20代の平均年収は300万円
まずは20代の平均年収を計算する基となる資料を紹介します。
今回使用するのは国税庁が行っている統計調査のひとつで「民間給与実態統計調査」というモノがありますので平成27年分の調査資料を基に20代の平均年収を調べてみました。
男性 | 女性 | 男女平均 | |
---|---|---|---|
20代前半 | 271万 | 233万 | 253万 |
20代後半 | 383万 | 306万 | 352万 |
調査資料を確認すると、
20代前半(20~24歳)の平均年収は男性で271万円、女性で233万円、男女合計の平均年収で253万円。
20代後半(25~29歳)の平均年収は男性383万円、女性306万円、男女合計平均年収は352万円となります。
つまり20代での平均年収は302.5万円となります。
全体の平均年収
平成27年12月31日時点で給与を支払っている民間企業は352万件あります。その民間企業から給与を貰っている方は5,646万人います。そして、企業352万件が従業員5,646万人へ支払った給与総額は204兆7,809億円になります。
この中から1年を通じて勤務した給与所得者4,794万人の平均年収を計算すると420万円となります。全体の平均年収と比べると20代の平均年収は下回っており、差は120万円程となります。
20代は企業の中では最も若年層になります、一般的には各年代が同じような人数で企業に所属している形がバランスの良い形とされており、歳を重ねるごとに報酬が上がっていく仕組になっています。全体平均と比べて20代の平均が低いのは理論的にも間違いではありません。
年代別の平均年収
次に年代別での平均年収を見ていきましょう。年代別での平均年収が最も高額な年代は50代の500万円となります。企業にとっても重要な役割を任せられている場合が多いので平均年収も高くなっています。
■年代別平均年収 | |
---|---|
19歳以下 | 132万円 |
20代 | 302万円 |
30代 | 414万円 |
40代 | 473万円 |
50代 | 500万円 |
60代 | 336万円 |
70歳以上 | 304万円 |
全体平均 | 420万円 |
日本の企業は現在も終身雇用制度を基に従業員を雇用している企業が多くあります。終身雇用制度では年齢と共に報酬が高くなる仕組が多くなっていますので平均年収も年代と共に増加する傾向にあります。
前段でも説明した通りに20代から50代に向けて平均年収が上昇しています。60代から減少しているのは定年を迎えた後に報酬を下げて雇用されている方が多くいるからです。20代から50代までは上昇しその後は下降していく動きになっています。
正規雇用者と非正規雇用者
これまでの平均年収については正規雇用者と非正規雇用者の両方を合わせた平均値となっていますが、正規雇用者と非正規雇用者ではどれくらいの違いがあるのでしょうか?
数値比較
1年間を通して給料を貰っている方は4,794万人いますが、その内の3,142万人が正規雇用者で1,123万人が非正規雇用者となっています。(※総人数には会社役員も含まれている為合計は合いません)
金額で比べてみると、給与総額は201兆5,347億円の内、152兆3,442億円が正規雇用者、19兆1,462億円が非正規雇用者に対して支払われた給与総額となります。(※給与総額には役員報酬が一部含まれている為合計は合いません)
人数の比率では正規雇用者が65%、非正規雇用者が23%なのに対して金額での比率では正規雇用者が75%、非正規雇用者が9%となっています。人数と金額での比率を考えると正規雇用者と非正規雇用者の収入格差が見えてきます。
20代での差は小さい
20代の平均年収を具体的な金額を見ていくと正規雇用者の場合、男性の平均年収は376万円で女性は333万円、非正規雇用者の場合男性が270万円で女性は237万円となります。
男女合計での金額は正規雇用者が355万円に対して非正規雇用者は254万円になります。20代での正規雇用者と非正規雇用者では他の年代と比べると金額の差は少ない年代となりますが、それでも約100万円の差が出来てしまいます。
上昇率の差が大きい
正規雇用者の場合、年数を重ねるごとに平均年収は上昇していくのに対して非正規雇用者の場合はその上がり幅が小さく差が大きくなっているようです。20代での金額は差が少ないためにあまり影響が少ないようにも感じますが、この金額の差は20代以降の将来的に影響が出てきます。
厚生年金の場合、現役時代に納めた保険料の金額により将来受け取ることが出来る年金額が決まりますので平均年収で計算された差額以上の差が出来てしまいます。20代からの働き方が今後の収入までも左右してしまうことになります。
公務員の平均年収
数年前には子供のなりたい職業ランキングで上位にランクインするなど「安定」を求める現代の象徴のような職業である公務員ですが、公務員の平均年収はどれくらいなのでしょうか?
