無職の場合の住民税の申告の要否・払えないときの対処方法

雑学

無職の場合の住民税申告書の書き方

住民税申告書は、個人が前年中(1月1日から12月31日)の収入・所得などの金額を申告する際に提出するものです。この書き方は、地域(自治体)によって様式が異なりますし、立場によっても異なります。無職状態の方が、この住民税申告書をどのように記載し、手続きしたらよいのかを紹介します。

無職は確定申告に行く必要があるのか?

結論から言うと、育児や介護などでまったく職についてなく、収入が1年間にわたって無い無職の方は、確定申告に行く必要がありません。確定申告は、その個人が1年間に得た所得を申告することで、所得税と住民税をいくら納付するのか、確定させるために行います。よって、所得がない場合には確定申告を行う必要がありません。

しかし、確定申告を行わない代わりに、住民税の申告をする必要があります。住民税の申告は無収入の無職の方にも義務付けられており、これをすることによって国民健康保険料を軽減することもできますので、必ずするようにしましょう。

株取引の申告の要否と損得

無職の方で、株取引をするフリーランスの個人投資家もいますが、その方も毎年2月から3月の確定申告に行く必要があります。一般口座もしくは、源泉徴収なしの特定口座で取引している人は確定申告がありますが、源泉徴収がある特定口座で運用している方でも、もし損失が出た場合確定申告をした方がお得になります。

これは、損失の繰越控除という制度で、翌年に利益が出た場合利益にかかる税金を軽減することができます。現在、確定申告書書類はオンライン上でも作成できますので、作成することをおすすめします。

結婚で無職になったときの手続き

結婚して退職し、無職になった方も確定申告が必要となる場合があります。通常は、会社が従業員の発生した所得を確定申告して納税してくれますが、退職し無職になった場合は自分で行う必要があります。次に当てはまる場合は、税の申告をしてください。これにより、払いすぎた分の税金が戻ってきます。

①年内に退職し、無職状態で12月31日を迎える場合
②退職した年内に、就職したものの、再度退職し、無職状態で12月31日を迎える場合

結婚後退職し無職になり、確定申告する場合には次の書類を準備してください。
①源泉徴収書(会社より送付される)
②退職金の源泉徴収書
③社会保険料控除証明
④生命保険料控除証明

これらの書類を揃えた上で、申告書を作成する必要があります。申告書は、国税庁のサイトでオンラインで作れるのでおすすめです。

住民税の計算方法

個人で事業を行っている個人事業主、または無職の方は「都道府県民税」と「市区町村民税」の2種類の住民税を支払う必要があります。この2種類の住民税には、それぞれ「均等割」と「所得割」があります。それぞれの種類ごとに計算方法が異なってきますが、住民税の金額は「均等割額」と「所得割額」の合計で計算されます。

均等割の場合

均等割とは「得られる所得に関係なく、住民に同じ額の税金がかかる」ということです。この場合、一定の所得を下回った場合、均等割の住民税を免除してもらうことができます。

税額は支払う、都道府県、市区町村によって金額が異なってきますが、一般的には都道府県民税が1,500円、市区町村民税が3,500円なので、1,500+3,500=5,000円です。(平成26年度〜平成35年度は、復興特別税が500円ずつ加算されています)

所得割の場合

所得割は、前年の所得金額によって支払う住民税の金額が変わってきます。結婚、出産、自己都合で退職し無職になった方は、前年の所得金額に沿って計算し、支払う必要があります。所得割は、所得金額に税率をかけて計算されます。

具体的には(①所得金額ー②所得控除)×③税率ー④税額控除、として計算されます。

①所得金額は、前年の1年間(1月1日〜12月31日)に得た給与所得です。無職の方や個人事業主の場合、年間収入から必要経費を引いた金額がこれにあたります。会社員の場合は、「給与所得控除後の金額」がこれにあたります。

②所得控除は、扶養家族がいる場合や社会保険料や生命保険を支払った場合、控除できる金額です。

③原則として、税率は都道府県民税4%+市町村民税6%=10%です。

④税額控除は、税額から直接差し引かれる控除です。「配当控除」「調整控除」の他、ふるさと納税である「寄付金税額控除」もこれにあたります。

住民税の納付方法

住民税はどのようにして払うのか?

