中国不動産市場の現状・今後の展望|市場分析と今後の課題

雑学

中国不動産市場の現状分析

中国人にとって中国不動産市場価格の現状は、当たり前のように繰り広げられている話のネタです。タクシーの運転手と客という他人の間柄でも、あの地区の物件はいくらだの、数年前に○○元で買っておいてよかっただの、普通に中国不動産市場の現状の情報の交換が行われています。
まして知人の多い宴席において、中国不動産市場の現状の話題が一度も出ないことなどあり得ません。不動産価格とは中国人にとって最も身近な話題であり、経済の指標になっています。
それがこのところ回復基調が明確となっています。中国不動産市場の現状2016年の中国経済にどんなインパクトを与えるのでしょうか。その実態を探っていきましょう。

中国の不動産投資の現状

中国では、2000 年以降、都市化の急速な進展に伴い不動産投資が活発になりました。特に、外資の Capitaland、GIC、Morgan Stanley、Goldman Sachs などの不動産ファンドが商業用中国不動産市場で不動産の取得等を通じて活発な動きを示していルノが現状です。
また、2005 年には中国本土の不動産を主たる投資対象とする初の REIT が香証券取引所に上場し、中国の内外投資家して、中国不動産市場への投資機会を提供している現状です。

中国の経済の現状

現状中国の経済成長率は、世界で比較しても群を抜いています。今、勢いにのっている中国はいまや日本のGDPを抜き、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国までのしあがってきました。
10億人以上もの人口をかかえる中国が、今後どのような経済発展を成し遂げるのか、経済の指針である不動産市場お現状を軸に見ていきましょう。

中国不動産市場の展望

中国不動産市場のこれからはどうなっていくのか見ていきましょう。

宋杰氏の論文「中国の不動産投資動向と市場の現状」を引用すると、
中国不動産市場に参入した外資は、内資(国内、香港、マカオ、台湾を含む)との棲み分けが明確で、縁故のある華僑を除き殆んどの外資は自ら直接に開発プロジェクトを持たず主に仲介、投資顧問、金融サービス資産管理などサービス部門を担っている。不動産は個別性が強く、投資すると長期化しなかなか撤退できない、カントリーリスクや為替リスクを考えると開発事業に外資が携わるより不動産金融サービス、投資顧問などのサービス分野がビジネスの主なフィールドになると思われる。
中央政府と地方政府の利害調整、不動産評価制度の整備(特に事例の整備や評価のOA化など)などが外資の本格的事業展開の課題とされている。中低所得者層の住宅取得支援策が今後、促進され未成熟な中古市場が旺盛なマンション需要と関連して育成されれば巨大な住宅市場が出現する可能性を秘めている。

となっています。

求められる国の政策

現状のところ、地方都市の中国不動産市場は意外に堅調である。経済減速で苦しい立場にある中産階級が懸命に踏ん張っているからだと思われます。しかし、この状況をキープできるでしょうか?
経済統計ではわからない中低所得者層の彼らの動向こそ、今後の中国経済や中国不動産市場を占うカギになると思います。中低所得者層の住宅取得支援策を国が推し進めていくことが求めらているのが現状です。

中国不動産市場の現状とは

第一四半期の経済データの現状(2016年)

去年の中国の経済データをまずは見てみましょう。

・GDP成長率はプラス6.7%であった。これは日本でいう高度経済成長期に匹敵する数字である。
・貿易総額(人民元ベース)は▲5.9%だった。輸出は▲4.2%、輸入は▲8.2%だった。
・全国固定資産投資(農家含まず)は名目△10.7%、実質△13、8%と発表された。
・社会消費品小売総額は△10.3%だった。そのうちネット通販は△27.8%伸ばしている。

貿易では赤字ではあるが、消費者消費が年10%以上もの伸びています。これは現状驚異的な数字です。国民のネットの普及に伴い、ネット通販も25%以上伸びている現状です。
今後ももっとネット通販は伸びていく見通しでしょう。

次は、中国不動産市場を見ていきましょう。

第一四半期の中国不動産市場の現状(2016年)

