「之」という漢字について
「之」という漢字にはどのような読み方や意味があるのでしょうか。
「之」という漢字は、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。しかし、明確な意味や使い方については良く分からないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、「之」という漢字の成り立ちや意味などを説明します。
「之」は名付けにも良く使われている漢字です。是非参考にしてみて下さい。
読み方
「之」という漢字には、音読みで「シ」、訓読みで「の」、「これ」、「こ(の)」、「ゆ(く)」という読み方があります。
名乗りとしては、「いたる」、「くに」、「し」、「つな」、「のぶ」、「ひさ」、「ひで」、「ゆき」、「よし」、「より」などの読み方があります。
「名乗り」とは、通常の音読み・訓読み以外で、人名用に使われている読み方を指します。「之」という漢字は、名乗りを含めると非常に多くの読み方を持ちます。
画数・部首
「之」という漢字の画数と部首はそれぞれ2通りあります。
画数は3画または4画とされています。3画の場合、1画目の「点(または縦棒)」、2画目の「フ」、3画目の「はらい」から成ります。
4画の場合は、「フ」を「一」と「ノ」に分けて数えます。
部首は「丶(てん・ちょぼ)」または「ノ(の・はらいぼう)」です。
総画数3画の場合は「丶(てん・ちょぼ)」、4画の場合は「ノ(の・はらいぼう)」とされることが多いです。
成り立ち
「之」という漢字は、「止」と「一」を組み合わせた文字で、「行く」という意味を持っています。
「止」と「行く」では正反対のイメージがあるかもしれませんが、「止」は象形文字で人の足を表しています。
「止」に出発点を表す横棒「一」が加わることで、一歩踏み出して行くという「ゆく」、「出る」という意味が生まれました。
「一」がまっすぐ横に伸びていることから、「まっすぐに進みだす」という意味を持つようになりました。
「之」を見る場所は?
「之」はどのような場面で目にすることが多いのでしょうか。
日本では小学校1年生から漢字を学び始めます。小学校6年間で覚える漢字を「教育漢字」といい、現在では約1,000文字が対象となっています。
「之」は教育漢字ではありませんが、学校の授業などで触れることがあります。
ここでは、「之」という漢字を目にする機会が多い場所をご紹介していきます。
中学・高校の国語の授業
「之」という漢字は、中学・高校の国語の授業で目にします。
その代表例が「芥川龍之介」の「之」です。
芥川龍之介は日本を代表する文豪の一人で、数々の作品をこの世に残しました。特に「蜘蛛の糸」や「羅生門」などは国語の授業で学んだという人も多いでしょう。
また、漢文でも「之」の字が出て来ます。「漢文」は古代中国の文語体の文章をいい、中学や高校の国語の授業で学びます。
人名
「之」は人名に良く使われている漢字です。
人の名前から「之」という漢字を知ったという人も多いのではないでしょうか。
「之」を含む名前の歴史上の人物として、前述の「芥川龍之介」や戦国時代~安土桃山時代の武将「家城之清(いえきゆききよ)」、新撰組十番隊組長「原田左之助」が挙げられます。
また、芸能人では香川照之さん、佐々木蔵之介さん、山田孝之さん、神木隆之介さんなど「之」がつく著名人が多く存在します。
「之」がもつ意味3つ
「之」という漢字には、どのような意味があるのでしょうか。
「之」は比較的馴染み深い漢字といえますが、その意味をはっきりと理解している人は少ないのではないでしょうか。
漢字によっては熟語などから大体のニュアンスを想像できるものもありますが、「之」の場合はなかなか思いつかないかもしれません。
ここでは、「之」が持つ意味3つをご紹介します。
「之」がもつ意味1:行く・いたる
「之」という漢字には、「行く」、「いたる」という意味があります。
「成り立ち」でご紹介したように、一歩踏み出していく様子から生まれた意味です。
「いたる」はある場所に行く着くことを表す「至る」と同じ意味で、踏み出してから到着するというイメージを表しています。
「之」がもつ意味2:近くにあるものを表す「これ」
