住民税の計算方法の手順・住民税の年収別シミュレーション

雑学

住民税とは

「住民税」とは、地方税のひとつであり、その中でも最も重要な税目です。「道府県民税」と「市町村民税」の2つを合わせて住民税と言います。

個人に対する道府県民税と市町村民税は、地方税法に基づいて市町村が一括して徴収するため、これらを合わせて住民税と呼んでいます。

住民税を収める方法

住民税を納付する方法には、給与や公的年金から住民税額が天引きされる「特別徴収」と、納付書や口座振替で納付する「普通徴収」の二種類があります。

まずはその基本についてご説明していきます。

方法1「特別徴収」

「特別徴収」とは、給与や公的年金から天引きされることにより住民税を納付する方法です。月々の給与支払がある給与所得者の場合は、勤務先が従業員の給与から住民税額を天引きし、納税義務者(従業員)に代わって市役所へ納入します。

前年中に取得したの公的年金に関して係る税額がある場合は、公的年金等の支払者がその税額を年金受給者の年金から天引きし、納税義務者(年金受給者)に代わって市役所へ納入します。

方法2「普通徴収」

「普通徴収」とは、納期ごとに納付書または口座振替により住民税を納付する方法です。市役所から送られる納税通知書に基づいて支払いを行います。

年4回(6月、8月、10月、翌年1月の末日)、1/4ずつを自分自身で市町村に納付します。特別徴収では年12回に分けられているのに対し、普通徴収では年4回 と少なく、一度に支払う負担が大きくなります。

住民税を計算する手順

では具体的に、年にいくらの住民税を支払っているのかを計算してみましょう。特別徴収では自動的に納付されているため、金額を把握していないという方も多いのではないでしょうか。

住民税とは、前年の1月1日~12月31日の収入や所得控除などから課税金額が計算されます。まずこの「課税金額」がいくらかであるのかを計算しましょう。

手順1「給与所得を調べる」

給与所得とは前年の1月1日~12月31日までに得た「給与収入」から「給与所得控除」を差し引いた金額です。自分で確定申告を行うか会社で年末調整を行ったかにより書類の見方が異なります。

自分で確定申告した場合は、「年間収入-必要経費=給与所得」が給与所得です。確定申告書Aの「所得金額の合計」の金額になります。会社で年末調整をしてもらった場合は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が給与所得です。

手順2「所得控除額を計算」

「所得控除」とは、課税対象となる所得を計算する際に、収入からあらかじめ一定額を差し引く減税措置のことを指します。

住民税においては、全納税者が受けられる「基礎控除」や、収入がの少ない配偶者がいる人に対する「配偶者控除」、16~18歳の子どもがいる人に対する「扶養控除」、保険料を支払っている人に対する「社会保険料控除」、「生命保険料控除」などがあります。これら全ての総称が「所得控除」です。

所得控除1「基礎控除」

基礎控除とは、すべての納税義務者が受けることのできる控除であり、金額は一律330,000円です。どこの地域でもこれは変わりません。

住民税の計算においては、この基礎控除額330,000円を所得金額から控除することになります。

所得控除2「配偶者控除」

扶養に入っている配偶者(妻または夫)の所得金額が380,000円以下の場合は、配偶者控除を受けることができます。金額は一律330,000円です。しかし380,000円を超える場合には、扶養控除ではなく配偶者特別控除を受けることになります。

配偶者特別控除については、配偶者の所得が大きいほど控除額が少なくなります。

所得控除3「扶養控除」

「扶養控除」とは、所得金額380,000円以下の扶養家族がいる場合に受けられる控除であり、16歳以上がその対象となります。

控除額は扶養家族の年齢によって異なり、16歳以上19歳未満と23歳以上70歳未満の場合には330,000円、19歳以上23歳未満の場合は450,000円、70歳以上の場合は380,000円、同居している場合は450,000円となります。

控除額が大きい程、納税者の負担は減ります。

所得控除4「社会保険料控除」

「社会保険料控除」とは、自分または自分と生計を共にする家族について健康保険や厚生年金、国民健康保険、介護保険などの保険料を支払った場合に受けられる控除のことを指します。

控除額はその年に実際に支払った金額、その年の給料や公的年金から差し引かれた金額の全額です。金額に制限はありあせん。

過去の分をまとめて支払った場合や生計を共にする家族の分を支払った場合には、支払った人に対し支払った年が対象となります。

所得控除5「生命保険料控除」

「生命保険料控除」とは、生命保険や個人年金保険の保険料を支払った場合に受けられる控除のことを指します。保険料をいくら支払ったかに応じて、計算方法が異なります。

保険料が15,000円以下なら全額控除、 15,000〜40,000円以下なら保険料×0.5+7,500円 の控除、40,001〜70,000円以下なら保険料×0.25+17,500円の控除 70,001円以上なら一律35,000円の控除です。