中国不動産市場分析のツールに、国家統計局から毎月発行される「全国70大中都市住宅販売価格変動状況」があります。
現状名の知れた都市は網羅されています。
四半期ごとに「全国不動産開発投資並びに販売状況」が発表されます。こちらも参照しながら地元紙を見て、地元中国不動産市場の動向をチェックします。
これが一般的な分析手法です。地元紙の記事は、地方政府の意向を先取りしています。ここでも政府は公正な第三者ではなく、当事者です。不動産取引ごとに税金が入る仕組みになっていて、取引件数の落ち込みは死活問題です。
第一四半期の全国不動産投資は、前年同期比名目△6.2%、実質△9.1%でした。
2015年は通年で名目△1.0%だったため、今年に入って急速に回復しています。
販売実績を見ると、面積は△33.1%、販売額では△54.1%も伸びています。これを発展の著しい東部沿海部(北京・上海等)に限ると、面積は△44.2%、販売額は△72.8%となります。沿海部の大都市で活発になっています。
また在庫は7億3516万平方メートルで、416万平方メートル減少しました。用途別では住宅▲652万平米、オフィス▲40万平米、商業△117万平方メートルで、商業用途だけが増加しており消費者消費が急激に増加しているのも頷けます。大都市中心部では家賃が上がり過ぎてしまっており、実店舗を構えた商売は採算が合わない現状です。

一般的な都市として青島市を検証

北京と上海のおよそ中間に位置している東沿岸部の山東省・青島市を例にとって検証してみます。
同市の新築住宅価格指数は、101.2、中古住宅価格指数は101.5であり、1年前とあまり変わっていません。
しかし、現状では取引内容は大きく変化しています。3月の新築成約件数は前年同月比△82.5%と大幅に増加した。中古販売はさらに好調で、△218%となった。それでも価格上昇がわずかにとどまっているのは、価格の安い郊外地区での取引が盛んだったためです。
統計には直接載らない賃貸の世界でも、状況は好転しています。
賃貸仲介を中心とする小さな不動産屋の話では現状、今は退去者が出てもすぐに次の人が決まるそうで、空席率は低い現状だそうです。
地元紙には、不動産登記所に朝から行列ができている、というニュースが載った。現状でも不動産取引の活況は続いているもようです。
地方政府は税金がたくさん手に入り、税金によってさまざまな政策に活かせそうですね。

中国不動産市場の課題

次に、中国不動産市場の課題をみていきましょう。

止まらない中国の不動産バブル

中国不動産市場の現状課題は大都市(北京や上海等)・リゾート地の住宅価格の上昇を抑制することです。大都市の上海・北京とリゾート地の海南省では、投資目的の住宅購入が多いです。このため、分譲住宅平均販売価格の世帯年収倍率が10倍超の水準に達しています。
これは居住用に住宅購入を考えている者が買えることがでません。こうした現状から判断すると、大都市では住宅バブルが発生しているといえます。
仮に、2004年に100万元を預金すると、その預金に利息がつき2008年には112万元になっているとします。一方、北京で2004年に100万元のマンションを購入していれば、2008年に130万元で売れます。
こうした現状は日本のバブル崩壊前にも見られました。
1988年6月に総理府が行った「土地に関する世論調査」の中で「土地は貯金や株式などに比べて有利な資産である」という質問に対して、64.1%の人が「そう思う」と答えていました。日本は1980年代後半に大量の資金が不動産市場に流れ込み、地価が大幅かつ急速に上昇したことを経験しています。
中国政府は、大都市の住宅価格の上昇を抑制するために、金融引き締め政策を実施してきました。利上げは2010年10月、12月、2011年2月、4月、7月とこれまで5回、預金準備率の引き上げは、2010年11月に2回、12月から2011年6月にかけて毎月1回実施されました。
金融政策以外にも、一連の中国不動産市場価格抑制策が実施されました。
例えば、2011年1月、中央政府は8項目からなる通称“新国8条”を打ち出し、地方政府ごとに中国不動産市場価格抑制目標を設定するよう求めました。北京市、上海市は2軒目住宅や転入して5年に満たない市民を対象に購入制限令を発表し、同様の措置は中小都市でもその後導入されました。
現状は政府の抑制策を背景に、住宅価格の急騰は抑制されつつあります。

