収支内訳書とはなにか?
『収支内訳書』
あまり耳にしたことがない言葉だと、皆さんも思われるでしょう。ここでは、収支内訳書がどういったものかを説明していきたいと思います。
■収支内訳書
白色申告(しろいろしんこく)による申告を行う際に、確定申告Bと一緒に提出する書類のことを指します。1月1日~12月31日までの1年間の期間での売り上げや仕入れ、その他の経費などがどれぐらいであり、最終的な利益が幾らになるのか、ということを記載する書類です。
■確定申告B
所得の種類に関わらず、誰でも使用出来る確定申告書です。個人事業主などは、この確定申告Bの書類で確定申告を行います。確定申告Bは確定申告Aよりも記載する項目が多く、広くカバーされているのです。白色申告、青色申告(あおいろしんこく)どちらの場合でも、個人事業主は確定申告Bで申告を行います。
■白色申告
所得税の確定申告制度の内の1つ。
青色申告を申し込んでいない人のための税金の申告方法。青色申告のように、煩わしい帳簿作成の義務がない代わりに、青色申告で可能となる特別控除等の特典を受けることは出来ない仕組みとなっています。
青色申告に比べて簡単に申告出来ますが、デメリットが大きいことも、念頭においておいたほうが良いでしょう。所得額が300万円以上の場合は、簡単な帳簿作成が必要です。
収支内訳書を提出する上で、知っていて損のないこと
■青色申告
税金申告の際に、計算や記帳の手間をかける分、税金優遇などの特典を受けられる、所得税の確定申告制度の内の1つ。
所定の帳簿や書類を作成し、備えている納税者に税制上、様々な特典が与えられます。白色申告に対して、『青色申告特別控除』、『専従者給与を必要経費に計上可能』、『各種、引当金の繰り入れ』、『純損失の3年間の繰り越し控除』、といった特典が認められています。なお、青色申告による場合には、提出期限までに『青色申告承認申請手続き』を所轄の税務署長に提出する必要があります。
■特別控除
税金の計算上、所得収入から経費として、特別に差し引くこと。
収支内訳書の白色申告におけるデメリット
白色申告は事前の準備や手間、単式簿記での記帳等、青色申告よりもハードルが低いために好まれがちなのですが、節税効果の高い青色申告の特典を受けることは出来ません。その代わりに、『白色専従者控除』が受けられます。
■デメリット
青色申告特別控除が受けられない。
赤字の3年間の繰り越しが出来ない。
家族の給料を経費に出来ない。
白色専従者控除について
■『青色事業専従者給与』との違い
青色事業専従者給与というのは、所得税では、家族は1つ、という考え方が基本的にあります。そのため、家族に対する給料は経費にすることが出来ません。
ただし、青色申告をしている場合、『青色事業専従者給与に関する届け出書』を所轄税務署に提出しているなどの一定条件の元、家族に支払った給料を、『青色事業専従者給与』として経費にすることが出来ます。
青色事業専従者給与は、青色申告の特典のため、白色申告にはありません。
白色申告の場合、事業を手伝ってくれる家族に対しての特典が、『白色事業専従者控除』です。
白色事業専従者控除とは、家族に対する給料を経費にする代わりに、決まった一定額を経費に出来る、というものです。白色事業専従者控除の金額は所得によって変わることがありますが、目安として、配偶者の場合は86万円、配偶者以外の家族の場合は、1人につき50万円です。
◎15歳以上であること
◎6ヶ月超の期間、事業に従事じていること
◎確定申告書に白色事業専従者控除を受けることや、その金額など、必要な事項を記載すること
上記のことが条件です。これらが、収支内訳書と奥深くで繋がっているのです。
収支内訳書の書き方①
収支内訳書の書き方がわからない人は多いと思います。最初は誰もが素人ですから、書き方がわからくて当然です。しかし、税務署は頼りにはなりません。「税務署は書き方を教える所でない」そう言われ、まったく相手にされないケースがとても多いのです。
■収支内訳書の作成
収支内訳書は2ページで構成されていますが、1ページ目の最初から順番に記入していくわけではありません。収支内訳書は幾つかの項目で構成されており、お互い同士が関係し合っているのです。
●損益計算書
●業績の詳細
大きく上記の2つに分かれています。
