけでは、主計課に向いているとは必ずしも言えないものがあります。
人間性
主計課に配属される人にとって重要視されることの1つが人間性で、直接お金に関わることも多い業務であるため、真面目さや誠実さといった人間性が求められています。
直接経営者に会社の経済状態について話をする機会もあるため、そういった場面でも落ち着いて報告することができる人間性である必要があります。公正で正確に、細かいことに気を配れる人が向いています。
主計課でやりがいのある仕事をしてみよう
主計課が行っている仕事は色々ありますが、企業としての経営判断に必要な資料を提供するなど重要な仕事となっています。
時には企業の財務分析などを行い経営者や会議で助言を行うなど、企業経営の意思決定に多少なりと関われる、そんなやりがいのある主計課の仕事を目指してみましょう。