住宅ローン控除とは?
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。一般的には、「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」等と呼ばれています。
借入している住宅ローン残高(年末時点)の1%分を、同じ年の所得税、住民税から還付を受けることができます。ただし、控除を受けることができるのは最長で10年間です。
新築や中古物件の購入時だけでなく、リフォームも一定条件を満たせば、対象となります。
住宅ローン控除を受ける条件
住宅ローン控除を受けるためには、いくつかの条件があります。
1.新築、購入の総床面積が50㎡以上であること。
2.住宅ローンの借入期間が10年以上であること。
3.住宅ローンの借入人がその住宅に住むこと。
4.所得合計が年間3,000万円以下であること。
5.中古住宅の場合は、耐震性能があること。
また、フラット35などの一般的な銀行の住宅ローンは適用対象となりますが、金融機関以外からの借り入れ(例えば親族や友人、職場からの借り入れ)については、もちろん対象外となりますので、ご注意ください。
住宅ローンの控除率
住宅ローン控除率は一律1%(バリアフリー等の特定増改築等の場合は2%)となっています。適用期間は10年です。つまり、年末の住宅ローン残高の1%を最大として、10年間、所得税、住民税から還元されるということになります。
年末のローン残高上限は4,000万円。毎年最大40万円で、10年間で最大400万円の控除を受けられることになります。ただし、還元額はその年の納税額が上限です。納税額が住宅ローン控除の金額よりも少なく、控除しきれない場合は、翌年の住民税から控除される措置もあります。
住宅ローン控除の申請は【1年目】と【2年目以降】で異なる
住宅を取得した初年度と、2年目以降で申請方法、場所が異なります。正しい申請方法、場所をしっかりと確認しておきましょう。
【1年目】の住宅ローン控除の年末調整
住宅ローン控除を受けるためには、基本的に会社での年末調整時に必要書類を提出することで申請できます。しかし、住宅を取得した初年度については、年末調整ではなく、確定申告をする必要があります。
確定申告の方法
確定申告は、2月中旬頃から3月中旬頃(平成28年は2月16日~3月15日)までの期間で、住んでいる地区の税務署にて行います。郵送やインターネットからの申請も可能です。
<申請方法>
1.税務署から確定申告書を入手し、税務署へ持参
2.税務署から確定申告書を入手し、税務署へ郵送
3.税務署へ行き、確定申告書作成コーナーにてe-taxを利用して確定申告書を作成し申請
4.国税庁のサイトから確定申告書を入手し、税務署へ郵送
5.国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署へ郵送
6.国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、e-taxにて申請
確定申告で必要な書類9つ
確定申告の際には、以下の書類を用意し、提出します。
1.確定申告書
税務署もしくは国税庁のサイトから入手できます。確定申告書には、AとBがありますが、会社員はAを使用します。
2.(特定増改築等)住宅借入金等特別候補学の計算明細書
税務署もしくは国税庁のサイトから入手できます。
3.住民票の写し
住んでいる地区の市町村役場にて入手できます。
4.建物・土地の登記事項証明書
住んでいる地区の法務局にて入手できます。
5.建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
住宅を購入する際に不動産会社で作成した契約書類です。
6.源泉徴収票
勤務先から年末もしくは年始に受け取ります。
7.住宅ローン残高証明書
住宅ローンを借り入れしている金融機関から10月下旬頃までに自宅へ郵送されます。
※フラット35を利用する方は、住宅金融支援機構から送付されます。8月までに契約した場合は、10月下旬、9月から12月で契約した場合は、1月下旬に送付されます。
8.耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合のみ)
住宅を購入した不動産会社より入手できます。
9.認定通知書の写し(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合のみ)
住宅を購入した不動産会社より入手できます。
【2年目以降】の住宅ローン控除の年末調整
1年目の申請は確定申告で行いますが、1年目の申請が受理されれば、2年目以降は勤務先での年末調整で申請することができます。自分で税務署等へ行くことなく、勤務先の年末調整書類に必要書類を添付して申請することで、控除を受けることができます。
自分で確定申告する必要のある人
以下のような人は、年末調整の対象となりません。
・その年の途中で退職し、年末の段階でどこにも在職していない
・日雇い労働者など、同一の雇用主に継続して雇用されていない
このように年末調整を受けることができない人は、2年目以降も自分で確定申告をする必要がありますので、注意してください。
住宅ローン控除に必要な年末調整の【書類2つ】
住宅ローン控除を受けるために、年末調整書類と一緒に勤務先へ以下の書類を提出します。
1.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等控除申請書
10月下旬頃に税務署から、以降9年分の書類がまとめて届きます。年度ごとに用紙が指定されているので、なくさないように注意しましょう。
2.年末残高証明書
10月下旬頃に金融機関から、該当年末での残高証明書が届きます。こちらは毎年1年分だけが届きます。
年末調整での記載事項は?
年末調整書類に添付する「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等控除申請書」には、以下の事項を記載します。
1.新築または購入にかかる借入金等の年末残高
2.家屋または土地等の取得対価額
3.家屋や土地の総床面積のうち居住用部分の占める床面積、割合
4.その年に適用となる住宅借入金等特別控除額
この際に複数の金融機関で住宅ローンを組んでいる場合、それらの借入金の合計額を記入することになります。また、一部を店舗や事業に使用し居住用として使用していない場合は、居住用部分の床面積に応じて、住宅ローン控除額が必ずしも年末残高と同じにはなりませんので、注意してください。
住宅ローンの借り換えをした場合
金利の変動によって、必要に応じて住宅ローンを借り換えするケースが出てくると思います。住宅ローンの借り換えをした場合、住宅ローン控除はどうなるんでしょう。
国税庁のホームページに以下のような記載があります。
「住宅ローン控除の対象となる住宅ローン等は、住宅の新築、取得または増改築等のために直接必要な借入金または債務でなければならないため、住宅ローン等の借り換えによる新しい住宅ローン等は、原則として住宅借入金等特別控除の対象とはなりません。」
これだけ見てしまうと、借り換えをした場合、控除を受けられないように思います。しかし、以下の条件を満たせば、控除を受けることができます。
1.新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
2.新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。
つまり、当初の住宅ローンを返済する目的が同じであることと、10年以上の借入期間があれば、控除を受けることができるということです。借り換え後の借入期間が10年未満である場合、控除を受けることができなくなるため、注意が必要です。ただし、借入期間を短縮することにより利息総額が大きく減る場合もあるので、どちらの方がよりメリットが大きいかを考える必要があります。
借り換え後の年末調整での注意点
借り換え後も住宅ローン控除は、年末調整で申請することができます。ただし、11月、12月に借り換えをする場合は、年末調整に間に合わない可能性が高いです。
なぜなら、住宅ローン控除申請のための金融機関からの年末残高証明書が10月下旬頃には自宅に届いているため、年末残高の予定が変わってしまうからです。借り換えをした後に、再度年末残高証明書を発行するのには少し時間がかかるので、年末調整には間に合わず、確定申告で申請をする必要が出てきます。借り換えの時期にも注意が必要ですね。
最後に
ここまで住宅ローン控除の基本的な内容と、確定申告、年末調整での申告方法をまとめてきました。低金利政策が実施されている昨今で、住宅取得の流れは高まると思います。一生に一度の買い物ですから、恩恵を受けることのできるところは最大限に活用したいですね。今回のまとめを参考に賢く住宅を取得しましょう。