『業績の詳細』は『損益計算書』の詳細になっているため、『業績の詳細』で記入した内容を『損益計算書』に転記する、という形になっています。
①詳細を作成。
②詳細から、『損益計算書』に転記。
③『損益計算書』の残りの欄を帳簿から集計して埋める。
先に詳細を作成してから、『損益計算書』に転記出来るところを転記します。その後で、『損益計算書』の残りの箇所を帳簿から集計して記入するのです。
収支内訳書には記入の順番がありますが、「絶対」、「必ず」、そうしなければならない、という訳ではありません。ですが、このやり方のほうが、正確で効率よく作成出来ます。資料等で数字を一致させなければいけない箇所を記入するのに、間違いがない方法をとりたいのならば、是非にとお薦めします。
『業績の詳細』の書き方
●給料賃金の内訳
ここには、従業員に支払った給料、ボーナス、源泉徴収所得税の額などを記入します。
記入について注意点を挙げるのならば、家族に支払った給料は含めないことです。白色申告の場合、上記でも説明したように、家族に支払った給料については、確定申告上の経費にはならず、専従者控除として所得から差し引くことになっているからです。給料賃金の内訳は、家族以外への給料、ボーナスの支払いを記入します。家族への給料は経費にならないので、ここでは絶対に含めないことに注意して下さい。
専従事業者の氏名等
具体的な説明に移ります。まず、『事業専従者の氏名等』です。
上記で説明した通り、白色申告の場合は事業専従者への給料、ボーナスは経費になりません。その代わりに、事業専従者控除として、事業専従者1人あたりの一定額を所得から控除する仕組みになっています。そこで事業専従者控除の対象になる人がどれだけ在籍しているのかを明らかにするために、該当する人の氏名、年齢、続柄、従事月数を記入します。
売上(収入)金額の明細
『売上(収入)金額の明細』に移ります。
2ページ目に、主な取引先の会社を、金額が大きい順に記載していきます。取引先の会社等が多く、すべての取引先の会社等を書ききれない場合は、『上記以外の売上先の計』に、残りの売上を纏めて記入します。帳簿から取引細別の売上明細を作成して記入していけば問題ありません。ただし、1つ気を付けなければならないところがあります。
●売上を記録するタイミング
特に期末の売上のタイミングについて注意が必要です。税務調査で、必ず事細かく調べられるポイントの1つが、『売上の期ずれ』というもので、期末日前後の売上計上の正確性は、細かく調査されるためです。期末日前後の売上については、特に注意を払って、『納品書、請求書の日付け』、『検証書の日付』等、事業を開始する時に決めた規律に従って、『その年の売上』なのか、『翌年の売上』なのかを正しく記録するようにして下さい。売上をどのタイミングで記録するかというのは難しいですが、必要な知識です。
仕入金額の明細
2ページ目に、販売が目的で購入した商品の購入額、仕入れ先別に金額の大きい順に記入していきます。
仕入れ先が多く、すべての取引先を書ききれない場合は、『上記以外の仕入先の計』に、残りの収入額を纏めて記入します。帳簿から仕入れ先別の仕入れ明細を作成し、記入していけば、問題はありません。
ここからは、わかりやすく説明するために、区切っていきましょう。
収支内訳書の書き方②
減価償却費の計算
『減価償却費の計算』に移ります。
2ページ目に事業で固定資産を使っている場合は、固定資産の購入額のうち、その年に利用して価値が減少した分を、減価償却によって、経費に計上します。
固定資産は事務所や工場等の建物、製品を製造するために使用する機械、仕事で使うPCなど、長時間使うことが出来て、会社の売上に貢献してくれる資産のことです。
固定資産は購入した時にだけではなく、利用期間に渡って、ずっと売上に貢献する資産のことを指すので、購入した時に全額を経費にするのではなく、減価償却によって、利用期間を通して経費にしていきます。
減価償却費の計算は、基本的に2つの方法で行われます。
◎定額法
◎定率法
固定資産ごとに、どちらの方法で減価償却を行うか否かを選択します。ここで注意することは、「建物」と建物に付随して作られる、「建物付属設備」については定額法のみで、定率法は選択出来ません。選択した減価償却方法は、『減価償却資産の償却方法の届出書』に記入し、税務署に提出しなければなりません。提出がない場合は、定率法で償却することになります。
