経理部と財務部の違いとは?
よく似た企業の部署として「経理部」と「財務部」がありますが、この2つはそれぞれに違う業務を担当している部署です。
しかし経理部も財務部もお互いに協力する必要のある部署であるため、2つの部署をまとめて同一の部署としている企業もあります。このあたりは、それぞれの企業の方針によって違います。
経理部
「経理部」というのは、企業においてお金の管理や入出金を担当する「出納業務」・企業間取引やお金の流れを仕訳して記帳する「記帳業務」・従業員の給料を計算する「給与業務」・そして仕訳を元に決算書類を作成する「集計業務」などの業務を行う部署のことです。
企業ないのお金の流れに関しては、経理部がエキスパートとなります。とくに経理部が作成した決算書は企業の成績表でもあり、決算書作成時期が繁忙期となります。
財務部
経理部と違い、「財務部」の仕事というのは経理部が作成した決算書類を元に、融資を受ける必要があるならば金融機関に融資の相談をして資金調達をしたり、投資をしたりする部署のことを言います。
簡単に説明すると経理部が企業内のお金の管理をしているのに対して、財務部は企業のお金を準備したり投資をしたりなどの、資金調達と運用をすることが業務となっています。
財務部がエリートといわれる理由3つ
財務部は多くの企業で出世コースとされ、配属されている人たちもエリートぞろいと言われていますが、どうして財務部がエリートと言われているのかその理由について見ていきましょう。
財務部がエリートと言われる理由には、お金を扱う部署であることや、所属するには高い能力を求められていること、時には企業判断に口を出せるといった理由があります。それぞれの理由について詳しく解説していきます。
財務部がエリートといわれる理由1:お金を扱う部署である
財務部がエリート言われているのは、業務内容が資金調達や運用なので直接お金に関わる部署であることから重要な部署と見られている、という理由があります。
企業は資金運用を適切に行わなければ、存続していくことができません。したがって企業の資金運用に直接携わることになる財務部は、企業の中でも重要な業務を担当している部署となるため、エリートと言われているのでしょう。
他の部署より力と責任がある
財務部は企業全体の資金運用を行っていることから、他の部署よりもその判断に大きな影響力があり、重い責任が発生しています。
財務部の働き次第で企業が存続するか、うまくいかず頓挫するか業務内容が企業に与える影響が大きいため、財務部自体の影響力も他の部署より高めという傾向があります。エリートと言われる財務部が行っている業務は、中小企業では社長の仕事となっている事が少なくありません。
財務部がエリートといわれる理由2:高い能力が求められる
財務部門として行う業務は企業内にとどまらず、金融機関や投資家を相手に資金調達をしたり、投資すべき部門を判断することに高い能力が求められる仕事であるのがエリートと言われる理由です。
決算書を元に自社の状態を把握する能力、どうすべきか考える能力、考えたことを実現させるための能力が必要です。金融機関や投資家との付き合いでは高いコミュニケーション能力が求められる、などもエリートと呼ばれる理由でしょう。
様々な分野の知識が必要とされる
財務部は数字の知識だけでなれる訳ではなく、適切な資金運用をするために金融機関や投資家の情報を集めたり、投資先を決定するためにさまざまな分野のことをある程度知っている必要があります。
財務部は中小企業では社長が担当していることもあると解説しましたが、さまざまな知識を元に経営判断する能力が求められるため、さらに上の役職に就くための布石となる部署でもあります。それもまたエリートと呼ばれる理由でしょう。
財務部がエリートといわれる理由3:企業判断に口を出せる
財務部がエリートと言われる理由の最後は、決算書を元にした分析結果をマネジメント層に伝えられるという理由です。
経営者であるマネジメント層は、財務のエキスパートという訳ではない場合があります。決算書を分析し経営判断に必要な材料を財務部が提供し、ある程度助言を行うなど企業の経営判断に関わる機会のある部署は他にはそうありません。
財務部がエリート言われるのは、報告書の提出先が経営陣であることも理由でしょう。
エリートといわれる財務部の仕事内容3つ
出世コースと言われ、多数のエリートが集められていると言われる財務部の仕事内容は「資金を調達する」・「資金運用をする」・「財務戦略を立案する」の3つとなっています。
財務部の仕事内容はザックリ言えば企業のお金の流れを知ることであるため、エリートとして育てるために財務部に異動させるという企業があります。企業の財務部は政府でいえば財務省にあたる、となれば財務部の重要性は明らかでしょう。
エリートといわれる財務部の仕事内容1:資金を調達する
エリートとされる財務部の仕事の1つは企業が資金繰りに困った際に、いずれかの方法て資金を調達することです。企業が資金を調達する主な方法は「金融機関から融資を受ける」・「株式を発行する」などが一般的です。
エリートと言われる財務部では、こうした金融機関へ営業を行い折衝をしたり、株式を発行することによる企業への影響などを調査して、最も適切な方法で必要なだけの資金を調達することを仕事としています。
エリートといわれる財務部の仕事内容2:資金を運用する
エリートとされる財務部の仕事2つ目は、調達した資金を適切に管理・運用していくという仕事になります。