公務員といっても実は色々な職種があり、職種により平均年収は変動します。
国家公務員と地方公務員
国家公務員と地方公務員では勤務地となり得る範囲が大きく違います。国家公務員の場合、「国」の運営する行政実務範囲での活動になるので「日本全土」が対象の勤務地になります。
それに対して地方公務員は「地方(都道府県)」の運営する行政実務範囲での活動になりますので「地方」が対象の勤務地になります。よくメディアなどで比較対象とされている市区町村役場の職員も地方公務員のくくりに入ります。
国家公務員
まずは国家公務員の平均年収ですが、職種により平均年収はかなりのバラつきがあります。教職員や警察官などの専門分野もありますが一般的な企業との比較としては行政職との比較になります。
行政職での平均月額給与は29万円~34万円となります。月の給料が約30万円として年間賞与が4ヵ月だとすると平均年収は約500万円になります。民間企業での平均年収が420万円なので国家公務員の平均年収の方が多いことになります。
地方公務員
次に地方公務員の平均年収ですが、こちらも一般行政職で比較をしてみます。一般行政職の平均月額給与は33万円となります。こちらも年間賞与が4ヵ月だとすると平均年収は国家公務員と大きな差は出ません。
地方公務員の平均年齢は40才前後なので40才で月の給料が33万円と考えると言われるほど高額な給料を貰っているようではありません。20代で考えてみても高額だとはいえるような金額ではありません。
都道府県により平均年収は違います
地方公務員の場合、勤め先となる都道府県により平均年収は大きく異なります。2013年度の都道府県別でのランキングでの有数5とワースト5を見てみましょう。
トップ5 | 都道府県 | 平均月給 |
---|---|---|
1位 | 浦安市(千葉県) | 478,904円 |
2位 | さいたま市(埼玉県) | 477,636円 |
3位 | 市川市(千葉県) | 475,954円 |
4位 | 逗子市(神奈川県) | 473,142円 |
5位 | 芦屋市(兵庫県) | 472,506円 |
ワースト5 | 都道府県 | 平均月給 |
---|---|---|
1位 | 青ヶ島村(東京都) | 229,208円 |
2位 | 姫島村(大分県) | 268,869円 |
3位 | 粟島浦村(新潟県) | 273,876円 |
4位 | 本部町(沖縄県) | 286,066円 |
5位 | 山江村(熊本県) | 286,915円 |
2013年のランキングでは【有数が千葉県浦安市で平均給与が478,904円】【ワーストが東京都青ヶ島村で平均給与が229,208円】となっています。金額の差が倍以上になっています。全体の平均月額給与は約33万円でしたが、勤める地域によりこれだけの差が出ているのです。
大きな違いは諸手当の差
これだけの差が出ている要因として「諸手当」に大きな違いがあります。給料の中には色々な手当が含まれているのですが、多くな差を出しているのは「時間外手当」と「地域手当」になります。
有数とワーストで比較してみると千葉県浦安市では時間外手当で6万程、地域手当で4万程が支給されているようです。そのほかの手当ても合わせると約14万円の諸手当が支給されています。それに対して東京都青ヶ島村では時間外手当と地域手当は共にゼロでその他の手当てが1万円程出ているようです。
この諸手当の差が平均年収にも大きな差を出している要因になっています。
勤務地により実情は異なる
公務員はある程度高い給料で楽が出来るというイメージを持っている方も多くいますが実情は異なるようです。勤務地によっては残業も多いようですし給料も驚くほど高額なわけではありません。それでも公務員が良いと言われる部分は「安定している」というところです。
よっぽどの事がない限りはクビになる事がありませんし年齢と共にそれなりの役職が与えられ給料も上がっていきます。さらに退職金も設定されているので定年を迎えたときには2,3千万の退職金を貰うことが出来ます。
民間企業であればこれだけの退職金を貰えることはまずあり得ません。良いか悪いかを判断するのは個人に任せますが間違いなく公務員は安定した生活を送ることが出来ます。
民間企業の平均年収の実態
ここまで、「民間企業の平均年収」「正規雇用者と非正規雇用者の比較」「公務員の平均年収」と見てきましたが、一番総数が多いのは民間企業に勤める正規雇用者になります。
さらに平均年収となると上位と下位の平均値となりますし、何より民間企業は業種が多種多様ですので必ずしも「民間企業は安月給で激務」や「公務員は高給取りで楽」というような図式は生まれません。次は民間企業の平均年収についてもう少し掘り下げて見ていきましょう。
業種別の平均年収(20代)
賃金構造基本統計調査・民間給与実態統計調査の資料を基に算出してみると産業別での平均年収は以下のようになります。
20代前半職種別平均年収
業界 | 男性平均年収 | 女性平均年収 | 平均年収平均 |
---|---|---|---|
建設業 | 345万円 | 334万円 | 339万円 |
製造業 | 316万円 | 289万円 | 302万円 |
情報通信業 | 358万円 | 352万円 | 355万円 |
運輸業・郵便業 | 320万円 | 297万円 | 308万円 |
卸売・小売業 | 328万円 | 300万円 | 314万円 |