無職もしくは個人事業主の場合、住民税を普通徴収によって支払う必要があります。この場合、納付書によって一括または4期に分割して支払います。納付書によって住民税を支払う場合の流れは以下のとおりです。

①前年(1月1日〜12月31日)の所得額について確定申告を行う。(2月中旬〜3月中旬)
②確定申告書に基づき、市区町村役場で納税額が決定され、決定通知書と納付書が個人宛に送付される。(5月下旬〜6月中旬)
③一括または、4期に分割して住民税を納付する。

納付書の裏面に記載してある取扱金融機関の窓口や、コンビニエンスストアで支払うことができますし、口座振替やクレジットカード払いに対応している自治体もありますので、各自確認しましょう。

還付の受け方とは

年末調整や確定申告の結果を踏まえ、払いすぎた税金を還付し変換してもらえる場合があります。住民税の場合「扶養控除の変更」「医療費控除の変更」などの場合に、還付してもらえるケースが多いです。

こうした控除の変更に気づいた場合「確定申告の期限後申告」を行うことで、還付を行う事ができます。この申告は、自己申告制なのでご自身で計算し、還付を申告することが必要です。

無職で住民税が払えない時は免除されるか?

無職の場合、住民税を支払うことが困難な場合もあります。この時には、無職者のための住民税の免除・減免申請を行うことにより、減税を受けることができます。

しかしながら、住民税の免除・減免申請は、納税者の住んでいる市町村によって、条件が全く異なります。そのため、ご自身の住んでいる市町村で住民税の減免を受けるか確認する必要があります。減免を受けることができる場合、無職中に大幅に節税することができますので、必ず確認するようにしてください。

政令市の住民税の取扱例

京都市の場合

京都府民税と京都市民税には超過課税がないので、合計すると均等割額5,000円と所得割率10%と全国の市&区の住民税ランキングの安い順で第二位となっています。また、京都市では、①生活保護法による生活扶助を受けている人、②障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年の合計所得金額が125万以下の人は、均等割も所得割も課税されないことになっています。

北九州市の場合

北九州市の場合、①生活保護法による生活扶助を受けている人、②障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年の合計所得金額が125万以下の人、③前年中の合計所得金額が、次の算式(※)で求めた額以下の人は、均等割も所得割も課税されないことになっています。

※35万円×家族数(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+21万円

神戸市の場合

神戸市では、平成26年度〜35年度の10年間で震災特別事業資金として、市民税が500円増額されています。

また、①生活保護法による生活扶助を受けている人、②障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年の合計所得金額が125万以下の人、③前年中の合計所得金額が、次の算式(※)で求めた額以下の人は、均等割も所得割も課税されないことになっています。

※35万円×家族数(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+21万円

札幌市の場合

札幌市では、全国の市&区の住民税の金額ランキングで、第二位の安さとしてランクインしています。

①生活保護法による生活扶助を受けている人、②障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年の合計所得金額が125万以下の人、③前年中の合計所得金額が、次の算式(※)で求めた額以下の人は、均等割も所得割も課税されないことになっています。

※35万円×家族数(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+21万円

無職の場合の住民税の支払いについて

無職の場合の住民税について主に紹介しましたが、いかがでしたか。住民税は、前年の所得に応じて課税されているので、無職になった場合でも支払う必要があります。無職といって、支払いを無視すると滞納金が課され、資産が差し押さえられることもあります。ご自身の支払うべき税額についてしっかりと把握し、必要によっては市町村に相談するようにしましょう。

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