『定額法』は建物のような固定資産を想定した方法で、毎年毎年同程度の価値が失われている(その分、売上に貢献している)、という考えから、経費にする額も毎年同じ額になるように計算します。
『定率法』は、製造用の機械などを想定した方法で、使い始めのほうが価値の減少が大きく(使い始めのほうが、売上にたいする貢献も高い)、時間が経過するほど、価値の減少が緩やかになる、という考えから、経費にする額も最初は大きく、だんだん小さくなるように計算します。
具体的な計算方法は、下記を参照にして下さい。
●定額法
購入価額(所得価額)×定額法償却率×その年の利用期間(月/12)
●定率法
帳簿価額×定率法償却率×その年の利用期間(月/12)
同じような式ですが、注意点を挙げておきます。
まず、定率法の帳簿価額。定額法の購入価額とは異なるので気を付けましょう。
帳簿価額は、購入価額から減価償却によって経費にした分をひいたもののことです。
次に償却率ですが、『定額法償却率』と『定率法償却率』に分かれているので、選択した償却方法の償却率を選んで使うようにする必要があります。また、償却率は耐用年数との兼ね合いで決まります。耐用年数は固定資産の種類によって決まっているので、固定資産台帳に登録した固定資産の種類から、耐用年数を確認して下さい。
もう1つは、固定資産を購入したタイミングが平成19年3月31日以前か、平成19年4月1日以降かで、使うべき償却率が違います。この点にも注意して償却率を選択しましょう。具体的な耐用年数、償却率は、下記にリンクを貼っておきます。そこから確認して下さい。
次に、『その年の利用期間(月)/12』、ですが、これはその年度の途中で固定資産を購入した場合や売却した場合、その年の経費にする減価償却費を、その年の利用期間分だけにするための計算です。
具体的な記入方法に移りましょう。
15の項目が並んでいるのですが、上記で説明した、『減価償却費の計算方法』が頭に入っていれば、減価償却の計算に必要な項目の記入が求められていることがわかります。『減価償却資産の名称等』は、耐用年数に間違いがないかを確認して償却率を決めるために必要な項目ですし、「所得年月」、「本年中の償却期間」は、今年の経費に出来る割合を計算するために必要な項目です。
『償却の基礎になる金額』がわかりづらいですが、上記で説明した減価償却の計算を使い、
◎定額法:取得原価(購入額)×定額法償却率
◎定率法:帳簿価額×定率法償却率
この違いを反映させられるように、『償却の基礎になる金額』では、定額法なら取得原価を、定率法なら帳簿価額を記入します。
減価償却費の計算、15項目
●減価償却資産の名称等
●面積又は数量
●取得年月
●所得価額
●償却の基礎になる金額
●償却方法
●耐用年数
●償却率又は改訂償却率
●本年中の償却期間
●本年分の普通償却費
●割合(特別)償却費
●本年分の償却費合計
●事業専用割合
●本年分の必要経費算入額
●未償却残高
ここで、少し、脇道に逸れてみます。
『定額法』・『定率法』の考え方
ここでは、減価償却費の計算に必須の、『定額法』と『定率法』の考え方について、少しだけ説明を致します。
■『定額法』の考え方
「資産の価値は毎年同じ分だけ減少する」、という考え方。
「建物」などがあてはまります。
■『定率法』の考え方
「資産の価値は、始めに大きく、時間が経過すると緩やかに減少する」、という考え方。
製造用の「機械」などがあてはまります。
収支内訳書の書き方③
税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳 地代家賃の内訳 利子割引料の内訳
1ページ目と2ページ目に記入する箇所があり、帳簿から金額を集計した結果を記入していきます。この部分は、上記で説明した個所を丁寧に記載すれば、問題なく埋められるでしょう。次に、『損益』計算書の書き方に移りますが、この箇所の内容を転記する場合も多いので、正確に記入が必要となっていきます。
損益計算書の書き方
『収入金額』の項目の中にある、『売上(収入)金額』に『売上(収入)金額の明細』の金額を転記して、仕入れた商品を自社で扱った場合は、『自家消費』に『売上(収入)金額の明細』に記入した金額以外の収入がある場合は、『その他の収入』に記入します。
売上原価
