外貨預金の税金とは?
利息に対する税金はどうなるの?
外貨預金の利息に対する税金は、20.315%の源泉分離課税となります。その内訳は、国の税金15%、地方の税金5%、復興特別所得税0.315%です。要するに、日本円の預金利息に対する税金と同じです。
為替差益に対する税金はどうなるの?
外貨預金の為替差益に対する税金は、基本的には「雑所得」として確定申告をして税金を払う必要があります。ただし、年収が2,000万円以下の給与所得者で、給与所得(含退職所得)以外の所得が年間20万円以下の場合は、確定申告は不要で税金はかかりません。また、外貨預金の為替差損が発生した場合は、プラスの雑所得から控除することができ税金が軽減できます。
例えば、雑所得としてライターの原稿料が年間30万円であれば確定申告をして税金を払う必要がありますが、もし、為替差損がマイナス10万円であれば、30万円-10万円=20万円ですので、確定申告が不要で税金が発生しないということです。
外貨定期預金の手数料と利益は?
外貨定期の為替手数料の計算方法は?
例えば、三菱東京UFJ銀行は、インターネットバンキング限定で平成30年3月30日(金)まで外貨定期優遇プランを実施中です。具体的には、外貨定期1年物で年1.4%(通常0.5%)で、預入時の為替手数料も15銭(通常25銭)と優遇されています。ただし、解約時の為替手数料は通常の25銭です。
この優遇プランで、10万円を米ドル定期預金で運用する場合を考えてみましょう。基準為替レート112.56円(平成29年10月9日現在)、為替手数料(預入時)15銭、(解約時)25銭で計算します。
預入時には、100,000円÷112.71円(112.56+0.15)=887.24米ドルとなります。そして、基準為替レートを預入時と同レートと仮定すると、解約時には887.24米ドル×112.31円(112.56-0.25)=99,645円となります。すなわち、355円(100,000円-99,645円)の手数料ということです。
外貨定期の為替差益の計算方法は?
次に、為替差益の計算方法について説明します。先ほどのケースで、解約時に基準為替レートが117.56円と「円安」になったと仮定しましょう。為替手数料を考慮しないで為替差益だけ考えると、887.24米ドル×5.00円(117.56-112.56)=4,436円の利益となります。
外貨定期の利息の計算方法は?
また、外貨預金の利息の計算は、887.24米ドル×1.4%×365日÷360日=12米ドル(税金控除前)です。そして、税金が12米ドル×20.315%=2.44米ドルですので、12米ドル-2.44米ドル=9.56米ドル(税金控除後)となります。ちなみに、米ドルやオーストラリアドルは分母を360日で利息計算をします。
外貨定期の払い戻し金額は?
上記の為替手数料と為替差益(為替差損)と利息をまとめると、払い戻し金額=元本±為替差益(為替差損)+利息(税金控除後)-為替手数料となります。要するに、外貨預金の本質は為替変動による為替差益(為替差損)であることがよくわかります。前述のケースでも、仮に「1円円高」に変動しただけで利益は吹き飛んでしまいます。
外貨普通預金のシステムは?
外貨預金には、「外貨普通預金」もあります。この商品は、1通貨単位から取引可能で、為替の変動に対してフレキシブルに対応できます。また、インターネットバンキングで24時間365日対応です。
TTSレートとは?
TTSレート(電信売り相場)とは、日本円から外貨への換算時に使用されるレートのことです。外貨預金の預入時に適用されます。
TTBレートとは?
TTBレート(電信買い相場)とは、外貨から日本円への換算時に使用されるレートのことです。外貨預金の解約時に適用されます。
為替予約とは?
