麻薬取締官の年収と仕事内容|麻薬取締役官・薬剤師の資格が必要?

雑学

麻薬取締官とは

不正薬物を取り締まる特別司法警察職員

麻薬取締官は、麻薬Gメンとも呼ばれています。近年では麻薬に関する犯罪をよく耳にしますが、違法薬物の使用者を捜査したり、不正による麻薬の密輸入、医療用合法麻薬の横流しなどを監視するのが麻薬取締官です。薬物犯罪防止業務を担う麻薬取締官は、厚生労働省の地方支分部局である地方厚生(支)局に設置されている全国の麻薬取締部に勤務する国家公務員です。犯罪を取り締まることが任務なので警察庁所属のイメージがあるかもしれませんが薬物を扱うので厚生労働省となっています。また、厚生労働省職員であると同時に特別司法警察官としての任務が与えられているので逮捕や武器の所持が認められています。

麻薬取締官の仕事

麻薬取締官は主に次のような仕事をしています。・違法薬物に関する捜査特別司法警察員として、薬物犯罪の捜査・情報収集活動を行っています。薬物乱用者、暴力団や不良外国人等の規制薬物密売人の取り締まりをします。・医療麻薬の監督と指導医療上合法的に使用される麻薬や向精神薬の流通を監視するため、定期的に病院や薬局、製薬会社等に立入検査をしています。立入検査では、薬物の横流しや不正使用を防止するための指導と助言を行っています。・相談業務・啓発活動薬物に関する相談業務として、薬物乱用者の家族や友人からの相談、また一般市民からの通報も受理しています。さらに各種学校や関係機関で講演をしたり、薬物乱用防止啓発活動もしています。

麻薬取締官になるには

麻薬取締官は薬と法のプロ

麻薬取締官には、薬物と法律の専門知識が必要となります。このため、麻薬取締官に成るには、大学において薬学や法学を専攻した学士であることなどの資質が要求されます。また、最初から麻薬取締官として採用されるわけではありません。まずは麻薬取締官が勤務する麻薬取締部に採用され、その後、麻薬取締部の中で実施する麻薬取締官研修を受けることができますが、麻薬取締官の人数は非常に少数(全国で約300名)であるため、定期募集を行っておらず、欠員が出ない限り採用されることはありません。

麻薬取締部で採用されるには

麻薬取締部に勤務する職員は厚生労働省ですので、国家公務員試験一般職試験(大卒程度)の「行政」、「電気・電子・情報」、「化学」のいずれかに合格するか、30歳以下の薬剤師国家試験合格者もしくは薬剤師試験合格見込み者(採用時には薬剤師試験に合格していることが必要)であることが、麻薬取締部への応募条件となります。いずれかの条件を満たせば麻薬取締部の採用試験を受験でき、成績優秀者順に採用が決まります。なお。もっとも一般的である国家公務員試験一般職試験(大卒程度)は筆記試験の一次試験と面接試験の二次試験で合否が判定され、平成28年度の場合、35998人が受験申し込みををして、7583人が合格しています。倍率は4.7倍でした。この国家公務員試験一般職試験に合格したのちに、麻薬取締官に採用されるための面接試験を受けて、合格すれば麻薬取締部の職員として採用されます。平成28年度に麻薬取締部に採用されたのは全国で30名であり、かなり少なく感じますが、これでも例年よりかなり多かったといえます。

採用後も研修が続く

麻薬取締部で採用された後も、厚生労働省主催の麻薬取締官初任者研修、麻薬取締官中堅職員研修などで修練を積むことになります。また、法務省や人事院、財務省等が主催する各種研修にも参加しています。麻薬取締官は、時に危険を伴う捜査を遂行します。逮捕訓練術や拳銃射撃訓練、外国人による薬物犯罪の増加に対処するために語学研修も行っています。

麻薬取締官と薬剤師

麻薬取締官の多くは薬剤師

薬物に関する専門知識が必要となるため、麻薬取締官の約半数は薬剤師です。職務の性質上、薬学部出身が大多数であるものの、麻向法施工令第10条に定められた柿の条件に該当するものであれば、薬学部出身でなくとも麻薬取締官になることができるとされています。・通算して二年以上麻薬取締に関する事務に従事した者・通算して三年以上薬事に関する行政事務に従事した者・学校教育法に基づく大学又は旧制大学において、法律又は薬事に関する科目を収めて卒業し、学士の学位又は旧大学令による学士の称号を有する者・学校教育法に基づく短期大学若しくは高等専門学校又は旧専門学校において、法律又は薬事に関する科目を修めて卒業した後、通算して一年以上麻薬取締に従事した者必ずしも薬剤師としての資格が必要といううわけではありませんが、上記のような条件で採用されることは非常に少ないと思ったほうがいいでしょう。

麻薬取締官の年収

国家公務員としての年収

麻薬取締官の給与は、国家公務員の行政職俸給表(一)によって決められています。一般的な行政職員の平均年収は600〜650万円ですが、麻薬取締官はここに特別手当がつき、さらに他の行政職員より昇給が早いこともあり、その分、他よりやや高めの年収となります。

薬剤師の年収

薬剤師として就職した場合、製薬会社や薬局、病院などの就職先が挙げられますが、平均年収は、いずれも大体年収500〜600万円です。民間企業の役職などにより収入は違ってきますが、平均で見ると、麻薬取締官の方が高い収入が望めます。

麻薬取締官に向いている人は

高度な知識が求められる麻薬取締官

麻薬取締官に求められるのは、違法薬物を取り締まるという職務内容から、なんといっても正義感が強いことが挙げられます。また、薬剤師としての資格が必要とされることからもわかるように、薬物に関する知識は必須ですが、新しい違法薬物がどんどん入ってきますので、これに伴って、つねに薬物に関する最新情報を勉強することも必要です。さらには、犯罪行為を取り締まることから、法律の知識も必要です。これに加えて、海外からの違法薬物の密輸や、外国人の違法販売ルートなどを捜査することもあるので、捜査に必要な外国語を習得する努力は求められます。麻薬取締官は昼夜を問わず、不規則な勤務時間となることも多いので、心身ともに剛健で健康であることも大切です。

麻薬取締官の将来の展望

昔はなかった危険ドラッグと呼ばれる違法薬物に関する事件が、最近ではよく聞かれるようになりました。この背景のひとつに、インターネットの普及があると言われています。個人的に海外から輸入する行為は、インターネット普及前であれば簡単ではなかったのですが、現在のようにインターネットで手軽に入手できてしまうことで、興味本位で手を出してしまう人が後を絶たないようです。このような違法薬物の入手ルートを調査するのも麻薬取締官の仕事なので、インターネットに関する知識も必要とされます。また、警察官には認められないおとり捜査も、麻薬取締官には認められます。密売組織の実態を解明し、摘発するためには、いかにも公務員らしい服装では困難なこともあるため、私服、カラーやパーマをかけた長髪が認められています。このような事情から、女性犯罪者と関わることも多く、女性の麻薬取締官の活躍はますます期待されるでしょう。

麻薬取締官は少数精鋭

麻薬取締官は、人数が少ないうえに高度な知識を必要とされる、少数精鋭部隊です。過酷な現場での張り込みや危険な捜査もありますが、特別司法警察官としての権限を持ち、非常に貢献度の高い職業です。不正な薬物はあとを絶たず、ニュースで見聞きすることも多いものですが、その摘発には、麻薬取締官の並々ならぬ努力と熱意が深く関わっているはずです。
興味を持ちましたらぜひ麻薬取締役官を目指してみませんか。

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