確定申告の種類
確定申告は大まかに「申告書A」と「申告書B」の2種類に分けることができます。
「申告書A」は主に、会社員やアルバイトで確定申告をする場合、年金受給者が確定申告する場合や、配当所得、保険などによる一時所得がある場合に使用します。
「申告書B」は、個人事業主やフリーランスの方など、誰でも使用できる申告書です。
また、個人事業主の行う確定申告には「白色申告」や「青色申告」といった種類もあります。
違いを簡単に説明すると、「白色申告」は申告書の他に提出が必要な書類が2つ、「青色申告」は申告書の他に4つ必要であるという点、そして「青色申告の方が記帳内容が非常に多くなる代わり控除額が増える、という点です。
ただ、節税効果の高い「青色申告」は、事前に税務署に申請しなければならないので注意が必要です。確定申告書に記載する内容は基本的には変わりません。
用語の整理
確定申告の具体的な書き方について紹介する前に、確定申告書に出てくる用語について、いくつか確認しておきます。
専従者
専従者とは、家族従業員のことです。
営業等
確定申告の書の「所得金額」という部分には「営業等」という欄があります。
ここでの「営業等」が示す事業は、以下に記載する通りです。
雑所得
雑所得とは、本業以外の所得のことです。
確定申告の書き方:申告書B 第1票
それでは確定申告の申告書B、第1表の書き方について見ていきます。
「収入金額等」の書き方
まずは「収入金額等」の部分の書き方です。
その年の1月1日から12月31日までの間に得られた収入を、所得ごとに記入します。
「事業」の欄には事業によって収入を得た場合、「給与」の欄には給与によって収入を得た場合に収入金額を記入します。
個人事業主やフリーランスの人は事業による所得があると思うので、「事業」の「営業等」の欄に記入します。
注意する点は、給与所得者でも給与以外の収入がある場合には、給与所得の欄に源泉徴収票に書かれている支払金額を記入するという点です。副業で得た収入に該当する所得の欄に記入することも忘れてはいけません。
「所得金額」の書き方
次に、「所得金額」の部分の書き方について紹介します。
所得金額とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。個人事業主やフリーランスの人であれば、収入から通信費や交通費などの必要経費を除いた額になります。
青色申告の承認を受けている場合は、青色申告特別控除の金額もここで控除ができます。
記入方法は、「収入金額/営業等」から青色申告控除による金額10万円か65万円、経費金額などを差し引いた額を「営業等」に記入します。事業所得以外の所得がある場合はそれぞれ計算し、各所得の欄に記入します。
給与所得者の場合には、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄にある数字を記入します。全ての所得を計算したら、その合計金額を「合計」の欄に記入します。
「所得から差し引かれる金額」の書き方
続いて「所得から差し引かれる金額」の部分の書き方を紹介します。
所得から差し引かれる金額とは所得控除額のことで、この欄には、所得から控除が認められる金額を記入します。
具体的には、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除などがあります。
サラリーマンの方は、年末調整で申告漏れがなければ、源泉徴収の所得控除の合計額を申告書Bの所得控除額の欄の合計額の部分にそのまま転記します。
一方で個人事業主やフリーランスの方は、該当する項目に関して個別に記載していく必要があります。
「税金の計算」の書き方
「税金の計算」という部分の書き方を紹介していきます。
まずは税金の計算方法について見ていきます。
はじめに総所得金額から所得控除の合計額を差し引いた額に、所得額によって異なる税率を掛けて計算します。
ここからさらに、税額控除として認められるものを差し引いて、最終的な税額を計算します。
主な税額控除には、配当控除と外国税額控除の2種類があります。
・配当控除とは、総合課税の配当所得がある場合に、配当所得の金額の10%または5%に相当する金額を控除するものです。
・外国税額控除とは、同じ所得に対し、外国と日本国内の両方で課税されることを調整するための控除です。外国で生じた所得には、外国での所得税に当たる税と、日本国内での所得税の両方が課せられるため、二重に課税されている状態を調整するために、外国で支払った税のなかから一定の額を所得額から控除することができます。
次に記入方法についてです。
「所得金額」の合計から各種控除金額の合計を差し引いた額を、「課税される所得金額」に記入します。
そして、「課税される所得金額」に対象の税率をかけた後の金額を「上の26に対する税額」の欄へ記入します。
「上の26に対する税額」の額から、「配当控除」から「住宅耐震改修特別控除」までの合計額を差し引いた結果を「差引所得税額」へ記入します。そして「差引所得税額」から「災害減免額」の金額を差し引いた金額を40番の欄へ記入します。
40番と「復興特別所得税額」の金額を合計し、42番の欄へ記入後、そこから43番と所得税の源泉徴収税額を差し引いた金額が黒字の場合は47番に、赤字の場合は48番に記入します。
「その他」の書き方
申告書の「その他」と記載されている部分の書き方について見ていきます。
この部分に記載するのは、税額が正しく計算されているかを確かめるのに必要な情報で、専従者給与や専従者控除の合計額や青色申告特別控除額、未納付の所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額などを記入します。
専従者給与や専従者控除の合計額は、青色事業専従者または事業専従者がいる場合に、青色申告決算書の専従者給与額もしくは収支内訳書の専従者控除額を記入します。
「青色申告特別控除額」の欄には、最大10万円または65万円の額を記入します。
「未納付の所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額」は、給与支払い者がまだ給与を支払っていない場合に、源泉徴収される金額について記入します。この額は、未払給与が支払われて源泉徴収されるまで還付が認められません。
また、前の年から繰り越された損失があり、次の年に繰り越す損失額がない場合は「本年分で差し引く繰越損失額」の欄に前年分の損失額を記入します。
確定申告の書き方:申告書B 第2表
それでは、確定申告の申告書B、第2表の書き方について見ていきます。
「所得の内約(源泉徴収額)」の書き方
この欄には、所得の種類、支払者の名称、収入、源泉徴収税額を記入します。
「所得から差し引かれる金額に関する事項」の書き方
源泉徴収票で控除されている場合には、「源泉徴収票のとおり」と記入するだけで問題ありません。
そうでない場合には、控除が認められる額ではなく、実際に支払った金額を記入します。
基本を理解すれば難しくない
以上、確定申告の基本的な書き方について見ていきました。
今回はその中でも、個人事業主、フリーランスの方が使用する、確定申告書Bの第1表と第2表について紹介しました。確定申告と聞くと難しいイメージがあったと思いますが、白色申告の書き方は難しくないことがわかったと思います。この記事を参考にして、焦らずにひとつひとつ確認しながら記入していってください。