年収240万で生活していく
平均年収からみる年収240万
国税庁が平成28年9月に公開している平成27年度年間平均給与は420万であり、これを男女別にみると、男性521万円、女性276万円となっています。また正規・非正規でみると、正規485万円、非正規171万円となっています。平均年収は公開している媒体によって多少の前後はありますが、年収240万は平均水準と比較すると低めであると判断できます。
年収と手取りの違い
年収240万の金銭的実情を探る前に、混同されがちな「年収」と「手取り」の違いについて確認していきましょう。
「年収」とは
年収とは一年間の収入の総額です。通常は税金や保険料、その他の控除が引かれる前の総支給額を指します。つまり、「年収=手取り」ではないということです。
「手取り」とは
手取り(手取り金額)とは、一般的に、給与支給額と交通費から社会保険(健康保険、雇用保険、厚生年金、該当する方に限り介護保険)と所得税、住民税を引いた額になります。実際に口座に振り込まれる金額がこの「手取り」となります。
前述した通り、年収とは税金、保険料、その他控除が差し引かれる前の総支給額を指しますので、この、「手取り」の年額=年収、ではありませんので注意して下さい。
年収240万でかかる税金について
年収にかかる税金には住民税と所得税があります。また、事実上の税金と考えてもよい社会保険料もあります。
下記で、額面年収240万円にかかる住民税、所得税の額を説明していきます。
算出方法をしっかり覚えることは難しくてもこのような計算によって割り出されていることは認識しておきましょう。
額面年収240万にかかる住民税
まず、額面年収240万にかかる住民税の算出をします。
住民税率は自治体によって少しの違いがありますがここでは標準税率である均等割5000円、所得割10%で計算します。
年収240万の給与所得控除額は、年収360万円までに適用される計算方法を用いて、収入×30%+18万円、となり、額面年収240万で給与所得控除額は90万円となります。
次に、健康保険・厚生年金・雇用保険といった控除の対象となる社会保険料の支払額を算出します。
基本は年収の14.22%ほどとなり年間の社会保険料の目安額に照らし合わせると、240万×14.22%で34.1万円となります。
住民税の基礎控除額は33万円です。
以上を基に額面年収240万円での住民税控除額を算出すると、給与所得控除90万円、社会保険料34.1万円、基礎控除33万円、合計157.1万円となります。住民税の課税対象額は額面年収240万円から住民税控除額の157.1万円を引いて約82.9万円となります。
以上から住民税額を算出すると、額面年収240万円では、所得割82.9万円×10%+均等割5000円ー調整控除2500円となり、合計8.54万円となります。額面240万円にかかる住民税は8.54万円です。
額面年収240万円にかかる所得税
続いて額面年収240万円にかかる所得税を算出してきます。
まず給与所得控除額は住民税の時と同じく、240万円×30%+18万円なので90万円です。
社会保険料も同じく支払額は年収の14.22%と計算し、240万円×14.22%で34.1万円です。
所得税の基礎控除は38万円となります。よって、額面年収240万円での所得税控除の合計額は、給与所得控除90万円+社会保険料控除34.1万円+基礎控除38万円で162.1万円になります。
上記を基に所得税の課税対象額は、年収240万円-所得税控除162.1万円で77.9万円です。額面240万円にかかる所得税額は、課税対象額77.9万円に税率の5%をかけて3.89万円になります。額面240万円にかかる所得税額は3.89万円です。
額面年収240万の手取り額は
それでは額面年収240万円の手取り額は一体いくらになるのでしょうか。手取り額は年収から社会保険料と住民税、所得税を引くと算出できます。上記で算出した各値に基づき、
額面年収240万円-社会保険料34.1万円-住民税8.54万円-所得税3.89万円で193万円。
額面年収240万円の場合、手取り額は193万円になります。
額面年収240万円での一人暮らしの実情