「之」という漢字には、近くにあるものを表す「これ」という意味があります。
皆さんは、お墓の文字をじっくり読まれたことはあるでしょうか。
墓石には「日付」、「建立者(お墓を建てた人)」の他、「建之」という言葉が彫られています。
「建之」は「これをたつ」と読み、建立者の次に刻むことで、「○年○月に誰々がこのお墓を建てた」ことを表しています。
このように、「之」は物事を指し示す指示代名詞としての意味を持っています。
「之」がもつ意味3:語と語をつなぐ「の」
「之」という漢字には、語と語をつなぐ「の」という意味があります。
前述した近くのものを表す「これ」という意味の場合は「指示代名詞」となりますが、「の」という意味の場合は「助詞」の役割を持ちます。
助詞は、語と語の関係を表したり、語に意味を肉付けしたりするものであり、「が」、「の」、「は」、「も」、「を」などがあります。
故事成語の「漁夫の利」や「蛍雪の功」の「の」は本来「之」という漢字が使われています。
「之」を使った名前について
「之」を使った名前にはどのようなものがあるのでしょうか。
「之」という漢字は、名付けにも人気があります。
こちらでは、「之」がどのような響きや意味で名付けられるかご紹介していきます。
「ユキ」「ノ」の響きで名前に使われる
「之」は「ユキ」や「ノ」の響きで名前に使われています。
「之」には名乗りを含めると多くの読み方がありますが、この2つの響きは特に良く使われています。
「慎之介(しんのすけ)」や「幸之進(ゆきのしん)」など名前の真ん中に使われたり、「弘之(ひろゆき)」や「利之(としゆき)」のように止め字とされることがあります。
その他の読み方として、「行之(ゆきのぶ)」や「幸之(こうし)」などのが挙げられます。
込められる意味4つ
「之」という漢字には、どのような意味を込めることができるのでしょうか。
きっと誰もが子供の健やかな成長を願って名前を授けるでしょう。名前は一生使うものなので、漢字の持つ意味をしっかりと理解することが大切です。
ここでは、「之」に込められる意味を4つご紹介します。
込められる意味1:困難にあっても前向きに進んでほしい
「之」は困難にあっても前向きに進んでほしいという思いを込めることができます。
「之」の持つ「行く」という意味から、「辛いことがあってもたゆまず突き進んでほしい」とい願って名付けることができます。
込められる意味2:自らの意志で積極的に行動してほしい
「之」は自らの意志で積極的に行動してほしいという思いを込めることができます。
「一歩踏み出していく」という意味から、「何事も恐れずに自ら歩みを進めていってほしい」という願いを込めることができます。
込められる意味3:力強く生きてほしい
「之」には、力強く生きてほしいという思いを込めることができます。
「之」はまっすぐに進むという意味合いから、力強さや頼もしさを感じさせます。強くたくましく生きてほしいという願いを込めて名付けることができる漢字です。
込められる意味4:無限の可能性を秘めた子に
「之」には、無限の可能性を秘めた子になってほしいという思いを込めることができます。
「之」を構成している横棒「一」は出発線を表しており、未来に向かって大きく羽ばたくような希望を感じさせる字でもあります。
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番外編「之」をうまく書くコツ
「之」をうまく書くには最後の「はらい」がポイントです。
1画目の「丶」の後、「フ」を書きます。カタカナの「フ」を書くときよりも「ノ」の部分を少し寝かせ、「一」と「ノ」の隙間を詰めるようにします。
最後の「はらい」は、書き始めが「フ」の先端よりも左に来るようにします。「はらい」の上に「フ」が乗っているイメージです。
やや右斜め上に書いた後、すぐに右斜め下に進み、最後にほぼ水平になるようにはらいます。
「之」という漢字の意味を正しく理解しよう!
本記事では「乙」という漢字の持つ意味、成り立ちなどについてご紹介してきました。指示代名詞や助詞の役割を持つなど、非常に奥深い漢字ということが分かります。
普段何気なく目にしたり使ったりしている漢字も、掘り下げて調べてみると新しい発見があるかもしれません。
「之」という漢字についても、意味を正しく理解しましょう!