この項目では、経費になる商品の金額を計算します。
経費になるのは、仕入れた商品すべてではありません。売上代金と引き換えに取引先に引き渡した商品の金額です。期首の在庫に今年の仕入れ金額を足して、期末の在庫をひいた結果で求めることが出来るので、記入欄も3つで構成されています。
◎期首商品(製品)棚卸高
◎仕入金額
◎期末商品(製品)棚卸高
期首商品(製品)の棚卸高は、前期の期末商品(製品)棚卸高から転記します。仕入れ金額は、仕入れ金額の明細から転記します。期末商品(製品)棚卸高は、商品の管理記録(受け払い記録)を元に記入します。
経費
経費の記入は、帳簿記録を勘定科目事に集計し、その結果を記入すれば問題ありません。
勘定科目と経費か否かの判断
ここでも、収支内訳書を上手に書くために、少し脇道に逸れて、説明をしていきます。
普段帳簿をつけたり、確定申告書を作成している時に、どの勘定科目を使えば良いのかと、悩んだことがあるはずです。そんな心配は杞憂で、勘定科目は何らかの関連があるのならば、どの科目を使っても大丈夫なのです。厳密なルール等があるわけではないので、まったく関係のない科目でなければ、問題ありません。
それよりも気を付けなければならないのは、経費になるか否かの判断です。確定申告は税金の計算を明らかにするために作成される書類。
□税金の計算
(売上ー経費)×税率
税金は上記の式に従って計算されるので、経費の内訳が多少間違っていても、税金計算に影響することはありません。ですが、経費か否かの判断については、間違っていれば税金の額に直接影響することになります。そうなってくると、税務調査などで集中的に調べられ、間違いの指摘を受ける可能性が高いのは、経費にあたるか否かの判断について、です。ですから、経費については経費にあたるか否かの判断に注意を払い、帳簿の記録や確定申告書の作成に臨むようにしたほうがいいです。
念のために、経費にあたるか否かの判断をどのように行えば良いのか、大まかにしておくと、売上に繋がる支出か否か、で判断することになります。勘定科目の選択で悩み、時間を浪費するよりは、色々と試してみたほうが、早いはずです。
収支内訳書の書き方④
給料賃金
『給料賃金』は従業員(パート・アルバイト等も含む)の給料、ボーナスの支払いに使う勘定科目です。『給料賃金の内訳』から転記して下さい。『専従者給与』は別に記入するので、『給料賃金』と一緒にしないように気を付けて下さい。
減価償却費
『減価償却費』は、固定資産の利用に応じて取得原価を経費に計上するものです。
記入は、『減価償却の計算』での『本年の必要経費算入額』から転記します。
貸倒金
『貸倒金』は、回収が出来なくなった売掛金や貸付金などを、経費にするために使う勘定科目です。「回収が出来ないか否か」、の判断については、細かな場合分けと判定基準がありますので、注意をして下さい。
地代家賃
『地代家賃』は、事務所や店舗などの家賃、共益費の支払いに使われる勘定科目です。月極の駐車場代などにも使われます。記入は、『地代家賃の内訳』の『左のうち必要経費算入額』から転記します。
利子割引料
『利子割引料』は、事業のための借入り金から発生する、利息の支払いに使われる勘定科目です。記入は、『利子割引料の内訳』の『左のうち必要経費算入額』から転記します。
租税公課
『租税公課』に移ります。
「税」という言葉が含まれていることからもわかるように、税金に関連する支払いについて使う、勘定科目です。ただし、税金の支払いなら何でも『租税公課』になるかと云われますと、そうではありません。あくまでも、「経費」として認められる支払いに限るのです。税金の中でも、「経費になるもの」と、「経費にならないもの」があるので、その区分を、しっかりと理解する必要があります。
外注工賃
また脇道に逸れて、収支内訳書に必要な知識を説明致します。
『外注工賃』は、外部に発注した、仕事に対する支払いに使われる勘定科目です。具体的には、自社で作っている製品の一部だけ外部に加工を依頼した時の加工賃、自社のHPの運営を外部に依頼した時の委託費用などが該当するのです。
ですが、『外注工賃』には注意が必須です。外部へ仕事を依頼して代金を支払ったとしても、依頼の仕方によって、『給料賃金』と判断されることがあり、税務調査で『給料賃金』だと指摘されてしまうと、追加で税金を支払わなければならなくなるからです。