額面年収240万円で手取りが約193万円の場合、これを12カ月で割ると一か月あたり約16万円が手元に入る金額になります。この約16万円から固定費を引いていきましょう。住居費は一般的に手取りの3割程度が理想と言われていますが、この考えでいくと5万3千円前後が理想の住居費となります。
16万円-家賃5万3千円=10万7千円が残金です。
残金の10万7千円から光熱費、通信費、食費などが引かれていきます。仮に光熱費、通信費で3万円、食費で2万円の計5万円と考えると、残金10万7千円-光熱費、通信費、食費計5万円で、残金は5万7千円です。
額面収入240万円の一人暮らしでは、多少の差はあれど大体5万円前後が残る計算になります。
額面年収240万円の一人暮らしで自由に使えるのは約5万円
約5万円が手元に残ると考えると一人暮らしでは贅沢をしなければそれなりに暮らしていけるような気もしますが、加えての支払いやイレギュラーな出費に対応する為にも貯蓄もしていく必要があると考えると心もとない額ではあります。一人暮らしで額面年収240万円では生活していくことはできるが金銭的に多少の不安が付きまとうというのが実情です。ただし、住む場所を工夫したり、通信費を格安プランに変更したり、嗜好品を減らすなど、金銭的余裕を生む工夫や合理性を追求する余地はあります。
額面年収240万円で結婚することは可能なのか
額面年収240万円での一人暮らしの金銭的実情が掴めたところで、続いて結婚についてもみていきまます。
額面年収240万円での結婚は金銭的には、額面年収240万円(同士)でも結婚できます。
ポイントは、結婚することで現状よりも金銭的に生活の質を高められる可能性があるというところです。一人暮らし二人分より二人で暮らしていく場合の方が支出を抑えられる可能性が高いです。単純に二人合わせて収入は二倍(世帯年収でいうと480万円)になりますが、だからといって支出も二倍になるとは限りません。
例えば、一般的に一番大きな固定費といえる住居費が一人暮らしの時に6万円だったとしても、二人の住居を住居費二倍の12万円に設定する必要はないわけです。現実には10万円の賃貸で二人で暮らすに十分な広さがある物件もあります。これで一人暮らし二人分の支出と比べると2万円分の余裕ができます。
食費に関しても一人暮らしの時は忙しさや疲労の具合で外でまかなうことが多かったという人でも、二人で工夫し分担すれば自炊ベースの生活を確立することも難しくありません。このように二人で工夫して生活していくからこそ節制できることも多くあります。
また、現在は結婚式を挙げるにしても少人数での式であれば10万円前後で挙げることも出来ます。
住宅ローンについて
住宅ローンの審査はその性質上、継続的な収入があるかということを重視されます。額面年収が240万円であっても審査基準をクリアし返済がしっかり行われると判断されれば住宅ローン審査は通る可能性があります。
借り入れは一般的に年収の5~6倍程度が限度とされており、年収240万円であれば5倍計算で1200万円程度は借り入れできる見込みです。住宅ローンの審査は、年収、借入額、勤務先の業種、規模、勤続年数など総合的に判断されると言われており、年収額だけで諦めるこ必要はありません。
額面年収240万円で上手く暮らしながら金銭的余裕の追求しよう
これまで年収240万円の暮らしの実情について書いてきました。額面年収240万円、手取りでいうと約193万円というの水準から言えば低めではあるものの、一人暮らしをしていくことも結婚をし二人で暮らしていくこともけして不可能ではありません。
しかし、いずれの場合にしても「金銭的にもう少し余裕が欲しい」というのが本音であるはずです。そのため、金銭的余裕を作る為の努力(収入を増やす努力、節制をする努力や工夫)はしていく必要があります。
今回は手取りで年額240万円でなく額面年収240万円のケースを説明しましたが、月に約16万円という額は、単純に考えると日給1万円であれば週4日の労働で達成できる金額ですので、フリーターであっても額面年収240万円の暮らしは現状+αの労働及び努力で超えることのできるラインです。収入そのものを増やしていく努力もしていきましょう。