ピカソが残した名言集
パブロ・ピカソを知らない人はいない、そう断言してもよいほど彼は有名な芸術家です。誰もが彼の作品を見たことがあり、その存在を知っています。それは、92年の生涯の中で、147,800点もの作品を世に送り出した結果が物語っています。13,500点の絵画、100,000点の版画、34,000点の挿絵、300点の彫刻を制作しており、ギネスにも登録され、現在もその記録は破られていません。
そしてピカソは、生前に最も稼いだ芸術家でもありました。ゴッホなどは、生前評価されることなく、有名になったのは死後のことです。支払いを小切手でしていたピカソですが、銀行からお金が引き落とされることはありませんでした。その小切手にされたピカソのサインが、金額よりも価値があったからです。
驚嘆するような逸話の多いピカソですが、名言もたくさん残しています。それは、誰もが聞いたことのあるような名言ばかりです。
スペイン語
●「Lleva tiempo llegar a ser joven.」
ー若くなるには時間がかかるんだ。ー
大人になるのではなく「若くなる」と、ピカソは言っています。矛盾するようですが、しがらみや社会のルールを気にすることなく、精神的に自由になることを「若くなる」と表現しているピカソらしい名言です。
●「Pero recuerda, la única persona que te acompaña toda la vida eres tú mismo.」
ー覚えておくんだ。生涯あなたに付き添ってくれる唯一の人はあなた自身なんだ。ー
子供のような自由な精神を持ちつつも、天才の孤高を感じる名言のひとつです。
フランス語
●「Dans chaque enfant il y a un artiste. Le problème est de savoir comment rester un artiste en grandissant. 」
ーすべての子供の中に、アーティストが潜んでいる。問題は、大人になっても、どのようにしてアーティストであり続けるかだ。ー
晩年のピカソは、子供のように描くことを追求していました。それはテクニックではなく、心のあり方、精神の自由さです。この名言は、ピカソの理想と言えます。
芸術に関するピカソが残した名言集
ピカソは、芸術に関する名言もたくさん残しています。その名言の内容には、ピカソの作品を理解する上で、重要な考え方や思いが詰まっています。天才ならではの名言もありますが、ポジティブな内容のものが多く、心が上向きになる名言がたくさんあります。
模倣するのは誰?
●「凡人は模倣し天才は盗む」
●「良い芸術家は真似をする。偉大な芸術家は盗む」
例えば、デザイン業界などでは、新しいものは出尽くしたと言われます。なんらかの既成のものからインスピレーションを得て、創作するケースは少なくありません。では、「真似」と「盗む」の違いはどこにあるのでしょう。
ピカソの名言からは、模倣するだけではオリジナリティーのないただのコピー、さまざまなものを盗んで組み合わせ、新たな価値観を生み出すことが芸術家だと取れます。この名言に影響を受けたのが、アップルの創業者であったスティーブ・ジョブズです。ジョブスは、他人のアイディアを盗むことを恥じてはいませんでした。それは、ピカソが名言で残していたからです。
子供のように描く
●「ようやく子どものような絵が描けるようになった。ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ。」
子供が描いた絵と子供が描いたような絵は、似て非なるものです。10代の頃のピカソは、写実的で伝統的な油絵を描いていました。その後は、青の時代・ばら色の時代・アフリカ彫刻の時代・キュビズムの時代・新古典主義の時代・シュルレアリスムの時代と変化していきます。
一見すると落書きのようなピカソの絵に価値を見いださない人もいます。実際、晩年のピカソの作品は、低い評価しかされませんでした。しかし、新表現主義が流行ると手のひらを返したように評価され始めます。
既成概念に囚われず自由な心で描くことは、大人に成長した人たちにとって、いかに難しいことかが分かるピカソの名言です。
芸術は嘘なのか?