為替予約とは、株式の指値(さしね)のイメージで考えればいいでしょう。事前に預入レートや解約レートを予約しておいて、その条件に達すると取引が執行される仕組みです。
例えば、三菱東京UFJ銀行の「取引レート予約サービス」を例にして説明しましょう。最低予約金額が1万円相当額以上で、有効期限は最大30日間です。また、予約可能なレートの範囲は基準レート±10銭から5円99銭までです。
外貨預金の銀行別手数料を比較してみよう
外貨預金の投資効率を上げるためには、為替手数料の割安な銀行を選定することが大切です。この外貨預金の為替手数料においても、ネット銀行が優位に立っています。例えば、SBIネット銀行はたった4銭の手数料です。
また、ジャパネット銀行は5銭と、こちらも格安手数料となっています。先ほどの三菱東京UFJ銀行は、キャンペーンでようやく預入時のみ15銭(解約時25銭)と少し健闘していますが、もし、窓口で手続きすれば「1円」もかかり往復で「2円」というボッタクリ手数料に豹変してしまいます。
外貨預金のリスクは?
為替リスク
外貨預金がリスキーな商品と言われるのは、「為替リスク」が内在するからです。高い金利に目を奪われて購入しても、預入時よりも少しでも「円高」になるとその利息を大きく超える損失となってしまいます。
そのためにも、できるだけ円高基調の時に購入して、円安に振れた時に売却したいものですが、「為替相場」は複雑な国際情勢を反映しますので、プロのアナリストでも相場の展望を明確に指南することがむずかしく「神のみぞ知る」相場といっても過言ではありません。
ただし、為替相場のアノマリー(過去の経験則)というのもあり、例えば、日米金利差の拡大は円安傾向が強くなるとか、自民党政権から野党に政権交代すると円高傾向になりやすくなります。
わかりにくい為替手数料
外貨預金の為替手数料は、TTS(預入レート)とTTB(解約レート)の差額が顧客のコストとなります。上記の三菱東京UFJ銀行の外貨定期優遇プランで説明すると、外貨預金の為替手数料は、TTSが112.71円でTTBが112.31円ですので、112.71円-112.31円=0.40円となります。要するに、預入時と解約時の往復で40銭の手数料を払うことになります。
この仕組みが初心者のうちは大変わかりにくいです。外貨預金の為替手数料は、○○○○円という明朗表示ではなく、外貨預金を売り買いするうちにいつの間にか銀行に手数料を取られているというイメージです。
ペイオフの対象外
外貨預金は、預金保険制度の対象外です。円預金に適用されている元本1,000万円までとその利息が保護されないということです。もちろん、現在の日本の経済情勢において、バブル崩壊時のように銀行が破綻するリスクは低いので、そんなに神経質になる必要もありませんが、外貨預金については、少額分散投資をベースに資産運用するのがいいでしょう。
為替レートからみる外貨預金は?
固定相場制
対米ドルに対する為替相場を読み解くには、超長期の為替トレンドを考察する必要があります。一言でいえば、1971年以降のドル円の超長期のチャート(グラフ)から一目瞭然「円高トレンド」が読み取れます。
少し歴史を遡れば、日本は戦後のGHQによる占領下時代から1971年まで長らく1ドル=360円の「固定相場制」でした。その後、1971年12月にスミソニアン協定で1ドル=308円に切り上がり、1973年2月から現在の「変動相場制」に移行しました。
変動相場制
この「変動相場制」以降は若干のアップダウンがありますが、一貫して「円高トレンド」を邁進することになります。決定的だったのが1985年の「プラザ合意」で、ドル安誘導政策によって急速に円高が進行していきます。
その後も、「平成バブル崩壊」から自民党政権交代(細川政権・村山政権)ごろにかけて一段と円高傾向が鮮明になります。最近では、民主党政権時に1ドル=75円まで円高となり、日本中から悲鳴が聞こえました。
直近では、日銀の超金融緩和政策の後押しもあり1ドル=110~113円前後のレンジ相場となっています。
資産運用のポートフォリオとしての外貨預金
ここまで、外貨預金の税金について考察してきました。外貨預金の税金には、利息に対する税金と為替差益に対する税金の2つの税金があることがわかりました。資産運用のポートフォリオ一つとして外貨預金の運用も検討に値します。日本円以外の外貨で分散投資することは、リスクヘッジの観点からも重要です。
ただし、その際には外貨預金の税金やリスクもしっかりと理解した上で、賢い資産形成を図りましょう。