保険料控除額
15,000円以下全額
15,000〜40,000円以下保険料×0.5+7,500円
40,001〜70,000円以下保険料×0.25+17,500円
70,001円以上一律35,000円

手順3「課税金額を計算」

以上の控除額を合わせた合計が所得控除額です。所得金額から所得控除額を引いた金額が課税金額となります。計算式としては、「所得金額-所得控除額=課税金額」です。

細かく分類された控除額もあるためややこしいですが、正しく計算するためには正確に数字を確認する必要があります。計算に当たっては、全ての項目に対して繰り返し確認を行いましょう。

手順4「調整控除額の計算」

調整控除とは、所得税と住民税における控除額の差をなくすために引かれる金額を指します。

・課税金額が20万円以下の場合
①所得税の人的控除額との差の合計
②課税金額
「①②の金額の少ない方×0.05=調整控除額」

・課税金額が200,001円以上の場合
①所得税の人的控除額との差の合計
②課税金額-2,000,000
「(①-②)×0.05=調整控除額」

控除額が2,500円未満の場合には一律2,500円となります。

手順5「住民税額を計算」

住民税額は、「市区町村民税+都道府県民税-調整控除額」という計算です。市区町村民税と都道府県民税については、それぞれ「所得割+均等割」によって求められます。

所得割は市区町村民税の場合は「課税金額×0.06」、都道府県民税の場合は「課税金額×0.04」が多いですが、割合がいくらであるかは自治体によって異なります。均等割についても、それぞれの自治体に定めがありますので、そちらを確認してください。

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年収別の住民税額シミュレーション

年収によって、住民税にはどれほどの変化があるのでしょうか。特定の条件でシュミレーションをしてみます。

東京都港区在住の独身サラリーマンという設定で、住民税がいくら変わるのかを計算します。(東京都の都道府県民税の均等割:1,500円、港区の市区町村民税:3,500円、基礎控除のみ)

課税金額と調整控除の算出から、市区町村民税と都道府県民税を算出します。市区町村民税+都道府県民税-調整控除額=住民税です。

年収1「3,000,000円」

算出方法は、以下の通りです。

①課税金額=(給与所得-給与所得控除)-基礎控除=1,590,000円
②調整控除額→50,000×0.05=2,500円
③市区町村民税=(課税金額×0.06)+3,500=98,900円
④都道府県民税=(課税金額×0.04)+1,500=65,100円
⑤住民税→98,900+65,100-2,500=161,500円

住民税は161,500円となります。

年収2「7,000,000円」

算出方法は、以下の通りです。

①課税金額=(給与所得-給与所得控除)-基礎控除=4,770,000円
②調整控除額=50,000×0.05=2,500円
③市区町村民税=(課税金額×0.06)+3,500=289,700円
④都道府県民税=(課税金額×0.04)+1,500=192,300円
⑤住民税=289,700+192,300-2,500=479,500円

住民税は479,500円となります。

年収3「15,000,000円」

算出方法は以下の通りです。

①課税金額=(給与所得-給与所得控除)-基礎控除=12,370,000円
②調整控除額=50,000×0.05=2,500円
③市区町村民税=(課税金額×0.06)+3,500=745,700円
④都道府県民税=(課税金額×0.04)+1,500=496,300円
⑤住民税=745,700+496,300-2,500=1,239,500円

住民税は1,239,500円となります。

住民税は前年の収入に応じて計算されます

いかがでしたか。この記事では、住民税について、その仕組みと計算方法をご紹介しました。

「住民税」は、前年度の所得(収入-控除額)によって算出されます。つまり、以上の計算によって出された住民税額はその次の年度に請求されるということです。

したがって、今年度の収入が多ければ多いほど来年度の住民税は高くなり、今年度の住民税は前年度の収入に基づいているということになります。

退職の翌年の納税に気を付けましょう

住民税は、前年の収入に基づいて計算・徴収されます。そのため、現在無収入であっても前年に収入があれば、高く請求されてしまいます。支払わなくて良いということはありません。

そのため、住民税のしくみを知らないまま過ごしていると、後々大打撃を受けることになります。早い段階から先を見越して、金銭をやりくりすることが大切。

収入を得られない事情においては負担も大きいので、それに向けた計画を立てておきましょう。

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