行政書士の仕事内容・仕事の種類・仕事がない時の取り方

雑学

行政書士とは?

数年前に「カバチタレ!」という漫画がドラマ化されたりしていました。「街の法律家」「代書屋」「食えない資格」「廃業率の高い仕事」などなど様々な言われ方をする職業で、イメージが湧かない人も多いと思います。今回は行政書士について仕事内容や仕事の取り方など解説いたします。

行政書士とはなんなのか?

行政書士ときいてピンとくる方は多くないと思います。行政書士は以下のように定義されています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/行政書士

大きく分けると以下の3つの作成が行政書士の独占業務になります。
①官公署に提出する書類
②権利義務に関する書類
③事実証明に関する書類

が行政書士法の1条の二に規定されています。

http://www.houko.com/00/01/S26/004.HTM

官公署に提出する書類

例えば、自動車登録申請、車庫証明申請、在留資格申請、風俗営業申請、建設業の許可申請、経営事項の審査申請、入札資格審査申請、宅地建物取引業免許申請、開発許可申請、農地転用の許可申請・・・etc

など多肢に渡ります。

権利義務に関する書類

売買・賃貸借・抵当権設定・請負、示談などの各種契約書、遺産分割協議書、遺言の原案書の作成、内容証明郵便や示談書など・・・こちらも多肢に渡ります。

事実証明に関する書面

各種証明書(名簿・資格証明・自動車登録証明書・交通事故調査報告書)、財務諸表・商業帳簿・営業報告書といった会計書類、その他図面類といった事実証明に関する書類

こちらも多肢に渡ります。

これら3つの書類作成で報酬を得ることができるのは行政書士のみ

http://www.houko.com/00/01/S26/004.HTM

このように行政書士法19条に、これらの書類作成は業として報酬を得て行うことができるのは行政書士のみと規定されてます。簡単にいうとこれらの書類作成で商売していいのは行政書士だけになります。(ただし、他の法律で規定がある場合を除く)

違反した場合罰則もある

http://www.houko.com/00/01/S26/004.HTM

行政書士法21条二項に違反した場合についての記載があります。

独占業務以外にも業務がある

これら独占業務以外に、非独占業務があります。この非独占業務というのは行政書士以外が行ってもいい業務になります。

http://www.houko.com/00/01/S26/004.HTM

行政書士の独占業務である許認可手続き、権利義務に関する書類の作成業務、書類作成の相談業務、聴聞や弁明の機会の付与手続き・・・など。

行政書士の仕事範囲や仕事分野や仕事の種類

さて、そんな行政書士ですが仕事の種類としては大きく二種類に分けることができます。

およそ許認可系と民亊法務の二種類です。

許認可ってなんだろう?

ここでは許認可について説明します。我々はおよそ自由に経済活動や表現行為ができるようになってます。しかし、生命や安全、生活環境を害さないためなどの理由から禁止されてることがいくつかあるのです。
例えば、車の免許。本来車の運転って自由にできていいはずですよね?だけど運転操作が危うい人が自由に公道を走っていたら事故ばかり起きてしまいます。だから車の運転は原則禁止にして、運転免許試験に合格した者に「許可」を与えて禁止されていることを解除するんです。これが許認可の一例の一つです。正確には許可と認可を合わせて許認可と呼んでいるんですけどね。

たくさんある許認可の種類

身近な許認可を挙げてみましょう。例えば、飲食店を開業したい!っていう場合には保健所とやり取りをして飲食店の営業許可を取得しなければなりません。リサイクルショップや自動車販売業を開業したい場合は「古物を転売してもいいですよ」といった古物商の許可が必要です。キャバクラやスナック、パチンコ店や雀荘の開業にも風営法に定められた許可を警察署でやり取りして取得します。自動車の名義変更は陸運局での手続きが必要です。畑や田んぼなどの農地を人に譲渡したり農地を潰して宅地に変更する場合(農地転用)は農地法と言った法律で定められた許可が必要です。

このように許認可は実は身近に存在するものなのです。

これらの許認可手続きを代理するのが行政書士

これらの手続きを依頼者に代わって行い報酬をもらうのが行政書士です。こういった書類を作るところを商売としていることから「代書屋」と呼ばれているのではないでしょうか?

民亊法務も行政書士の仕事

さて、これ以外にも民亊法務と呼ばれる仕事があります。行政書士は一定の範囲で民亊法務も行うことができます。ここから「街の法律家」と呼ばれるのです。

弁護士のように裁判はできない

じゃあ行政書士は裁判みたいに法廷に立って依頼者を弁護するのか?というとそれはできません。行政書士の行えることは原則として書類の作成になります。

予防法務で紛争を防ぐ

では行政書士の行う民亊法務ってなんだろう?というと予防法務と呼ばれています。

弁護士が紛争の起こった後に登場して解決する専門家だとすると、行政書士は争いごとにならないように未然に紛争の起こらないような書類の作成を行います。

具体例として、契約書の作成や協議書の作成があります。契約の内容や協議書の内容が食い違いのないように、揉め事が起こらないように書類の作成を行います。

紛争性のある書類は作成できない

民亊系の書類作成は弁護士法72条が関わってきます

紛争性のある書類に関しては弁護士の業務範囲になります。例えば、内容証明や示談書に関して行政書士法上は行政書士も作成はできると言われています。しかし、紛争性の高い案件での内容証明や示談書の作成は弁護士法72条違反となる可能性が出てきます。

業際問題~非弁行為になるの?

