加給年金の特徴|金額/条件/対象者・加給年金の手続きの仕方

雑学

加給年金とは?その特徴は?

加給年金とは、老齢厚生年金の受給者(厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方、または中高齢の資格期間の短縮の特例を受ける方)が65歳に到達した時(定額部分支給開始年齢に到達した時)生計を共にし、65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる時に加算される額のことです。加給年金額加算のためには届出が必要となります。

加給年金の金額は?

加給年金の金額は配偶者と子によって変わってきます。

・配偶者の場合224,300円(65歳未満)
・子(1人目、2人目)は各224,300円
・子(3人目以降)は各74,800円

この金額は、平成29年度価額となります。また、子どもは18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子となります。

加給年金を受ける条件は?

加給年金を受けるための条件を紹介します。

・老齢厚生年金または定額部分が受け取れること。

・老齢厚生年金の受給権を取得した当時、生計を共にしている65歳未満の配偶者、または18歳に達したあと最初の3月31日までの子供がいること。

・生計をともにしている65歳未満の配偶者、または18歳未満の子供が将来にわたり、年収850万円以上の収入が得られないと認められること。

加給年金の対象者は?

加給年金の対象者は、老齢厚生年金を受給する資格がある人と生計をともにする人の内、下記の条件に該当する人となります。

・65歳未満の配偶者
・大正15年4月1日以前に生まれた配偶者
・大正15年4月1日以前に生まれた受給者の配偶者
・18歳未満の子(18歳に達する年の年度末)
・20歳未満で障害等級が1級または2級に該当する障害の状態の子

また、障害厚生年金の受給権者の場合は下記の条件に当てはまる人になります。

・65歳未満の配偶者
・大正15年4月1日以前に生まれた配偶者

加給年金の手続きの仕方は?

いつから加給年金の手続きができる?

加給年金額は、加算開始日が属する月の翌月分から受け取れます。加算開始日以降に手続きができます。それでは、加算開始日とはいつになるのでしょうか。加算開始日について説明します。

・60歳時点で240月満たしている場合(定額開始年齢の誕生日前日)

・60歳から定額部分支給開始時までに退職して、240月満たしている場合(定額開始年齢の誕生日の前日)

・定額部分支給開始後から65歳までの間に退職して、240月を満たした場合(資格喪失日)

・65歳到達時に240月満たした場合(65歳の誕生日前日)

・65歳以上70歳未満の間に退職して240月満たした場合(資格喪失日)

・70歳到達時に240月満たした場合(70歳の誕生日前日)

しかし、資格喪失日以後1カ月を経過することなく、厚生年金保険の被保険者になった場合は該当しません。

加給年金の届け出は?

加給年金の届け出は、加給年金額加算開始事由該当届を提出することでできます。その書類だけでなく添付する必要書類もあります。

必要書類は?

・受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)
これは、受給権者と加給年金額の対象者(配偶者や子供)の身分関係を確認するために必要です。この書類は、加算開始日より後に発行されたもので、提出日の6ヶ月以内のものを用意します。

・世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)
受給権者と加給年金額の対象者(配偶者や子供)の生計がともにされているかを確認するためです。この書類は、加算開始日より後に発行されたもので、提出日の6ヶ月以内のものを用意します。

・加給年金額の対象者(配偶者や子供)の所得証明または非課税証明書(加算開始日から直近のもの)加給年金額の対象者(配偶者や子供)が受給権者によって生計を維持されていることを確認するためです。

加給年金での注意する点は?

年金の繰り上げ受給をしているとき、加給年金は?

老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取れますが。繰り上げ受給をして60歳から64歳までの間でも年金の受け取りをすることができます。通常65歳からもらえる年金を、60歳から64歳の希望の時期から受け取るように請求することができます。

ただし、0.5%×繰り上げた月数が減額され、その後はずっと減額された年金を受給するようになります。厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金の支給繰り上げをした場合、老齢厚生年金も同時に繰り上げされます。加給年金は、受給者が65歳に到達してからですので、繰り上げ受給していても加給年金は加算されません。

また、配偶者が年金の繰り上げ受給をしていても通常と変わらず、配偶者が65歳になるまでは加給年金が加算されます。

年金の繰り下げ受給の場合は?

