年末調整の扶養控除の書き方|控除対象配偶者・控除対象扶養親族

雑学

年末調整って何?

年末調整とは、給与所得者が毎月の給与から引かれている所得税を年末に精算する仕組みです。所得税は1年間の所得総額によって決まるので、毎月の給与から引かれている額と差が生じます。そこで、年末に所得税額を確定し、過不足を精算するということです。所得税を多く払い過ぎていれば、差額が戻ってきますし、不足していれば追加で所得税を支払うことになります。その際に各個人の事情により、扶養家族がいたり、生命保険料などの支払いがあると、所得税の控除が受けられるようになっています。

年末調整の各種控除の種類

年末調整では受けることのできる控除は、とてもたくさんあります。
ここでは控除の種類を紹介します。

1.給与所得控除
給与所得者が受けることのできる控除。控除額は最低でも65万円。

2.配偶者控除
配偶者の年間所得が38万円未満で受けることのできる控除。控除額は38~58万円。

3.扶養控除
扶養者がいる人が受けることのできる控除。控除額は38~58万円。

4.基礎控除
条件に関係なく受けることのできる控除。控除額は38万円。

5.障害者控除
納税者、配偶者、扶養者が障害者の場合に受けることのできる控除。控除額は最低27万円。

6.寡婦(寡夫)控除
納税者が寡婦(寡夫)の場合に受けることのできる控除。控除額は最低27万円。

7.勤労学生控除
納税者が勤労学生の場合に受けることのできる控除。控除額は27万円。

8.配偶者特別控除
配偶者の所得が年間38万円以上76万円未満の場合に受けることのできる控除。控除額は3~38万円。

9.社会保険料控除
社会保険料を支払っている場合に受けることのできる控除。

10・小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者の掛金に対して受けることのできる控除。

11.生命保険料控除
生命保険料に対して受けることのできる控除。

12.地震保険料控除
地震保険料に対して受けることのできる控除。控除額は最高5万円。

13.住宅借入金等特別控除
住宅ローンに対して受けることのできる控除。

年末調整の対象になる人、ならない人は?

基本的に会社に勤務している給与所得者は年末調整の対象となります。また、以下の人も年末調整の対象となります。

1.その年に死亡したことによる退職者
2.著しい心身の障害が原因で退職し、かつその年の復職が望めない者
3.12月に支給されるべき給与を受け取ったうえで退職した者
4.パートタイマーや派遣労働者などの退職者で、その年中に支払いを受ける給与総額が103万円以下の人で、同じ年内に他社から給与をもらう見込みのない者

また、以下の人は年末調整の対象になりませんので、注意してください。

1.1年の給与所得額が2000万円を超えている者
2.災害減免法で所得税の徴収について猶予などを受けた人

年末調整で受けることができない控除

年末調整では控除できないものもあります。

1.医療費
2.寄付金
3.住宅ローン1年目(2年目以降は年末調整で控除可能)
4.雑損控除

これらについては、自分で確定申告を行うか、税理士へ相談してください。

扶養控除について

先に紹介した「扶養控除」について、説明します。
扶養の対象となる親族、つまりは配偶者や祖父母、子供などのことを「扶養親族」といい、この扶養親族がいる場合の年末調整において受けることのできる所得控除のことを「扶養控除」と呼んでいます。

扶養控除書類の書き方

ここからは、年末調整時の必要書類の書き方について説明します。年末調整で企業へ提出するのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。実際の書類はこんな感じ。それぞれの項目について確認してみましょう。

A.控除対象配偶者

配偶者、つまりは結婚相手です。
配偶者控除を受けるためには、要件があり、そのすべてを満たす必要があります。

1.民法の規定による配偶者であること。
2.納税者と生計を一にしていること。
3.年間の合計所得金額が38万円以下※であること。
4.青色申告者の事業専従者としてその年間を通じ、一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと。