具体的に、『外注工賃』の支払いの時に計上した、消費税の仕入れ税額控除(消費税の支払いを少なくするもの)が認められなくなるので、その分の消費税を支払わなければならなくなるのと、本来の『給料賃金』を支払う時に必要な源泉徴収分を支払わなければならなくなってしまいます。こういった追加の税金の支払いは、金額も大きく、資金繰りに大きな影響を与える可能性があるため、避けなければいけません。
そのためには、『外注工賃』と『給料賃金』がどのように区別されているのか、ということをおさえておく必要があるのです。細かいポイントはありますが、簡単に説明すると、下記のようになります。
自社HPの運営などを依頼するのに、その目的やイメージ等を伝え、具体的な運営の中身については「おまかせ」という場合、外注先が責任を負うので、『外注工賃』になります。HP制作会社が、HPの内容を決めた上で、作業内容や作業手順等、細かい指示を与えて作業の一部を外部に依頼するような場合、会社の指揮下に入って作業をすることになるので、『給料賃金』になります。
『外注工賃』は『給料賃金』との区別が非常に大切です。税務調査で問題になったとしても、『外注工賃』とハッキリと主張出来るように、依頼内容をキチンと書面等で残すようにしておいて下さい。口頭で説明するよりも、書面として残っている証拠のほうが説得力があります。
租税公課になるもの、ならないもの
これもまた、収支内訳書を提出する上で、必要な知識の1つです。
『租税公課になるもの』
印紙代(印紙税)、消費税、事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税など。
『租税公課にならないもの』
所得税、住民税、相続税、贈与税、税金の加算税、延滞税、交通反則金など。
収支内訳書の書き方⑤
再度、書き方に戻ってみましょう。
荷造運賃
『荷造運賃』は、商品の発送等にかかる支払いに使われる勘定科目です。
具体的には、宅配便の料金、運送費用、包装用の段ボール、包装紙、紐、テープ、緩衝材などの荷造り費用などが該当します。請求書や契約書などの発送にかかる費用等は、『通信費』。商品の仕入れで負担した費用は、『仕入』の金額に含めて記録します。
水道光熱費
『水道光熱費』は、事業用で使用した水道、ガス、電気代等の支払いに使われる勘定科目のことです。自宅兼事務所の場合は、事務所として使った分だけを、『水道光熱費』にします。事務所で使った分は、電気の場合は使用時間、コンセントの数、水道、ガスは使用時間ともとに割合を決めて計算して下さい。
旅費交通費
『旅費交通費』は、事業で必要になった旅費、交通費の支払い等に使われる勘定科目のことです。
プライベートとの混同がよく起きるところでもあるので、事業上の支払いであることがわかるように、証拠となる資料(取材で出張した場合は、その時のレポートなど)を残しておくようにして下さい。電車、タクシー、飛行機などの運賃、高速料金、駐車場代、通勤定期代、出張時の宿泊費等が該当します。
通信費
『通信費』は、事業上必要になった連絡のための支払いに使われる勘定科目のことです。
具体的には、電話料金、ネットの回線利用料、切手、葉書、封筒代、宅配などの運送料(商品等の発送は、『荷造運賃』)などが該当します。自宅兼事務所の場合は、事業で使用した分とプライベートで使用した分を分けておく必要があります。使用時間を基準に割り合いを決めて、それぞれの金額を計算すると良いでしょう。
広告宣伝費
『広告宣伝費』は、商品、サービス等の販売を促進するための支払いに使われる勘定科目のことです。具体的には、広告の制作、掲載料、展示会への出品にかかる費用、パンフレット、チラシ、HPなどの制作費等が該当します。
接待交際費
『接待交際費』は、事業を円滑に行うために必要な、取引先への接待等の支払いに使われる勘定科目のことです。具体的には、取引先との飲食代、お土産代、お中元、お歳暮、慶弔費、接待旅行の旅費、宿泊費等が該当します。レシート、領収書だけでは事業上必要な支払いか否かの区別が難しいので、取引先、参加者の名前、目的等をメモしておいて、事業上必要な支出であったことがわかるようにしておくことがお薦めです。
損害保険料