繰り下げ受給の場合は、加給年金はどうなるのでしょうか。老齢厚生年金を繰り下げ受給する場合、年金額は繰り下げ月数×0.7%分増額されます。繰り下げ受給する場合には、注意する点があります。

遺族基礎年金、または遺族厚生年金や障害基礎年金の受給権がある場合は、老齢厚生年金を繰り下げ受給することはできません。加給年金は、繰り下げ受給されることで増額されるのかどうかというと加給年金の増額はありません。また、支給開始を繰り下げている場合も加給年金を受け取ることができないので、加給年金を受け取る期間が少くなることもあります。

配偶者加給年金額の特別加算

老齢厚生年金を受けている人の生年月日によって、配偶者の加給年金額に特別加算がされます。

・昭和9年4月2日~昭和15年4月1日の人は、33,100円の加算。
・昭和15年4月2日~昭和16年4月1日の人は、66,200円の加算。
・昭和16年4月2日~昭和17年4月1日の人は、99,300円の加算。
・昭和17年4月2日~昭和18年4月1日の人は、132,300円の加算。
・昭和18年4月2日以後の人は、165,500円の加算。

加給年金の金額にそれぞれの金額が特別加算されます。

妻のほうが年上の場合は?

妻が年上の場合はどのようになるのでしょうか。夫の加給年金は、妻が65歳までの間に加算されるものです。妻が年上の場合、夫が65歳を過ぎていれば妻も65歳以上になります。そうすると、夫の老齢厚生年金に加給年金は加算されません。

しかし、加給年金は加算されませんが、夫が65歳を過ぎて老齢厚生年金の受け取りが開始される場合には、妻に振替加算がつきます。また、基本的にはこの振替加算は手続きが必要ありませんが、場合によっては振替加算についても手続きが必要となります。

加給年金が打ち切られた後の対処法は?

加給年金から振替加算となる?

加給年金は、配偶者が65歳に到達したときに受け取れなくなります。この加給年金が打ち切られた後に、配偶者の年金に振り替えられる年金のことを振替加算といいます。振替加算は、配偶者の年金額に上乗せして支給されるようになります。この振替加算を受けるには、一定の要件を満たしているようことが必要です。

振替加算の対象者とは?

振替加算の対象者となる配偶者は、老齢基礎年金を受給する資格を得た時(65歳到達した時)において、その老齢厚生年金受給者が受けている年金の加給年金額の対象となっていた方のうち、条件を満たしている方になります。

・大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること。

・配偶者が老齢基礎年金の他に、老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合、厚生年金保険および共済組合などの加入期間をあわせて240月未満であること。

・配偶者(妻)の共済組合などの加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の(夫は40才以降の)加入期間が生年月日ごとの一定の期間未満であること。

この生年月日ごとの一定期間は次のようになります。

・(昭和22年4月1日以前)180月未満。
・(昭和22年4月2日~昭和23年4月1日)192月
・(昭和23年4月2日~昭和24年4月1日)204月
・(昭和24年4月2日~昭和25年4月1日)216月
・(昭和25年4月2日~昭和26年4月1日)228月

振替加算の額は?