●「芸術が真実でないことは、誰もが知っている。芸術とは、真実を悟らせてくれる嘘である。芸術家は、嘘の中にある真実を人に納得させるだけの技量を身につけなければならない。」
目に見える世界だけが、真実なのか否かは誰にも分かりません。絵画は平面であり、二次元です。しかし、人間だけが芸術作品と言われるものを見て感動し、奥行きを感じ、光や風を感じます。それらを感じさせるだけの技量(嘘)が芸術家には必須だ、とピカソは言っています。
「嘘」が作り出す芸術の世界の共犯者は、世界中の人たちです。もし、「芸術の嘘」が存在しなかったら、世界は味気ないものになります。そして、偉大なピカソも名言も存在していません。
ピカソの人生観がわかる名言集
ピカソの作風は、めまぐるしく変化しています。その理由のひとつとして、ピカソはADHD(注意欠如・多動性障害)だったのではないか、というものがあります。集中力がなく、新しいことを求めていないと生きていけない「新寄性探究」の特徴の現れとも言われます。
そして、ピカソはモノを捨てられない人でもありました。整理整頓が全くできず、部屋には雑多なものがうずたかく積まれていました。大事な仕事であっても、自分が興味を持てないものには手を付けなかったピカソは、言い訳のような名言を残しています。
●「明日に延ばしてもいいのは、やり残して死んでもかまわないことだけだ。今日できることは今日すべき。」
コンピューターは無能?
●「コンピューターなんて役に立たない。だって、答を出すだけなんだから。」
ピカソが生きていた時代と現在のコンピューターは、きっと性能も役割も違うはずです。ただ単純に計算をし、答えを出すだけなら、コンピューターは役立たずです。しかし、現在のコンピューターは、芸術作品の手助けも可能な能力を得ています。もし、ピカソが今も生きていて、21世紀のテクノロジーに触れたら、どうだったでしょうか。
しかし、芸術には答えはありません。そして、ピカソが最終的に目指したのは「子供の絵」でした。予測不能で既成概念に囚われない、「自分らしさ」や「オリジナリティー」にこだわったピカソには、コンピューターは無用の長物なのでしょう。
ゆるぎない絶対的な法則
●「できると思えばできる、できないと思えばできない。これは、ゆるぎない絶対的な法則である。」
これは、誰にとっても普遍的な言葉であり、名言です。やらなければ何も始まらないし、結果も得られません。それ故に「絶対的」と言えます。そして、受け取る側のそのときの心情で、良くも悪くも作用する言葉です。
愛すること
●「愛は人生において、最も優れた栄養源である。」
●「人生で最もすばらしい癒し、それが愛なのだ。」
ピカソは、愛についても多くの名言を残しています。しかし、79歳で最後の結婚をするまで、ピカソには何人もの愛人、ガールフレンドがいました。その数は定かではなく、数十人と言われています。生涯、女性に困らなかったピカソですが、男性として魅力的だったのか、有名な芸術家だったからモテたのかは、誰にも分かりません。
しくじり先生で紹介されたピカソの名言
●「ミュージアムをひとつくれ。埋めてやる。」
この名言は、ピカソがいかに多作であったかを物語っています。その結果、盗作疑惑まで勃発します。この時、ピカソが言ったのが「凡人は真似をし、天才は盗む」という名言でした。
92年の生涯を通して、ピカソのそばには常に女性がいました。モテたとも言えますが、女性にだらしなかったとも言えます。そのピカソが死に際に残した言葉が「女っていいもんだよ」でした。ピカソらしい最後の名言です。
ポジティブな名言を味方にしよう!
ピカソほど、世界中の誰もが知っている芸術家はいません。ピカソの名言と知らず、記憶に残っている名言もたくさんあります。それほどピカソは多くの名言を残しています。もしかしたら、彼自身がなんとなく喋ったことを、周囲の人たちがありがたがり、名言へと昇華した言葉の可能性もあります。しかし、それだけピカソのという芸術家は、影響力があったとも言えます。
ピカソの芸術、哲学、作品に関しての名言が多く残されています。そのどれもがポジティブで、心の目を開かせてくれます。大げさなことではなく、ちょっとしたスパイスとして、日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。実践してみる価値は大いにあります。