金融・保険業 | 356万円 | 324万円 | 340万円 |
学術研究・専門・技術サービス業 | 339万円 | 323万円 | 331万円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 299万円 | 288万円 | 293万円 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 320万円 | 300万円 | 310万円 |
教育学習支援業 | 350万円 | 324万円 | 337万円 |
医療・福祉 | 334万円 | 329万円 | 331万円 |
その他 | 310万円 | 288万円 | 299万円 |
20代後半職種別平均年収
20代後半職種別平均年収(25~29歳)
建設業
男性:404万円 女性:350万円 平均:377万円(+38万円)
製造業
男性:371万円 女性:318万円 平均:344万円(+42万円)
情報通信業
男性:432万円 女性:408万円 平均:420万円(+65万円)
運輸業・郵便業
男性:377万円 女性:332万円 平均:354万円(+46万円)
卸売・小売業
男性:384万円 女性:339万円 平均:361万円(+47万円)
金融・保険業
男性:456万円 女性:368万円 平均:412万円(+72万円)
学術研究・専門・技術サービス業
男性:416万円 女性:390万円 平均:403万円(+72万円)
宿泊業・飲食サービス業
男性:344万円 女性:313万円 平均:328万円(+35万円)
生活関連サービス業・娯楽業
男性:368万円 女性:347万円 平均:357万円(+47万円)
教育学習支援業
男性:424万円 女性:376万円 平均:400万円(+63万円)
医療・福祉
男性:403万円 女性:368万円 平均:385万円(+54万円)
その他
男性:356万円 女性:324万円 平均:340万円(+41万円)
金融保険業が有数クラス
20代での職業別平均年収を見てみると特別に大きな差は無いようですが、情報通信業が一番平均年収が高くなっています。男性平均年収でいくと金融保険業が一番平均年収が高くなります。全体的にも言えますが金融保険業では男女での平均年収の差が大きく出ています。
20代の20年後
現在の調査結果によるシミュレーションになりますが、20代の20年後の平均年収はどのように変動するのでしょうか?職業別での比較を見てみましょう。
20年後の職種別平均年収(46~49歳)
建設業
男性:660万円 女性:411万円 平均:535万円(+196万円)
製造業
男性:616万円 女性:372万円 平均:494万円(+192万円)
情報通信業
男性:824万円 女性:625万円 平均:724万円(+369万円)
運輸業・郵便業
男性:484万円 女性:361万円 平均:422万円(+114万円)
卸売・小売業
男性:665万円 女性:401万円 平均:533万円(+219万円)
金融・保険業
男性:979万円 女性:510万円 平均:744万円(+404万円)
学術研究・専門・技術サービス業
男性:756万円 女性:510万円 平均:633万円(+302万円)
宿泊業・飲食サービス業
男性:510万円 女性:336万円 平均:423万円(+130万円)
生活関連サービス業・娯楽業
男性:574万円 女性:388万円 平均:481万円(+171万円)
教育学習支援業
男性:779万円 女性:572万円 平均:675万円(+338万円)
医療・福祉
男性:710万円 女性:430万円 平均:570万円(+239万円)
その他
男性:513万円 女性:368万円 平均:440万円(+141万円)
この年代の平均年収を見ても金融保険業と情報通信業は有数クラスの金額になっています。最も低い平均年収となってしまったのは運輸業・郵便業です。上昇額も最も低い金額となっています。また、男性だけで見ても金融保険業の金額が特に目立ちます。
20代では差が少なかった年収も20年後には差が大きくなっています。
色々な情勢により変化はしますが20代から先の年代のことも意識していくことは必要です。
地域別の平均年収
20代限定ではなく全体での数値になります。
まずはエリアごとでの平均年収を見てみましょう。
関東地方
男性:507万円 女性:378万円 平均:461万円
東海地方
男性:455万円 女性:326万円 平均:420万円
中国・四国地方
男性:448万円 女性:325万円 平均:419万円
関西地方
男性:453万円 女性:327万円 平均:410万円
北信越地方
男性:438万円 女性:324万円 平均:410万円
北海道・東北地方
男性:431万円 女性:314万円 平均:398万円
九州・沖縄地方
男性:425万円 女性:322万円 平均:394万円
2015年の資料を基に集計しておりますが、東京近郊の関東地方は平均年収が高い傾向にあります。都道府県別では神奈川県の474万円(男:525万円 女:367万円)が有数となっています。公務員の平均年収も東京近郊が高い傾向がありましたので同じような結果になっています。
最も低い地方は九州・沖縄地方となっており、都道府県別では佐賀県の371万円(男:391万円 女:320万円)が最下位となっています。
20代の平均年収を高くする為には?