不動産バブルでの市民の不満

大都市・リゾート地域の住宅価格は年収倍率から考えると依然高くなっています。北京・上海・海南では、引き続き抑制策を実施することで中国不動産市場価格を安定させる必要があります。その間、所得水準が持続的に上昇することで、住宅価格の年収倍率が徐々に低下していくことが理想です。住宅価格が世帯年収の5倍前後になってはじめて、市民の住宅問題に対する不満が和らぐことになるでしょう。
中国政府が大都市の北京・上海の不動産バブルを支配できるかどうかが、今後も国民から期待が向けられています。

中小都市の不動産需要

近年、中国では中国不動産市場開発投資が急拡大しています。
地方政府は原価が0に近い土地を政府関連の中国不動産市場業者に安価で販売し、不動産業者は住宅を中心に開発・建設し、大きな利益を得るようになりました。
同時に、中国不動産市場開発投資は中国の高成長の支柱の一つにもなりました。中国不動産市場開発投資の拡大ペースは、住宅の私有化が実施された1998年以降、経済成長のペースを常に上回っています。名目GDP最近5年間で2倍にまで拡大する一方、中国不動産市場開発投資は5年間で3倍に拡大しました。2011年の投資規模は6兆1,740億元と、名目GDPの13.1%を占めています。
中国不動産市場の主役は住宅です。日本における不動産投資の中心は土地(更地)であるが、これは土地所有権が私有化されて、売買できる市場が成立しているためであります。しかし、中国では土地所有権は政府にあるため、土地そのものは不動産取引の中心になり得ません。オフィスや商業施設も不動産ではあるものの、規模では住宅に大きく劣っています。2011年の商業ビル投資は7,370億元と全国の不動産開発投資の11.9%、オフィスビル投資は2,544億元と全体の4.1%にとどまる一方、住宅投資は4兆4,308億元と全体の71.8%にのぼります。
住宅市場についてみると、中小都市を中心に多くの地域で住宅実需が旺盛です。上海・天津・北京と住宅市場が小さく不安定な山西・寧夏・青海・チベットを除く全ての地域において、新築分譲住宅の販売面積は竣工面積を上回ります。政府による供給規制政策も影響し、圧倒的多数の中小都市において、需要が供給を上回っているのが現状です。

中国不動産市場価格暴騰に伴う治安維持問題

中国の不動産バブルについては、日本でも大変関心が高いといえます。
「昨年の価格と比べて、今は5割も高くなっている。もう仕事をするなんでばかばかしい。」と、深セン衛星テレビ局で打ち合わせをしていると、地元のジャーナリストが中国不動産市場価格について、このように語っていました。

「“階層”はすでに相当に固定化されているのではないか。住宅を持っている人は、よほどのことがなければ永遠に豊かだが、一方で、これから農村や地方から都市に出てくる人は、たとえ高い給料をもらっても、もう北京や上海、深センでは、一生住宅を買えないのではないか」と、共産党系新聞『人民日報』傘下のある新聞社の副社長は不満をこぼしたそうです。
普通の人よりはるかに収入が高いが、そんな地位にある人でも、北京郊外で住宅を買おうとしても、現状ではほぼ無理でなのです。大都市の住宅は、投資用のためのお金持ちの資産運用の手段となっているのです。
住宅問題さえなければ中国の市民はもっと消費におカネを回せるし、社会の安定も維持されます。このあまりにも高い住宅問題を解決するには、普通の政策ではすでに対応できなくなっており、不動産をめぐる犯罪摘発にまで政策が発展しているという点で、最近では重要な政治問題にまでなっているのです。
しかし、それでも効果は見えてこないのです。国が介入して、大都市でも住宅が購入できるように不動産バブルを食い止める必要があります。

