嫁ブロックとは?
比較的新しい言葉の「嫁ブロック」は、定着してきています。アイドルグループ解散の時や、タレントが都知事選出馬を断念した時などにも噂されていた「アレ」ですが、私たちの身近なところでも結構あります。
「転職」「独立・起業」「移住」などを考えている夫が妻に反対され断念するという事を「嫁ブロック」と呼びますが、内定まで決まっている転職を「妻が反対するから」と言う理由で辞退する人も多く、企業側の「悩みのタネ」として問題になっているくらいなんです。
嫁ブロックを受けやすいケース
転職
「嫁ブロック」を受ける事が多いと言われているのは30代で、「嫁ブロック」をするのは専業主婦の妻が多いと言われています。「嫁ブロック」をされるのが「転職」の場合、理由としては「年収が下がるのが不満」と言うケースが多いので、多少収入が減っても何とかなる共働きの家庭に比べ、夫の収入が頼りの専業主婦の方が敏感になるのでしょう。
また、「勤務体制の変化」や「会社の知名度が下がる」などの理由で嫁ブロックを受けるケースもあるのですが、共働き家庭の場合は転職に至るまでの動機や経緯を妻が共感し納得しやすいというのも、共働きの妻による「嫁ブロック」を受けにくい理由だと考えられます。
独立・起業
「転職」よりさらに「嫁ブロック」にあいやすいのが「独立や起業です」。多少収入が下がれどもお給料が保証されている会社員とは違い、労働時間が増える事や無収入なのは想定の範囲内です。下手すれば借金まで背負いかねないという状況な分、「嫁ブロック」をかけたくなる妻の気持ちもわかります。
「自分で何かを成し遂げたい」と考える男性が多いのに対し、保守的で変化を好まないのが女性です。終身雇用が期待できない現状とは言え、できる限りリスクは避けたいと思うのでしょう。
嫁ブロック以前の問題ですが、いずれチャンスがあればという「野心を持っている人」と「安定した生活を送りたい人」との価値観の違いは大きいです。結婚する前に「自分がどういう生活を好んでいるのか」「相手はどんなタイプなのか」くらいはざっくりとでも見極めておきたいところです。
移住
地方から都会へ、逆に都会から田舎暮らしへの憧れや海外生活と言った「移住」。知り合いもいない見知らぬ土地へ憧れを持って行く方は良いですが、何の思い入れもない土地に「ついていく」だけの方はたまらないです。
転職や起業の時などは仕事を持った共働き家庭の方が反対を受けにくかったのですが、移住となるとまた話が変わってきます。知り合いもいない上に今ある仕事もなくして全くのゼロからのスタートとなれば嫁ブロックが激しくなりそうな事も想像がつきます。
仕事の都合など急な話の場合は単身赴任と言う選択も視野に入れて、「嫁ブロックを受ける」事を前提に話を進めた方がスムーズに話は進むでしょう。
また将来的に住みたい場所がある場合などはできるだけ早いうちから会話に出しておく事がおすすめです。長い期間をかけて自分の考えを伝えておく事で将来の姿のイメージもつきやすくなります。
また、夫の価値観に自分の価値観をすり合わせやすくもなるので、急に話を出されるよりも受け入れやすくなる分、「嫁ブロック」を受けにくくなるのではないでしょうか。
嫁ブロックをされた時の対策は?
まずは話し合い
まずは話し合いです。そもそも「なぜ仕事を辞めるのか」「辞めた先の生活をどれくらい考えているか」なんて事は本人にしかわかりません。家庭があるにも関わらず、嫌な事があったからと職をコロコロと変えていく人もいますし、実力も根拠もない「何とかなる」で新しい事を始めようとしている人もいるのが現実です。
自分の生活を預けている嫁の立場としては、相手がどんな気持ちで仕事を変えようとしているのか、変えた先に苦労はないのかを想像できないうちは「嫁ブロック」という方法で様子を探っている場合もあるでしょう。
仕事を変えようとしている場合、言われた方がどんな気持ちになるのかを理解した上で説得しきるだけの根拠や自信が必要です。そのためにまずは「何のための転職なのか」を自分自身ではっきりさせておく必要があります。
やりたい事を諦めたくない「自分のための転職」なのか、生活のさらに安定を測った「自分たちのための転職」なのか。それによって話し合いの向かう先が決まるとも言えます。
貯金
嫁ブロックをかける妻が不安に思う事と言えばまずは「お金」です。もし、自分(や子ども)の生活を一生保障できるだけの資産を持っている状況なら、夫がやりたい仕事の一つや二つ、快く応援してあげられない嫁はいないでしょう。
現実問題で莫大な資産を持っているという人はごく一部ですが、まだやり直しがきく年齢で、十分な貯金を作った上でなら嫁ブロックを解除する事も可能です。まずは家のお金の状況を見直し、無駄をあぶり出し、月にいくらあれば生活できるのかを夫婦で把握しましょう。
「月々の生活できる金額」プラス「今の貯金で何か月生活できるか」を出したら、交渉もしやすくなります。独立や起業の場合はさらに「〇年で上手くいかなかったら就職しなおす」という期限付きの条件も有効です。
離婚
嫁ブロックをかける妻の切り札が「離婚」という言葉です。この言葉で、実際に転職を断念する人も多いです。繰り返し話し合って説得されているうちに「本当にこれでいいのか」「自分は本当に転職したいのか」がわからなくなってきて、最終的な言葉で断念するというパターンです。
「何のための転職なのか」を自分自身ではっきりさせておく必要があると言いましたが、ここがはっきり定まっていないと妻に言われるがまま転職を断念「させられた」事になり、後々まで後悔を引きずる事にもなりかねません。
自分たちの「より良い生活」を目指すための転職なら、夫婦仲が悪くなる前に現状の生活をキープする方を選んでも良いでしょう。しかし、やりたい事をあきらめたくない「自分のための」転職である場合は大変です。
家庭を持って家族の生活を預かっている以上突拍子もない夢を追いかける事はできませんが、多少収入が下がるという理由で夢を掴むチャンスを頭ごなしに否定されるとか、行きたくない職場でやりたくない仕事を定年までする事を強要されるという場合、嫁ブロックの解除が難しいのなら夫の方からの「離婚」という選択肢もあります。
嫁ブロックは悪い事?
一般的に嫁ブロックと聞いて想像できるのは「自分の生活の保障のために夫がやりたい事を阻止しようとしている妻の図」ではないでしょうか。「年収が下がるから」「名前の知れた会社から無名の会社になるから」などという理由で転職を阻止しようとする妻がいるのも事実です。
でも待ってください。「嫁ブロック」がまったくなく、夫が好きな事を好きなようにできる夫婦が本当にうまくいくのでしょうか。一番近くで夫の性格をよくわかっている妻だからこそ「ここは止めたい」というケースや、どこまで本気なのかわからないからあえてストッパーの役目をかって出る事で「本気度を確かめる」なんてケースもあります。
妻を納得させる事や説得しきる事ができないのなら、夫側の考えもその程度にしかまとまっていないと言う事ではないでしょうか。
「嫁ブロックを受ける」と言う事は、今から自分がやろうとしている事に改めて向き合うチャンスです。自分の考えや、これから先の生活をもう一度考え直して「自分が本当に必要としている考え」「そのためには何をするべきなのか」を見つめ直すことにもなるでしょう。