振替加算の額は、大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれの方について、配偶者加給年金額と同額の年額224,300円で、それ以降年齢が若くなるごとに減額していき、昭和41年4月2日以後生まれの方はゼロになるように決められています。

・大正15年4月2日~昭和2年4月1日:224,300円
・昭和2年4月2日~昭和3年4月1日:218,244円
・昭和3年4月2日~昭和4年4月1日:212,412円
・昭和4年4月2日~昭和5年4月1日:206,356円

・昭和5年4月2日~昭和6年4月1日:200,300円
・昭和6年4月2日~昭和7年4月1日:194,468円
・昭和7年4月2日~昭和8年4月1日:188,412円
・昭和8年4月2日~昭和9年4月1日:182,356円

・昭和9年4月2日~昭和10年4月1日:176,524円
・昭和10年4月2日~昭和11年4月1日:170,468円
・昭和11年4月2日~昭和12年4月1日:164,412円
・昭和12年4月2日~昭和13年4月1日:158,580円

・昭和13年4月2日~昭和14年4月1日:152,524円
・昭和14年4月2日~昭和15年4月1日:146,468円
・昭和15年4月2日~昭和16年4月1日:140,636円
・昭和16年4月2日~昭和17年4月1日:134,580円

・昭和17年4月2日~昭和18年4月1日:128,524円
・昭和18年4月2日~昭和19年4月1日:122,692円
・昭和19年4月2日~昭和20年4月1日:116,636円
・昭和20年4月2日~昭和21年4月1日:110,580円

・昭和21年4月2日~昭和22年4月1日:104,748円
・昭和22年4月2日~昭和23年4月1日:98,692円
・昭和23年4月2日~昭和24年4月1日:92,636円
・昭和24年4月2日~昭和25年4月1日:86,804円

・昭和25年4月2日~昭和26年4月1日:80,748円
・昭和26年4月2日~昭和27年4月1日:74,692円
・昭和27年4月2日~昭和28年4月1日:68,860円
・昭和28年4月2日~昭和29年4月1日:62,804円

・昭和29年4月2日~昭和30年4月1日:56,748円
・昭和30年4月2日~昭和31年4月1日:50,916円
・昭和31年4月2日~昭和32年4月1日:44,860円
・昭和32年4月2日~昭和33年4月1日:38,804円

・昭和33年4月2日~昭和34年4月1日:32,972円
・昭和34年4月2日~昭和35年4月1日:26,916円
・昭和35年4月2日~昭和36年4月1日:20,860円
・昭和36年4月2日~昭和37年4月1日:15,028円

・昭和37年4月2日~昭和38年4月1日:15,028円
・昭和38年4月2日~昭和39年4月1日:15,028円
・昭和39年4月2日~昭和40年4月1日:15,028円
・昭和40年4月2日~昭和41年4月1日:15,028円
・昭和41年4月2日以後:0円

これは平成29年度額となります。

振替加算についての注意

振替加算は、加給年金が対象外であっても受け取れるケースがあります。また、振替加算は届出が必要なケースがあります。

年上の妻の場合、先に老齢年金を受給していて後から夫が65歳になって老齢年金の受給が開始するような場合には、通常の年金の続きに加えて届け出をすることで、振替加算を受けられる場合があります。国民年金老齢基礎年金額加算事由該当届の提出が必要となります。

また、添付書類として受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)、世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)、受給権者の所得証明書または非課税証明書(加算開始日から見て直近のもの)が必要となります。

戸籍抄本または戸籍謄本と住民票の写しは、加算開始日より後に発行されたもので、加えて提出日の6ヶ月以内のものとなります。

加給年金と振替加算

加給年金とは、世帯単位で生活資金というものを考えたものです。厚生年金に20年以上加入している年金受給者のために、生活の手助けとして一定額を支給するものです。

加給年金は、加給年金の対象者である配偶者が65歳になると打ち切られてしまいますが、そのかわりに一定の基準によって、配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算として受給することができます。ただ、受給する場合には手続きが必要となりますので、対象となるときには忘れずに手続きをするようにしましょう。

また、厚生年金の加入期間が19年と20年で加給年金が受給できるかどうかだけでなく、遺族年金の取り扱いでも差が出てくるのでその点も注意しましょう。厚生年金の加入期間が20年満たすことが重要です。ほんの少しだけ20年に足りないという場合は、退職日をずらしたりして20年に満たすようにする方法もあります。

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