これまでの資料を基に「20代で最も稼ぐことが出来る職業は?」何なのかを考察してみます。まずは、平均年収の差が大きく出ている要素は「勤務地」にあります。これは民間企業も公務員も同じ結果が出ています。これは、地域ごとの生活水準・物価の差があるということです。
わかりやすい話で行くと東京で借りるワンルームマンションと地方で借りるワンルームマンションでは家賃が全く違います。これは他の買い物にも言えることですが東京近郊では収入も高い分、必要な生活費も多いということになります。
今回は平均年収を上げるという観点で考えていますので、そのような意味では勤務地は神奈川県が一番有利ということになります。
公務員か民間企業か
次に職業になりますが、民間企業と公務員では民間企業の方が平均年収を上げる要素が強く出ています。公務員も職種によっては高額な報酬を得ることが出来ますし安定も得ることが出来ます。しかし、平均年収を上げるという観点で考えるとやはり民間企業でしょう。競争もある分平均年収の上がり幅は大きくなります。
職種
そして職種になりますが、最も高額なのは金融・保険業です。つまり、【神奈川県の金融・保険業】こそが20代の最も平均年収を多く得ることが出来る職業だと言えます。
統計資料などを基に考察をしてみるとこのような考えに行きつきました。しかし、実際に企業情報などを参考にしてみると統計資料を基に考察した結果とはまた違う結果が見えてきます。
国内上場企業の平均年収ランキング
国内の上場企業の中から平均年収でのランキング有数10を紹介します。
1.M&Aキャピタルパートナーズ
平均年収2,253万円(平均年齢:30.5才 人数:40人)
2.GCAサヴィアン
平均年収2,153万円(平均年齢:37.1才 人数:110人)
3.キーエンス
平均年収1,688万円(平均年齢:35.3才 人数:2,063人)
4.朝日放送
平均年収1,518万円(平均年齢:42.5才 人数:655人)
5.TBSホールディングス
平均年収1,509万円(平均年齢:51.3才 人数:85人)
6.日本テレビホールディングス
平均年収1,469万円(平均年齢:48.1才 人数:155人)
7.フジ・メディア・ホールディングス
平均年収1,447万円(平均年齢:43.1才 人数:38人)
8.テレビ朝日ホールディングス
平均年収1,433万円(平均年齢:42.1才 人数:1,166人)
9.伊藤忠商事
平均年収1,395万円(平均年齢:41.5才 人数:4,291人)
10.日本M&Aセンター
平均年収1,385万円(平均年齢:34.6才 人数:237人)
上場企業有数は20代企業?
有数はM&Aキャピタルパートナーズの2,253万円となりました。従業員数も40名と少数精鋭部隊の有数企業です。M&A仲介事業を手掛けてるプロ集団です。平均年齢も30.5才と20代後半と代わりない若会社ですが平均年収で有数となっています。
他にランクインしている企業を見てみるとM&A関連事業やビジネス情報機器研究開発、テレビ業界などの会社がランクインしています。
ここへ入社するためには相当な努力と難関を突破しなくてはいけませんが、入社することが出来ると間違いなく平均年収では有数クラスに仲間入り出来ます。従業員数も多く平均年収が高額な企業では20代の活躍も期待できます。反対に競争も激しくはなりますが高額な報酬を得るためには競争を勝ち抜くしか方法はありません。
20代で得るモノ
全体の20代での平均年収は300万円程になるがその実態は地域や職業、雇用形態によってバラつきが出ていることが分かりました。特に有数クラスの平均年収はかなり高額な金額となっており一部上場企業の上位では2,000万円オーバーになります。
また、20代の平均年収としては職業による差はほとんど無い事とその後の平均年収では差が出てくることが分かりました。年収だけが人を評価する者ではありませんが自分の仕事に対してのひとつの物差しにはなります。
また、生涯年収では2億円が平均値としての目安になります。20代では平均年収を下回っていたとしても生涯年収では平均以上を得ることはまだまだ可能です。20代は今後の伸びしろが大きいことが有利な点です。