※所得は収入から所得控除等を差し引いた額を示します。以下を参考にしてください。
 <アルバイトやパートなどの給与所得者>
  65万円を差し引いた後の金額が38万円以下
 <公的年金受給者>
  65才未満は70万円、65歳以上は120万円を差し引いた後の金額が38万円以下

なお、給与収入が年間103万円を超えて配偶者控除を受けられない人でも、以下の要件を全て満たせば、「配偶者特別控除」を受けることができます。

1.民法の規定による配偶者であること。
2.納税者と生計を一にしていること。
3.青色申告者の事業専従者としてその年間を通じ、一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと。
4.他の人の扶養親族となっていないこと。
5.年間の合計所得金額が38万円以上76万円未満であること。

なお、控除を申請する所得者の合計所得が1,000万円を超える場合には、配偶者特別控除を受けることができないので、ご注意ください。

B.控除対象扶養親族(16歳以上)(平13.1.1以前生)

子どもや祖父母がこれにあたります。ここでの注意点は、「生計を一にしている」ということ、つまり同一生計にあるということです。これは必ずしも同居していることが条件ではありません。例えば、修学、療養等の理由で別居していても、常に生活費、学費、療養費等を仕送りや送金している場合は、同一生計と認められます。
ただし、生活費や学費、療養費等を仕送り、送金していても、対象となる親族に一定の所得がある場合は、対象となりません。規定として、「合計所得金額38万円以下」とされています。以下を参考にしてください。
<アルバイトやパートなどの給与所得者>
 給与総額から65万円を差し引いた後の金額が38万円以下
<公的年金の受給者>
 65歳未満は70万円、65歳以上は120万円を差し引いた後の金額が38万円以下

C.障害者、寡婦、寡夫または勤労学生

対象者が障害者、寡婦、寡夫、勤労学生である場合のみ記入が必要です。

<障害者>
本人、配偶者、扶養親族が障害者の場合、以下の金額が控除されます。
※扶養控除適用外の16歳未満の扶養親族を有する場合も適用されます。

1.障害者1名につき27万円
2.特別障害者に該当する場合は40万円
3.控除対象配偶者または扶養親族が特別障害者に該当し、かつ納税者または納税者の配偶者もしくは納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている場合は75万円

<寡婦>
納税者本人が原則としてその年の12月31日時点で次のいずれかにあてはまる場合、寡婦控除として27万円が控除されます。

1.夫と死別または離婚した人で、扶養親族がいる人または生計を一にする子がいえう人。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下に限る
2.夫と死別または離婚した人で、合計所得金額が500万円以下の人

<特別の寡婦>
寡婦に該当する人が次の要件のすべてを満たす場合、特別の寡婦に該当し、寡婦控除27万円に8万円を加算した35万円となります。

1.夫と死別または離婚した人
2.扶養親族である子がいる人
3.合計所得金額が500万円以下であること

<寡夫>
納税者本人が原則としてその年の12月31日時点で、次の要件すべてにあてはまる場合、寡夫控除として27万円が控除されます。

1.妻と死別または離婚した人
2.生計を一にする子がいること。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下に限る
3.合計所得金額が500万円以下であること

<勤労学生>
働きながら学校に通っており、その年の12月31日時点で、次の要件のすべてを満たす人

1.給与所得などの勤労による所得があること
2.合計所得金額が65万円以下で、しかも1の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
3.特定の学校の学生、生徒であること。特定の学校とは以下のいずれかの学校。
 イ.学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
 ロ.国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校または各種学校のうち、
   一定の課程を履修させるもの
 ハ.職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で、
   一定の課程を履修させるもの

最後に

年末調整の扶養控除に焦点を当てて紹介しました。他にも控除される項目はたくさんあります。もれなく申請を行いましょう。また、年末調整は、確定申告を簡単に勤務先が代行するものです。記入ミスや記入漏れがあると適用されなくなってしまうものも出てきますので、細心の注意を払って記入するようにしましょう。

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