火災保険の保険料の控除はされるのか・やり方|年末調整

雑学

火災保険の保険料の控除を知ろう!

天災は予測できない。台風や水害、地震に火山の噴火まで、こんな時代ですから「うちは大丈夫」とは言い切れません。家族が安心して暮らすため、火災や落雷、水濡れや盗難に備えて自宅に火災保険を掛けている方は多いと思います。

生命保険や医療保険に加入している場合は、年末調整で所得控除を受けることができますが、この火災保険、年末調整で控除の対象となるのでしょうか?
今回は、火災保険をテーマに、自宅や家財に対する保険料の控除についてまとめていきます。

火災保険は控除の対象になる?

結論からいうと、現在火災保険の保険料は、保険料控除について非対象となっています。少し前は「損害保険料控除」という保険料控除項目があり、火災保険はこの対象になっていましたが、平成19年の税改正によって損害保険料控除の制度が廃止となりました。そのため、平成19年以降は火災保険は保険料控除の対象から外れてしまいました。

火災保険は年末調整で控除できる?

前述のとおり、平成19年以降、火災保険は保険料控除の対象から外れてしまいましたので、火災保険の保険料を年末調整で控除することはできなくなりました。

火災保険の控除は確定申告でできる?

平成19年以降、火災保険は保険料控除の対象から外れてしまいましたので、火災保険の保険料は年末調整同様、確定申告でも控除することはできなくなっています。

火災保険の控除廃止後、今の制度はどうなってる?

代わりの制度が新設されました

損害保険料控除が廃止され、火災保険料の控除が廃止された一方、代わりに創設されたのが、「地震保険料控除」です。地震保険に加入している場合、その保険料が地震保険料控除の対象になる、というものです。具体的には、「平成19年1月1日以降に契約された居住用家屋(建物)と生活用動産(家財)を保険の目的とする地震保険契約」が対象となります。

地震保険は地震保険単独で加入することができないため、通常火災保険とセットで契約しますが、地震保険料控除の対象となるのは、地震保険料に該当する部分の保険料です。つまり、火災保険料の代わりに、毎年支払う地震保険料を所得から差し引くことができるということになります。

対象になるかどうかは控除証明書をチェック!

支払った保険料が地震保険料控除の対象となるかどうか、また、対象となる金額については、毎年だいたい9月〜11月頃に火災保険会社から送付される保険料控除証明書というはがき確認でいます。この控除証明書は年末調整で必要になりますので、保険会社から届いた書類はよく確認しましょう。捨ててしまわないようご注意ください。

ケースで見る「控除の対象」3例

(1)県民共済の火災保険控除は?

火災保険に対する損害保険料控除は平成19年12月末をもって廃止となりました。
県民共済で加入していた火災共済は火災保険と同じ取り扱いとなるため、控除対象となりません。

(2)賃貸マンションの火災保険控除は?

火災保険に対する損害保険料控除は平成19年12月末をもって廃止となりましたので、加入している火災保険は控除対象となりません。しかし、新たに対象となった地震保険に加入している場合は、賃貸契約でももちろん地震保険料控除を受けられます。賃貸住宅に住んでいる人は、賃貸契約の際にほぼすべてのケースで火災保険の加入を求められますが、その契約内容は「家財保険」および「借家人賠償責任保険」になっていると思われます。

この火災保険に加え、「地震保険の付いている」家財保険に加入していれば、地震保険料控除が受けられます。「控除の対象になる?」と思われたら、控除証明書をチェックしてください。契約が対象のものかわかるようになっています。

(3)新築の控除

火災保険に対する損害保険料控除は平成19年12月末をもって廃止となりましたので、加入している火災保険は控除対象となりません。しかし、新たに対象となった地震保険に加入している場合は、もちろん地震保険料控除を受けることができます。

例外!保険料控除の対象になる火災保険もある

火災保険は基本的に保険料控除の対象外ですが、一部、地震保険料控除に含めてもいい場合があります。それは、その保険料が「旧長期損害保険料」に該当する場合。
損害保険料控除が廃止され、その経過措置として、以下の要件を満たす火災保険契約についてはその保険料は「旧長期損害保険料」として地震保険料控除の対象とすることができます。

・平成18年12月31日までに締結した契約
 (保険期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
・満期返戻金等のあるもので保険期間が10年以上の契約
・平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの

今から新たに加入することはできませんが、対象となる契約に加入している場合は、申告を忘れることがないよう注意したいもの。今一度、契約内容を確認しましょう。

二つの控除の対象になる場合は?