企業内でどの程度費用がかかるか試算し、不足が起こらないように調整することもエリートと言われる財務部の仕事です。万が一、資金が不足して返済が滞ったりすると企業の信用力に大きな悪影響を与えることになります。
資金が不足するなどの万が一の事態が起こらないよう、財務部は資金を適切に運用しつつ管理を行います。
エリートといわれる財務部の仕事内容3:財務戦略を立案する
近年重みを増している財務部の仕事が、企業の経営を安定させるために行う「財務戦略」の立案でしょう。
エリートとされる財務部では、企業の経営を安定させる・企業の利益を上げるためにどのような部門に投資を行うかなどの判断をします。財務部の判断が間違ってしまえば、企業の価値を損ない場合によっては資金運用に失敗こともあるなど、非常に責任の重い仕事内容となっています。
財務部志望なら取っておきたい資格7選
エリートが集まる出世コースとも呼ばれる財務部ですから、志望してもなかなか異動できるわけではありませんし、転職や就職でも競争率は高くなっています。そこで、ここからは財務部を志望するために取っておいたら有利になる可能性のある資格について紹介いたします。
公認会計士や税理士・簿記検定や証券アナリストなどの資格の種類がありますが、いずれも難易度が高いのが特徴です。資格取得に向けて、頑張りましょう。
財務部志望なら取っておきたい資格1:簿記2級
簿記検定にも種類がありますが、最も良いのは受験者数が多い「日商簿記検定」で2級をとっておくことでしょう。
日商簿記検定でも3級は商業高校なら生徒全員が合格する、など珍しくないためあまり価値はありません。履歴書に書いて価値が出てくるのは、合格率が20%前後となる日商簿記2級以上からです。
2級以降は商業簿記に加えて工業簿記も試験対象となっているため、きっちり勉強時間をとりましょう。
財務部志望なら取っておきたい資格2:公認会計士
財務部志望として取っておきたい資格、「公認会計士」は国家資格なので非常にとることが難しいです。
公認会計士は企業の会計や監査の専門家であり、この資格があれば財務部志望として有利になるのは間違いないでしょう。公認会計士の独占業務は「監査業務」なので、決算書の分析などを行う財務部とは非常に相性がよい資格でもあります。
公認会計士資格をとれば税理士として登録もできるなど資格面で有利ですが、難易度は高いです。
財務部志望なら取っておきたい資格3:税理士
公認会計士が会計の専門家なら、税務に関する専門家が「税理士」でありこちらも国家資格となっています。
税理士もまた財務部とは相性のよい資格ではあるのですが、公認会計士に受験資格がないのと違い、税理士には受験資格があります。大学や専修学校で科目を履修していることや、日商簿記1級保有者などがそれにあたります。
税理士資格を取りたい場合は、学歴・職歴・資格いずれかの受験資格を満たせるようにしておきましょう。
財務部志望なら取っておきたい資格4:証券アナリスト
エリートといわれる財務部に異動するためや、転職する際に有利になる資格として「証券アナリスト」という株式や投資に関する資格も人気があります。
証券アナリストという資格がそもそも業界を分析して株式の価値を評価することや、金融商品の運用、企業の分析や投資などを管理するとなっているため、財務部に向いているという理由があります。株式や証券などの分析の専門家として、財務部に入りやすくなることでしょう。
財務部志望なら取っておきたい資格5:MBA
財務部志望、さらにCEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)を目指すならとっておきたいのが「MBA」資格です。数年留学という形になりますが、MBAをせっかくとるならば、評価の高い海外のビジネススクールで学ぶことがおすすめです。
MBAではマーケティングや財務会計・統計学など経営に必要な科目を学ぶことができますし、学びに来ている他国のエリートと仲良くなれるというメリットが存在します。
財務部志望なら取っておきたい資格6:USCPA
USCPAとは米国公認会計士のことで、グローバル化が進んでいる現代では財務部志望者はとっておきたい資格の1つとなっています。
USCPAをとることのメリットは海外でも通用する公認会計士としての資格であること、グローバルな情報にも強くなることがあげられます。また、MBAと違い費用も抑えられますし、仕事と平行して学ぶことも可能です。
働きながら財務部への異動や転職を目指している場合に、おすすめの資格です。
財務部志望なら取っておきたい資格7:経理・財務スキル検定(FASS)
大企業が取り入れていることで評価が高まっている資格が、簿記よりもさらに実務的な能力を身に着けられる「経理・財務スキル検定(FASS)」です。
簿記よりもより現実的に、実務で扱えるレベルの資産管理・決算・税務・資金の知識が必要となる資格です。FASSの場合は1級2級など合否で判定するのではなく、受験した人のランクをA~Eで判定するため実力が示しやすい、というメリットもあります。ぜひ取得しましょう。
エリートといわれる財務部を目指してみよう
エリートと言われる財務部は責任が重いのと同時に、企業の経営判断に関わる機会があるなど非常に重要な部署となっています。基本的に勤勉で、よく勉強をしたり資格を取得している人が評価される傾向にあります。
財務部を目指している方は、取っておきたい資格を参考に、いくつか取得して財務部を目指してみましょう。