年収から見る税金の計算方法|税金で損しないためのコツは?

雑学

年収から見る税金の計算方法

年収が高いとなると、当然税金も高くなります。なぜなら、日本は超過累進課税という、年収が高ければ高いほど、税金が高くなる仕組みを取っているからです。稼いでいる人がたくさん税金を納めるというのは、格差是正などを考えると、あるべき姿と言えます。
では、年収から納めるべき税金というのはどういった計算方法で決まるのでしょうか、正確に言うと、年収の金額に税率をかけるのではなく、年収から所得控除等を行い、その人の所得金額を算出します。その所得金額に応じて7段階の超過累進税率を掛けて計算します。こういった方法によって、税金というものが決められてくるのです。

具体的な年収と税金の計算方法の例

では、実際にどうやって税金が計算されるかを具体例を用いて、説明していきます。
例えば、給与収入が1000万円のみ、年収1000万円という人がいるとします。まずは、その給与の収入から給与所得控除額を控除して給与所得の金額を出します。給与所得の金額の算出方法は、給与の額が1000万円であれば

(1000万円-660万円)× 10パーセント + 186万円 = 220万円

が給与所得控除の額となりますので、まず、給与収入の額からこの金額を控除します。また、社会保険料が毎月給与から天引きされていると思います。社会保険料は、給与の約14パーセントが天引きされますので、その数字を使うと、140万円がさらに所得の金額から控除されることとなります。そうして求められた所得金額は、この場合ですと、

1000万円 – 220万円 – 140万円
= 640万円となり

所得金額は330万円超から695万円以下の範囲になりますので、税率は20パーセントになり、控除額が42万7,500円となります。これにより算出された税額は

640万円 × 20パーセント – 42万7,500円
= 85万2,500円となり

納めるべき所得税は、この金額となります。

さらに住民税も所得に対してかかってきます。
住民税は所得の約10パーセントですので、住民税は約64万円となります。
所得税と合計すると、税額合計は

85万2,500円 + 64万円
= 149万2500円となります。

税金等を差し引いた手取り額の算出

給与等の手取り額の算出というのは、年齢や扶養家族、さらには残業代や住んでいる都道府県、通勤費などで決まるので、一概にこうとは言えませんが、例えば

東京都在住
独身
年齢30歳
月給30万円
通勤交通費0円の人がいたとします。

給与から天引きされるのは、大きくは社会保険料と源泉所得税、住民税です。雇用保険などは金額が小さいため、この計算では割愛します。

社会保険料は標準報酬月額という月々の給料で決まります。月々の給与が30万円であれば、健康保険と厚生年金を合わせて

42,138円が天引きされます。

源泉所得税も扶養家族などにより決められ、この場合ですと

6,850円が天引きされます。

さらに住民税は前年の所得によって決まりますが、前年の給与がボーナスも含めて15か月、450万円だとすると

住民税は月々2万円ほど天引きされます。

結果、給与30万円から

社会保険料 42,138円
源泉所得税  6,850円
住民税   20,000円
合計    68,938円が引かれ

手取り額は 23万1,012円となります。

給与総額の約20パーセント以上が引かれた金額が手取り額となることがわかります。

年収とは税金を含む?

一般的に年収というのは、どういったものを指すでしょうか?年収というのは、給与であれば、月給、ボーナスなどの金額の合計を指します。ですので、税金が控除される前の金額が年収となり、決して手取り金額が年収ということではないので、税引き前の数字が年収と言っていいでしょう。

年収から控除される税金

年収から控除される税金というのはいくつかありますが、代表的なのは所得税と住民税でしょう。所得税は上記にあるように、その人の所得金額から税率が決まり、住民税も上記の所得金額から、約10パーセントが課税されます。その他の税金で年収に対してかけられるというものは、実はありません。社会保険料は税金ではありませんし、税金の中で最も身近な消費税は、あくまでモノを消費した時にかけられる税金ですので、収入とは関係がありません。

税金で損しないためのコツ

税金で損をしないための方法はいくつかあります。所得税では、自分が支出した金額によって税の負担が安くなるという所得控除というものがいくつかあります。代表的なものは生命保険料控除、医療費控除、寄付金控除などで、これらの控除は年末調整または確定申告によって、所得金額から控除することができ、何もしない場合は、控除することができませんので、納める税金を少なくするため損をしないためにもこれらの控除は必ず受けておきましょう。

知らないところで納めている税金

税金というのは、色々なものにかかってきます。自分は働いていないから、税金を納めていないという認識の人も中にはいると思いますが、実は知らないところで税金を納めているケースもあります。その中の一つが、預金の利息です。預金の利息も税金の対象となります。

その税率は所得税、復興特別所得税等を含めると20.315パーセントとなり、これは、年収がいくらであっても一律でかかってくる税金となります。しかしながら、預金の利息に対して税金を納めた記憶が無いという人が多数だと思います。実は預金の利息というのは、あらかじめ、この20.315パーセントが引かれた状態で入金されてきており、ここで課税関係が終了しているのです。日本は低金利と言われていますが、さらにここから20パーセントもの税金が引かれているので、さらに金利が低く感じることとなります。

年収が高くても税金を安くするための方法

年収が高くても税金を安くすることはできます。それは所得控除をうまく使うことです。生命保険に加入すれば、種類によって、最大12万円所得控除ができます。掛け捨てではなく、積み立てにすれば、所得控除もでき、将来の貯蓄もできるということができます。また、働いていない両親と同居して扶養家族にすることでも所得控除ができます。両親が70歳以上であれば、一人あたり58万円、70歳未満でも38万円所得控除ができます。また、多額の医療費や地震保険、個人事業者であれば、小規模企業共済などの掛け金でも所得控除を受けることができますので、こういった制度を利用して、税金を安くすることは可能です。

税金のかからない年収とは

日本は年収が高ければ税金が高くなりますので、当然年収が少なければ、税金は少なくなります。そして、当然ですが、免税点というものが存在します。その免税点は有名かもしれませんが、給与のみの年収であれば、103万円です。では、何故103万円が免税点になるかというと、給与所得というのは、最低でも65万円が給与所得控除となり、給与支給額103万円から65万円が引かれ、給与所得は38万円となります。それとは別で、基礎控除というものがあり、その控除額が38万円となります。

よって、給与の年収103万円の人は、給与所得控除で65万円が引かれ、基礎控除で38万円が引かれ、結果、課税所得は0円となり、税金がかからない仕組みとなるのです。

年収が高くても税金がまったくかからないケースとは?

年収が高くてもまったく税金がかからない唯一と言ってもいいケースがあります。それは退職金に係る収入です。退職金は退職所得控除と言って、勤務期間1年につき40万円、勤務期間が20年超であれば、1年につき、70万円という控除が受けられます。
具体的な例で計算してみると
例えば勤務期間が25年、退職金が1000万円の人がいたとします。
退職所得控除額は、以下のように計算されます。

① 20年までは
20年×40万円=800万円

② 20年超
5年×70万円=350万円

①+②の合計は1150万円となり、この金額が退職金の額から控除されます。そうすると
1000万円 – 1150万円 = △150万円
となりますが、マイナスの場合は、「0円」となりますので、結果、退職所得金額は「0円」となります。つまり、この退職金1000万円には税金がかからず、そのまま、1000万円が手取り額となります。社会保険料もかかりません。ですので、退職金というのは、非常に優遇された措置ということがわかります。

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