「地震保険料控除」と「旧長期損害保険料控除」の両方が対象になる場合もあります。その場合、控除される金額はそれぞれの方法で計算した額の合計となります。ただし、限度額は決まっており、下記のようになっています。
(控除限度額)
所得税 →合計額が50,000円を超える場合は、50,000円
住民税 →合計額が25,000円を超える場合は、25,000円

また、1つの契約に「地震保険料控除」と「旧長期損害保険料控除」両方が控除の対象となる保険料がある場合、どちらか一方の保険料のみが保険料控除となります。そして、火災保険だけに加入している場合年末調整で所得控除は受けられませんが、地震保険に加入している場合は地震保険料控除の対象になります。また、旧長期損害保険に該当する保険に加入している場合も控除の対象になるため、契約中の保険を一度確認してみることをおすすめします。

どれくらい控除される?

地震保険料控除による控除額は?

地震保険料控除額は、その年に支払った保険料の総額に応じ、下記の方法で計算します。

(1)地震保険料の場合
その年に支払った保険料が5万円以下→支払額全額
その年に支払った保険料が5万円を超えている→5万円

(2)旧長期損害保険料の場合
その年に支払った保険料が1万円以下→支払額全額
その年に支払った保険料が1万円超2万円以下→(支払金額÷2)+5千円
その年に支払った保険料が2万円を超えている→1万5千円

(3)地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合
上記それぞれの方法で計算した金額の合計額。
ただし、合計で5万円が限度。

なお、一つの保険契約で地震保険料と旧長期損害保険料の両方を支払っている場合には、地震保険料または旧長期損害保険料のいずれか一方の控除を受けることになります。
その選択は納税者がしてよいことになっています。

地震保険料が一時払いの場合の注意点

地震保険料控除の対象はその年の1月1日から12月31日までに支払った保険料です。しかし、保険始期が12月で、支払い方法が一時払いなどまとめて支払いの場合、気をつけておかないと保険料の支払いが翌年になってしまうケースがあります。

契約している保険会社にもよりますが、保険始期が12月で、手続きも12月(満期月)だと、口座引落が月をまたいでしまうことがあります。また、満期月の翌月に後払いで引き落としをする保険会社も。契約先を変更した場合なども、地震保険料控除が1年先になるケースがでてくるので注意が必要です。

控除に必要な書類はどうやって届く?

地震保険契約の保険料控除証明書はどのように受け取るのでしょうか。

火災保険とセットで地震保険に加入したケースでは、保険料控除証明書は契約後に送付される「保険証券」についていることが多く、その場合は証明書部分を切り離して申請に使用します。保険期間の途中で地震保険を追加した場合、追加分の保険料控除証明書はハガキで送付されてくることが一般的です。

地震保険料控除は地震保険に加入していなければ対象にならない!

よく考えれば当たり前のことですが、落とし穴はここにあります。
地震保険は火災保険とセットで加入しますが、火災保険だけしか加入していない人は地震保険料控除の対象ではありません。地震保険に加入していなければ、年末調整はもちろん、確定申告についても地震保険料控除の対象外ですので手続きは不要です。

火災保険の保険料の控除は案外かんたん

いかがでしたでしょうか。さほど難しくはなく、案外かんたんと感じられたのではないでしょうか?

火災保険の保険料の控除について、例を挙げてみてきました。年末調整で必要になる控除証明書は、9月~10月頃に発送されることが多いので、紛失して提出できなくなってしまわないよう、保管には気を付けましょう。

上記をまとめると、
「火災保険のみの加入は、年末調整で所得控除を受けられない」
「地震保険に加入していたら年末調整で地震保険料控除の対象になる」
「賃貸住宅に住んでいるケースでも、加入している「家財保険」に地震保険が付いていれば地震保険料控除の対象になる」
「一定の要件を満たす満期返戻金のある長期火災保険は、旧長期損害保険料控除の対象になる」
の4つが要点です。
せっかく対象になっている保険料ですので、控除申請はしっかりするようにしましょう。

タイトルとURLをコピーしました