この72条違反を俗に非弁行為と言います。民亊系の書類の場合、行政書士と弁護士で作成できる書類で重なる部分があるので弁護士と競合という形になってしまいます。
行政書士の場合は書類の作成はできても、相手方との交渉や紛争解決の代理人となることができません。民亊法務はこの点に注意して業務を行わなければなりません。

行政書士の報酬は?

許認可と民亊法務の二種類が仕事とあるとして、どれくらいのお金がもらえるのか気になるところです。行政書士の報酬はどれくらいなのでしょうか?

報酬設定は自由

実は報酬設定は自由です。自分の好きな価格で業務を行っていいのです。

おおよその相場はある

日本行政書士会連合会が報酬額の統計を出しています。おおよその相場がこれを見ればわかります

相場より高いか?安いか?

報酬の設定は迷うところです。仕事量×報酬単価で自らの収入が決まります。
自分の置かれた環境によっても報酬額は変わってくると思います。行政書士の多くは開業行政書士なので自営業者です。自分で食えるように報酬設定を行うべきでしょう。安易な安売りや根拠のない値上げでは依頼の取得は難しいはずです。

行政書士は仕事をどう取るのか?

開業後は仕事がない人が多いかもしれません。どのように行政書士は仕事を取得していくのでしょうか?

行政書士の仕事の取り方は永遠のテーマ

なかなか仕事の取り方って教えてもらえないはずです。なぜなら周りの同業者に自分の仕事の取り方を教えるということは、少なからず自分の集客に影響が出てくるからです。では、どのように仕事をとるのか?どのように食えない行政書士から食える行政書士になっていくのでしょうか?

デジタルかアナログか

仕事の取り方は二種類あります。今はネット環境が整備されているのでホームページなどインターネットを活用して仕事をとっていくデジタル営業。
商工会や青年会に登録したり、ボランティアに参加して人脈を増やしていくアナログ営業があります。

デジタル営業~ネットから行政書士に依頼ってあるの?

ホームページなどを作って検索エンジンのSEO対策をしてネットから依頼があるのだろうか?と思う方がいるかもしれません。
例えば、ディーラーなどは車庫証明や車の名義変更を県外の行政書士に依頼します。自分の県外の車関係の事業者がターゲットになるのです。そんなに難しくなくて誰でもできる業務で報酬単価も安い。県外まで行って手続きはしたくない、時間が惜しいといったニーズがあるのです。誰でもできて単価が安いならネットで見つけた行政書士に依頼するといった傾向があります。

アナログ営業~依頼には結び付きにくい?

他方、いろいろな人が集まる場所に出向いて名刺交換をしたりチラシを配ったりするアナログ営業もあります。
すぐに即効性はないかもしれません。しかし、何をやっている人なのか明確にしてホームページなどで後から自分を確認してもらえるようにしっかりとした仕組みづくりをしていけば後から効果が出てきます。

その他の仕事の取り方

他にも仕事の取り方はあります。前職から仕事をもらう、コネを使う、二世事務所を引き継ぐ、他士業や同業者から仕事を回してもらう・・など。やり方はいくらでもあるのです。
やる気が一番大切ですね。

行政書士に生かせる仕事

行政書士に生かせる仕事って何だろう?将来行政書士になろうと思うから生かせる仕事に就きたいって人もいるはずです。

基本的になんでも生きる

生かそうとする職に就くのもわかります。しかし、行政書士の仕事は多肢に渡りますし営業方法も様々です。自分の棚卸をしてよく考えてみて下さい。今の自分でも生かせることが沢山あるはずです。

仕事がない場合はどうする?

仕事がない間どうするのか?思い悩む人も多いかもしれません。

バイトでもなんでもやって稼ぐ

仕事がない間は収入源を確保しなければなりません。なりふりかまわずアルバイトで稼いで生計を立てましょう。
役所の営業時間を仕事ができるようにしておいて、早朝や深夜にアルバイトをして生計を立てている行政書士はいます。

行政書士を副業として始める

サラリーマンをしながら行政書士ということも可能です。ただし、行政書士会に提出する書類として会社からもらわないといけない誓約書などが必要です。

思い切って行政書士にチャレンジ!

いかがだったでしょうか?
実際には開業しないとわからいことが多いのが現実でしょう。

行政書士は司法書士や社労士といった他の法律系の資格と比べると、「取得しやすい」といわれていて、独学で目指す方もいるほどです。

しかし、独学は講座受講に比べて費用が安くすむ、というメリットはあるのですが、
・試験の最新情報までつかむことができない
・効果的な学習方法がわからない
・自分一人だとモチベーションが続かない
というデメリットがあります。

特に、「モチベーションの維持」は独学だとかなり難しいため、「自分はいままでも独学ですべてやってきた」というような、かなりの自信のある方以外は 「勉強しなければならない状況」に自分をおくことのできるスクールで学ぶことをオススメします。

実際に、独学で挑戦したものの合格できず、スクールで学び直すという方も多くいます。できるだけ効率的に学習し、確実に一発で合格するためには、講座を受講することをおすすめです。

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