全体的な所得な増加

現状中小都市の強い実需は都市化と所得水準の上昇という2つの要因がもたらしています。まず、都市化は大きな住宅の新規需要を生み出します。農村部から都市部への人口流入を背景に、都市部の人口が大幅に増加しました。2006年から2009年にかけて、大都市の東沿岸部の北京・上海を除いた都市の人口増加数は4,229万人に達する。他方、所得水準の上昇は持続的な住み替え需要の源泉となります。
ここ10年、中国内陸部においても所得水準は2桁の上昇を続けてききました。人々は、老朽化したマンションとそれに伴う厳しい屋内設備・居住環境から、徐々に新築のよりよい住宅に住むようになってきています。

バブルの誇張

現在の中国における住宅価格は、一線都市を中心に、すでに均衡水準を大きく上回っています。
まず、(統計の制約で直近となる)2014年の住宅価格/世帯所得比(世帯所得は年間値)は、深圳が21.7倍、北京が20.1倍、上海が19.7倍をはじめ、主要都市では高くなっています。これらは、1980年代後半のバブル期の東京を上回る水準に達しています。

不動産バブルで「偽装離婚」に

お金に振り回されると人生ロクなことにならないという事例のひとつといえるのかもしれません。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘しました。
中国経済の大きな課題といえば過剰生産への対応でした。いわゆる国有企業改革であるが、そうしたメニューが次々と話題を集めた一方で、政府が対応に苦慮したのが不動産バブルへの対応でした。
昨年は年初から上海や北京など各省都に準ずる一線都市と呼ばれる都市で中国不動産市場価格が爆騰し始め、夏ごろには中国の不動産王と呼ばれる万達グループの王建林氏が「不動産価格高騰の理由が誰にも分らない」と答えて人々を驚かせました。
この中国不動産市場価格の高騰の原因は、これまでもいろいろ指摘されてきましたが、個人の投資家のマンション投資も、その大きな要因であることは間違いない。そのため政府は、一つの家庭が二つ目のマンションを購入する際には融資受けられる条件を厳しくするなどして、その対策としてきたましたが、この規制をかいくぐるために流行したのが、いわゆる「偽装離婚」でした。つまり、一度離婚して2人が一つずつマンションを購入した後に、再び結婚するのです。
これが可能な前提は、言うまでもなく夫婦の絆が強い信頼関係で結ばれている必要がありました。もちろん、ここ数年間、問題が大きく報じられたことはなかったのです。
しかしここにきて懸念はついに現状となってきたために問題として上がりました。
お金のために、偽装離婚までしてしまう現状をみなさんはどう思うでしょうか?

中国不動産市場のバブルはいつはじけるのか?

今年、再燃した住宅バブルだが、投資家の関心はいつ、何をきっかけにバブルがはじけるのかの一点でしょう。バブルの絶頂期を指摘するのはプロでも難しいとされます。加えて中国は共産党による一党独裁国家なので、崩壊の時期を読むのはとてつもなく難しいと言える現状です。
ただし、バブルがはじけた順で言うと、アメリカではなく、日本パターンと言えそうです。すなわち、アメリカでは不動産バブルがはじけた後に株バブルがはじけたのに対し、日本では逆に生じました。日経平均株価は1989年12月29日をピークに暴落に転じたましたが、地価が下落を始めたのは1992年になってからです。つまり、2年のブランクがあったのです。

中国の不動産バブル崩壊は今年かも

中国では2015年夏には株バブルがはじけたとされています。日本のケースがそのまま当てはまるかは不明ではありますが、中国の不動産バブル崩壊は2017年になるのではないかという指摘にはある程度の合理性があるといえるでしょう。
今年4月、リーマンショックを予言したとされる資産家で著名投資家のジョージ・ソロス氏は「中国経済は世界的な景気後退に拍車がかかる前の2007〜2008年当時の米国に似ている。皆が予想する時期よりも後に転換点を迎える可能性がある」と指摘しました。発言から12月でもう8か月が経過しています。2017年の間と考えておいたほうがよいのではないでしょうか。

中国不動産市場の現状をよく知ろう

いかがでしょうか?
経済成長の著しい中国では、中国不動産市場のバブルの成熟期を迎えており、いつはじけてもおかしくない状況です。日本と密接な関係を築いている中国のこれからの中国不動産市場と現状は、敏感に押さえておきたいものですね。

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