『損害保険料』は、事業上必要と判断して加入した保険料の支払いに使われる勘定科目のことです。具体的には、事務所や商品等の火災保険料、事業用で使う車の自賠責保険料、商品などの運送保険料などが該当します。また、個人の生命保険料、地震保険料は経費ではなく、確定申告上で所得控除として所得から差し引くことが出来ます。
修繕費
『修繕費』は、事業上の資産を利用出来る状態にするために、修理したり、点検したりした時の支払いに使われる勘定科目のことです。
具体的には、製造用の機械、事業用の車、PC、プリンターの修理、点検費用、オフィスの壁紙、カーペットの張り替え費用などが該当します。それと、単なる修理ではなく、「資産の価値を高める」、「耐用年数を延ばす」ための支出の場合は、『修繕費』ではなく、『資本的支出』として処理(機械への修繕なら、『機械』の額を増やします)、して下さい。
難しいのが、『修繕費』と『資本的支出』の判断にあります。細かい条件などが色々とありますが、目安として、60万円未満の支出であれば、『修繕費』として処理することが出来ます。実務では、この2つの判断は難しく、だからこそ、形式的に金額で判断することも多いのです。
消耗品費
『消耗品費』は、文房具や少額の備品の支払いに使われる勘定科目のことです。
備品でも『減価償却』しなければならない30万円以上のもの等(白色申告の場合は10万円以上)、『消耗品費』ではなく、『資産』に計上するので、注意が必要です。具体的には、オフィスで使われるデスク、椅子、文房具、PC、PCの周辺機器、エアコンなどが該当します。
福利厚生費
『福利厚生費』は、従業員の労働環境を整えるための支払いに使われる勘定科目のことです。具体的には、社員旅行の代金、従業員のお茶代、従業員への慶弔費、従業員の健康保険料、厚生年金保険料などがあてはまります。
雑費
『雑費』は、上記の科目にあてはまらず、金額が小さい経費に使われる勘定科目のことです。
専従者控除
最後に、『専従者控除』に移ります。
『専従者控除』は、家族に対する給料を経費として認めない代わりに、専従者1人あたりにつき、一定額を所得控除として所得から差し引くものです。所得控除は税金計算において、経費と同じように所得から差し引くことが出来るもので、納税者の事情を考慮し、税金の負担を軽減するために設けられています。『専従者控除』は次のように定められています。下記の金額の内、低いほうを所得から差し引くことが出来る。
●事業専従者が事業主の配偶者ならば、86万円。配偶者以外なら、1人につき、50万円。
●事業所得の金額を、専従者の数に1を足した数で割った金額。
上記のように計算した結果を、記入します。
税金計算と、控除の関係
収支内訳書の書き方の説明は終わりましたが、書類を書く上で、知っていて損のない事柄をもう1つ紹介致します。
■税金の額
=(売上ー経費ー所得控除)×税率ー税額控除
◎控除
納税者の事情(災害時による損害、医療費の負担等)を考慮し、税負担を軽減するもの。
◎所得控除
税金計算で経費と同様に所得から差し引くことで、税金の負担を軽減する控除のこと。(雑損控除、医療費控除、生命保険料控除など)
◎税額控除
税金計算で税額を直接差し引くことで、税金の負担を軽減する控除のこと。(住宅ローン控除など)
収支内訳書の提出期限
収支内訳書の提出期間は、確定申告と同時です。
2017年(平成19年)の期間は、2017年2月16日~3月15日までです。
ちなみに2016年の期間は、2016年2月16日~3月15日まででした。時間帯は、月曜日から金曜日までの、8時30分から17時までです。
収支内訳書の提出先
収支内訳書の提出場所は税務署です。ですが、提出方法は、大きく分けて3つに分かれます。
●管轄の税務署へ行って、書類を提出する。
●税務署へ郵便で書類を送る。
●e-Tax(イータックス)で申告する。(PCからの申告)
総合
収支内訳書の書き方、とても難しいものです。ですが、いずれ何かの時に役立つことを考えれば、知っておいて損はないことだと思います。
昨今では、ハンドメイド作家さんや、書籍を発刊される方々も、各々確定申告をしなければならず、四苦八苦しております。想像してみると、身近に感じると思います。現在は個人の趣味でも確定申告は欠かせませんので、四苦八苦して悩むよりも、頭の片隅においておけば、役立つ時がくるでしょう。仕事も趣味も、笑顔で行うための申告に、手を抜かないように致しましょう。